2024/04/05(金) 17:02
JBCFロードシリーズ最上位のJプロツアー第4戦「宇都宮清原クリテリウム」が3月24日、栃木県宇都宮市で開催された。昨年までは他リーグのレースに設定されていたため、Jプロツアーとして運営されるのは、4年ぶりとなる。
コースは、宇都宮市内から東に車で30分ほどの場所にある清原工業団地内の公道に設定され、すっかり地元に定着、春の風物詩となっている。キッチンカーなども並び、毎年多くの観客が会場を訪れる。
レース前にはプレゼンテーションが開催された。ホストチームの宇都宮ブリッツェンが登場すると一際大きな歓声が上がる
昨年までは、直線を往復するコースを採用していたが、今年は2019年以来となる1周3kmのコースが使用された。アルファベットの角ばったBの字のようなレイアウトは、1カ所内側に入る部分のヘアピンコーナーが難所。コースは完全フラットであるが、毎回ハイペースの展開となり、この部分で毎周回完全な減速と再度のフル加速が強いられ、選手たちは消耗されていく。このレースは、コースを21周する63km(パレード走行1周分を含む)で競われることとなった。
独特な形のコースには、1カ所ヘアピンカーブが含まれる
コースの一部は、2023年に開業した話題のLRT「宇都宮ライトレール」の線路と並走する区間があり、ここも注目ポイントとなっている。個人総合首位の証である赤いプロリーダージャージを着るのは、前日のレースで2位となった石原悠希(シマノレーシング)、U23首位でネクストリーダージャージを着るのは同チームの寺田吉騎(シマノレーシング)だ。
赤いリーダージャージを着る石原悠希(シマノレーシング)と白いU23のリーダージャージを着る寺田吉騎(シマノレーシング)
多くのサポーターを有する宇都宮ブリッツェンがホストチームとして前列に並び、一際大きな声援を浴びながら、スタートした。
1周目はパレード走行となり、宇都宮ブリッツェンロゴを入れた「宇都宮ライトレール」の列車と並走するシーンが演出され、非常に稀な光景に、集まった観客は大いに盛り上がった。
話題のLRT「宇都宮ライトレール」と併走する
リアルスタートのフラッグが振られると、その直後から集団は一気にペースアップ。レースモードへ突入した。
リアルスタートが切られ、宇都宮ブリッツェンを先頭にペースアップ
ヘアピンカーブを慎重に回る集団
集団は長く伸び、ハイスピードで周回に突入していく。Wリーダーを擁するシマノレーシングが集団前方で動きを見せるが、チームとして集団をコントロールする意思は見せず、コントロールを試みるチームは現れなかった。アタックを仕掛ける動きもなく、ほぼ大きな集団のまま、レース後半に入っていった。
ペースが上がり、集団は長く伸びた
動きが生まれないまま折り返しを越え、残り10周を切った。なおも、集団から飛び出す動きはなく、大集団のスプリント勝負になる可能性が濃厚となり、各チームは集団スプリントに備えた動きに移行し始めた。
ゴールを見据え、各チームが前方に上がってくる
終盤に向け、アタックをかけ、集団を揺さぶる動きも
スプリンターを持ち、有利なスプリント勝負に持ち込みたいチームが集団前方に集まり、位置取りの競り合いが始まる。
残り3周となる19周目、シマノレーシングのメンバーが集団先頭に集まり、集団のコントロールを開始した。
ゴールが近づき、牽制が始まる
シマノレーシングが先頭を陣取り、ペースアップを始めた
各チームはこれに逆らい、前方にエースを率いる自分たちの隊列を作ろうとするが、シマノレーシングはさらにペースを上げ、先頭を譲らない。最終周回に入るとマトリックスパワータグが前日からの連勝をかけ、先頭で隊列を組むが、各チームが拮抗しあいながら、最終コーナーへ差し掛かる。
マトリックスパワータグが先頭を固め、ゴールへ向かう
この混沌とした状況の中、先頭でホームストレートに入ったのは、自身も全日本のタイトルを持ちながら、牽引役としても勘と実力に優れた草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)。この後ろから飛び出してくるのは、もちろん同チームのスプリンター岡本隼(愛三工業レーシングチーム)だ。
岡本は全力でパワフルに加速し、石原が追い上げようとスプリントをかけたが、この日の岡本に敵うものは誰もいなかった。誰も寄せ付けぬまま、岡本はこのまま先頭でゴールし、早くも今シーズン2勝目を挙げた。
圧倒的なスプリントで今季2勝目を挙げた岡本隼(愛三工業レーシングチーム)
前日に引き続き、石原は2位となり、3位に孫崎大樹(キナンレーシングチーム)が入った。
岡本は「チームではスプリント勝負に持ち込もうと話していて、皆が大きな逃げが生じないようチェックに徹してくれた」と感謝を語った。「たとえチームの選手が(チームのために動き、脱落して)減っても、最後の草場との連携には自信があった」と振り返り、全幅の信頼を置く草場がプラン通りに最終コーナーを先頭で周り、そこまで力を貯められた自分が、最後優勝するという「描いたプラン通りに勝てたことがチームにとってよかった」と、感慨深げに語った。
優勝した岡本、2位の石原悠希(シマノレーシング)、3位の孫崎大樹(キナンレーシングチーム)
リーダーは石原、寺田が守った
石原は2日連続で2位に入り、ポイントを積み増し、個人総合首位を守り、U23首位も、6位となった寺田がしっかりと守っている。
4月には群馬、広島のレースが控える。コロナ禍が明け、各チームの海外遠征も再開し、今後は欠場するチームも出てくることと思われるが、シーズン前半のクライマックスである5月の国際レース、6月の全日本選手権へと向け、各チームは調整を進めて行くことになるだろう。
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【結果】
Jプロツアー2024第4戦
宇都宮清原クリテリウム(63km)
1位/岡本隼(愛三工業レーシングチーム)1時間24分59秒
2位/石原悠希(シマノレーシング)+0秒
3位/孫崎大樹(キナンレーシングチーム)+0秒
4位/フォン・チュンカイ(宇都宮ブリッツェン)+0秒
5位/アレクサンドロス・アグロティス(マトリックスパワータグ)+0秒
【Jプロツアーリーダー】
石原悠希(シマノレーシング)
【U23リーダー】
寺田吉騎(シマノレーシング)
写真:JBCF(一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟)
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