2024/12/26 (木) 11:30
いよいよ2024年もあと1週間というところで、この原稿を書いています。前日には栃木の神山雄一郎選手の記者会見が開かれ、引退発表の記事を読み、涙が止まりませんでした。一つの時代が終わるね、と皆が言います。競輪の一時代を築いたレジェンド。ラストランとなった取手開催で、神山選手最後の1着の払戻を読み上げられたことは、私の大切な思い出となりました。
さて、残すは頂点を決める戦い、KEIRINグランプリ、ガールズグランプリとなっています。この時期に私が競輪関係者の皆さんに会うと聞くことは、『今年の1番印象に残ったレースは何ですか?』という質問。1年を通して、数えきれないほどのレースがあり、選手たちの熱い死闘が繰り広げられてきました。それぞれの人が、どのレースに何を感じたのかを聞きながら、2024年のレースを思い出す時間がとても好きです。
まだ1週間、レースはありますが、今年1年の一番印象に残ったレースを私自身も考えてみました。そして1番に浮かんだ光景は、8月のオールスター競輪で行われた女子オールスター競輪の初日のレースでした。
五輪帰りの佐藤水菜選手に食らいついた日野選手のワンツー。
夢のような光景でした。みいのファン投票2位という結果、仲良しの同期みなおう(競輪学校でモナ王ばかり食べていてついた佐藤選手のニックネーム)が五輪を走って帰ってきて二人でワンツーって……。みいと出会っての10年をぎゅっと濃縮されたようなレースでした。
また、日野選手が佐藤選手をマークしたいというコメントを出したことも印象的でした。かつて平塚のグランプリで鈴木美教選手が児玉選手をマークしたいというコメントを出したこともありましたが、ラインが無いガールズケイリンのレースで、どの位置をまずは狙っていきたいという選手の意思表示があるのは、予想する側としては嬉しい変化。もちろん、そうできるかどうかはレース次第というのは重々承知で。ビッグレースでの発信によって、ガールズケイリンがさらに進化していくきっかけになるといいなと感じました。そして、それを有言実行し、くらいついたみいちゃん。頑張ったね。と今でも涙腺が緩みます。
そしてもう一つ、忘れられないのは高松宮記念杯決勝の古性優作選手の目です。苦しい展開から追い込み、体勢を崩しながらも最後までゴールを見ているゴール前の写真を見ました。
その目は、まさに捕食者。食うか、食われるか、弱肉強食の競輪界、その頂点にいる者の目でした。一瞬の切り取りに、古性選手の強さの理由が詰まっていて畏怖の念すら感じます。何の権限もないですが、勝手に競輪フォトオブザイヤーだと思っています。
皆さんの2024年の印象に残っているレースはなんですか? この後に待つグランプリシリーズでは、それを上回る最高のレースを選手たちが見せてくれるでしょうか。
今年も1年、大いに泣き、笑い、打った競輪。最後は笑って締めくくりたいですね。31日の23時過ぎまでチャンスはあります!
それでは皆様、良いお年を!
※開催中の写真はP-NAVI編集部が撮影
木三原さくら
2013年夏に松戸競輪場で ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。 以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。 番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。 好きな選手のタイプは徹底先行! 好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。 “おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。