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感染者名を公表しないのは?

2020/09/09 (水) 16:31

感染者名を公表しないのは?

瞬く間に夏が過ぎ、秋……とは言えない程の猛暑が9月に入っても続いている。安倍晋三首相が健康上の理由で退陣し、次の首相は誰なのか?という話題が連日、テレビや新聞を賑わしている。そして、あの新型コロナウイルスも相変わらず猛威を奮っている。ワクチンが開発されたという朗報もあるが、それでも、国内の感染者はまだまだ多い。いつになったら平穏な生活が戻ってくるのだろうか。
そのコロナについてだが、船橋競馬場所属の騎手が感染し、大井競馬場の調教師も陽性が確認された。この時、船橋競馬と大井競馬がとった対応は氏名の公表だった。競輪、ボートレース、オートレースは感染者名を公表していない。大井、船橋のケースでは「プロである以上、公表は当たり前」のスタンスだと、聞いている。プロ野球やサッカー、大相撲、メジャーリーグやNBAも実名を出している。プロ野球で言えば読売ジャイアンツの坂本勇人選手や大城卓三選手、阪神タイガースの藤浪晋太郎選手などの名前が表に出た。陸上男子100mと200mで世界記録を保持するウサイン・ボルト氏やテニスの錦織圭選手も同じく公表されている。彼らに共通しているのは『プロ』だということだ。スポーツ選手以外では芸能人の感染者も名前が出ている。要するにプロスポーツ選手や芸能人は『公人』というカテゴリーに入っているということであろう。

しかしながら、競輪は感染者の名前を一切、出していない。都道府県の発表があって、初めて、地域を公表するだけである。職業に『自営業』と出ているところもあった。競輪選手が自営業?確かに競輪選手は個人事業主だが、日本競輪選手会に所属している。この辺が競輪業界の分かりにくいところであろう。それ以前に競輪選手は『プロ』だと言うことを忘れてはならない。『プロ』である以上、実名を公表すべきだと、筆者は考えている。コロナはいくら気をつけていても、知らず、知らずのうちに感染してしまうことがある。これは不可抗力とも言える。自らが進んで出歩き、コロナに感染したのならば言語道断だが、そうでなければ何ら非難される筋合いはないはずだ。

以前も競輪業界はコロナ対策がまだ不十分なのではないかということを書いた。例えば、サッカーのJリーグの名古屋グランパスエイトは試合を行うまでに数回、全選手とスタッフにPCR検査を実施。全員の陰性が確認されて、初めて試合を行った。
だが、競輪業界はあらゆる対策を講じているとは言え、まだ徹底できていない部分もあるのではないか?
理想を言えば__全ての開催前に参加選手がPCR検査を受けるべきである。百歩譲って、全ての開催が無理ならばせめてグレードレースは実施すべきであろう。さらに譲ればG1、G2だけでも必要だ。参加選手は1週間前に検査を受ければ結果は出る。これくらいの対策を講じるのは当たり前であるように思うのだが。

ギャンブルではなく、JKAがスポーツを謳っているならば当然、検査は実施するべきであろう。そこで陽性者が出れば必ず公表する。となると、その選手と接触していた人間も危機感を覚える。その点、大井、船橋の関係者は立派だと、声を大にして言いたい。自分たちの立場を分かっているからこそ公表に踏み切ったのだ。

競輪ではレース終了後の自転車受け取りも人数を制限しているとのことだが、テレビ中継で観ている感じでは『密』状態のように映っている。
『プロ』と名のつく職業はそれ程までに多くない。裏を返すと、それだけ『プロ』になれる人間は限られているということだ。1人、1人の自覚を、関係団体はしつこいくらい徹底的に指導しなければならない。

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岩井範一

Perfecta Naviの競輪ライター

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