2020/07/08 (水) 17:53
東京では連日、新型コロナウイルスの感染者が100人を超えるなど、予断を許さない状況が続いている。そのような中、競輪界は今月に入り、ほぼ正常化したと。言っても構わないだろう。ただ、残念なのが、専用場外車券売り場のサテライト鴨川が9月29日をもって閉館となることだ。間違いなく、コロナの影響だろう。
影響と言えば……7車立て9レース制のG3、小松島記念も行われた。仕方のないこととは言え、迫力不足は否めない。固く収まっているなという印象は受けたが、競輪ファンはどう思ったのだろうか?車立てが9車から7車になれば確かに当たる確率は高くなるが、配当的には物足りないと感じてしまうもの。100円が1万円になるという3連単の買い方も、7車立てなら考え直さなければならなくなるだろう。今後、JKAや主要な団体は7車立てを全面に押し出していくのか?それとも、コロナ対策の観点だけで終わるのか?道筋をハッキリつけていただきたいものだ。
コロナ禍、4日には九州地方を中心とした豪雨で死者が57人以上(原稿を書いている7日時点)という被害が出た。テレビニュースやネットで見て、被害の甚大さが分かる。ところが、競輪は予定通りに行われていた。多くの地域で避難指示が出されていたが、それなのに開催とは……。仮に競輪が私的な事業であるならば文句は言わないし、一般市民からも文句は出ないだろう。だが、競輪はあくまでも公営競技である。この状況下、市営のギャンブルが行われること自体、一般市民の感覚からすればズレているのではないか?ニュースで見る被災者は「水が首まできて、生きている心地がしなかった」など、涙ながらに訴えている。
避難指示の前に警報は出ているはずなので、本当に危機意識があるのならば中止、もしくは順延を決定しても良かったのではないだろうか。コロナ対策で移動制限があるのだし、遠方からの参加者は少なかったはずだ。
今回のことだけでなく、この業界は災害に対しての認識が甘いと感じる。各市町村が開催を決定しても、そこは上部団体である全国競輪施行者協議会が中止を求めても良いはずだ。さらに言えば、JKA・経産省・選手会が介入しても良い事例ではないだろうか。他の公営競技では中止を決めたところもある。
コロナの影響で開催が少なくなり、選手としても働く場が奪われている。その分を取り返したい気持ちは分からないでもないが、世の中をもう少し、冷静に見ていただきたい。被災した横で、平然と競輪が行われることは競輪ファンとて望んでいない。被災の状況が徐々に分かるにつれて、市民・県民・国民は競輪業界に対し、嫌悪感を抱くかも知れない。五輪種目でもあり、それをアピールし、イメージアップを図ってきた業界だが、人間の心理を分かっていないと、捉えられても致し方ない。決定権は地方自治体にある。それでも、人命に関わる問題は中央団体が口を挟むべきであろう。
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター