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緊急事態宣言解除後の競輪界

2020/06/07 (日) 17:32

緊急事態宣言解除後の競輪界

全国的に緊急事態宣言が解除され、5月下旬から街に活気が戻ってきた。しかし、6月2日に東京都の小池知事は『東京アラート』を発動。北九州市では第2波が襲ってきている。新型コロナウイルスは目に見えない敵であるために予断を許さない状況は続いている中、競輪界も徐々にではあるが、場外発売所が再開されたり、佐賀県の武雄競輪場では12日からファンを場内に入れたりと、元の日常に戻りつつある。暗い話題ばかりであったが、やっと競輪界にも明るい兆しが見えてきたと、言っても良いだろう。
しかしながら業界としての役割を果たせていないどころか、他競技との差が浮き彫りとなっている。ボートレース住之江で、5月31日に最終日を迎えた『SG第47回ボートレースオールスター』。売り上げは、6日間で152億4,546万9,800円。目標額は90億円。6日間開催の4日目には、目標額を超えていたというから驚きだ。加えて言うならばオールスターの売り上げが150億円を超えたのは2008年以来だという。無観客開催で、場外も一部だけ。ほぼインターネットと電話投票だけでこの数字なのだから、ボートレースは強い。日頃からファンを第一に考えてきた結果だろう。

そして、この大会の最後には選手有志がコロナ対策として計1,000万円超の寄付を行った。1人の上限が10万円。これは特別定額給付金を考えてのことだろう。一方の競輪業界と言えば何度も書いてきたことだが、参加選手から一律1.000円を徴収して寄付を行っている。半ば強制的なものらしいが、金額を決めていることが腑に落ちない。その矢先にボートレースでは1,000万円超の寄付である。競輪選手とボートレース選手の考え方が違い過ぎると言わざるを得ない。ボートレースは選手会がシッカリしていると聞いたことがある。指示系統がシッカリしているから選手会だけでなく、中央団体も大胆な施策を打てるのだという。
もう一つ、他競技との比較で言えば今月から始まった移動制限はどうなのか。政府は6月19日からの越境を妨げていない。JRAなど他競技が移動制限を緩和しているのに、業界は今から越境をさせないと方針だ。世の中の動きに逆行している。経済が動き始めた今、取り残されている感は否めない。

このような現状の中、ガールズケイリンの面々が立ち上がった。オークションサイトを利用して、その売り上げの全額を寄付するというもの。プロ野球やゴルフ業界では既に行われていた。個人ではなく主要団体が音頭を取ってのことだが、競輪界は個人任せになっている。言葉を換えれば何もしない団体に対して、ガールズケイリンの選手が我慢し切れなくなったのではないだろうか。オークションサイトを見てみると、人気選手のサイン入りユニフォームなどは高値がついていた。果たして、この動きや結果を主要3団体の幹部はどう思っているのか?是非、聞いてみたいところだ。

そして気になるのが、斡旋の公平性だ。KEIRINグランプリまで残すところあと6ヶ月。5月のG1日本選手権が中止、G3やF1でも選手によって差が生じてきている。例えばA選手の出走数は10回だが、B選手は6回だとしたら?また、G3に多く斡旋されている場合とF1が多い場合では……この不平等をどう是正するのかも尋ねてみたい。現時点においてそういった方向性が全く見えていない。このままでは他の競技との差は開くばかりだろう。

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岩井範一

Perfecta Naviの競輪ライター

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