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『森泉宏一の実況天国』Vol.30

2020/04/07 (火) 16:24

『森泉宏一の実況天国』Vol.30

前回コラムの予告通り、今回は『森泉アナ、実況ハプニング集』をお届けします。
暗い話しばかりでは、どうしても免疫が下がりますから。
少しでも明るい話で免疫を上げたいということで発案!
ネタが尽きた時などの“緊急事態”に出そうとしていたものですが、今がまさに緊急事態。
躊躇(ためら)いなく、出した次第であります。
面白いかどうかは保証できませんが、実況という“生もの”では、やはりハプニングがあるのです。
ということで、今回はレース実況中に起きた3つのハプニングを挙げていきます。

『ファンファーレ鳴らない事件』
『ヘッドホン付け忘れ事件』
『しゃっくり止まらない事件』

結構、やらかしています(苦笑)。

まずは『ファンファーレ鳴らない事件』から。
競技を問わず、レース前に鳴り響くファンファーレ。
レース開始前の高揚感をより一層、高めてくれる欠かせないものです。
ボートレース多摩川で実況していた頃。
当時、ボートレース界で使用されていたファンファーレが一新され、新たなファンファーレが導入されることに。
慣れ親しんだファンファーレが聴き納めとなるレースの実況を担当しました。
「最後のファンファーレ。やはり、優勝戦の前口上はファンファーレについて語るしかなかろう」
と、喋りたいことをメモ書きで用意していました。
個人的にも一般戦優勝戦用のファンファーレは気持ちが高まるので、お気に入りのBGMでした。

そして、いざ優勝戦!
全艇が勢いよくピットアウト!
ここでファンファーレが……鳴らないっ!!

そう、ファンファーレが聴こえてこないのです。
「あれ?鳴ってないよね?」
周りを見渡すと、審判さんたちも異常には気付いている様子でしたが、待機行動の監視もあり、レースコースである水面に集中。
「これ、ファンファーレが鳴ってないことを伝えたほうが良いのかな」
「いや、待てっ!この部屋(審判室)しか聴こえていなくて、場内やテレビ中継では聴こえているパターンもある」
「もし、その場合は『ファンファーレが作動せず申し訳ございません』と、アナウンスしたら、それこそ間抜けだ。どうする森泉よ?」
今であれば対応力もついているものの……当時は実況を始めて2年目のペーペーですから。
いつもと違う状況に慌てる若手アナウンサー。
短い時間で考え出した答え、それはファンファーレが鳴り終わったであろうタイミングで喋り出す。
懸命に考え抜いた前口上メモはすぐに手から放し、何の役にも立たず。

レース後、当時の審判長から
「なんでファンファーレが鳴らなかったことに触れなかったの?」
そう尋ねられて
「いやー、この部屋だけ鳴ってないパターンを想定しちゃいました」
と、答えました。
結局は『審判室で鳴ってない=どこも鳴ってない』なのです。
イチかバチかが失敗した一幕でした。

続いては『ヘッドホン付け忘れ事件』……これはタイトルからして、そのままなのですが。

ある日のレース。
レースが始まり、いつものように喋り始めます。
「水面上、第〇レースが始まりました。現在、風は……」

“いつものように”と、書きましたが、一点だけ通常とは違う光景が。
そう、マイク付きのヘッドホンを装着しないままで実況を始めていたのです。
「えっ!ヘッドホンって声の返しがないのですか?」
何のためのヘッドホン?と、思われる方もいるでしょう。
返しというのは……簡単に言うと、喋っている自分の声を自分で聴くこと。
もちろん、オートレース・野球・サッカーなどの実況の場合は自分の声が聴こえます。
ですので、ヘッドホンを付け忘れていればすぐに気付きます。
しかし、ボートレース実況の場合、ヘッドホンから聴こえてくるのは審判さんたちのやり取り。
レース中はピットアウトから違反がないかなど、数人の審判さんが常に会話しています。
それを聴きながら実況をしつつ、失格などのアクシデントに対応します。
従って、自分の声は聴こえません。
それもあり、その日のレースではヘッドホンに気付かず喋り出しました。

その日は私の師匠である野村達也さん(@tatsuya_nomura)もご一緒しており、僕が座る実況席の後ろでレースを観ておりました。
ヘッドホンを付けていないことに真っ先に気付いたのは野村さん。
レースなので声こそ出していませんが、
「ええええええええええっ!!!!」
と、口と目を大きく開いていたそうです。(野村さん談)
そりゃ、そうです。
何も気付かずに平然と、喋り続ける後輩が目の前にいるのですから。
ヘッドホンは実況席にあるフックに掛けられたままの状態。
野村さんはすぐに僕の肩を叩き、その瞬間、私も絶句。
周りにバレないように、そっと、ヘッドホンを装着し、何事もなかったように振る舞いながら実況。
レース後、お偉いさんから呼び出されました。
「さっきのレース、実況の音量がものすごく小さかったんだけど」
「えーと、その……音量メモリの数値が低くなっていました!すみません!」
と、嘘をつき、その場を逃れました。
スイッチは入れていたので、辛うじて声は聴こえていたそうです。
もしも野村さんがいなかったらと思うと、今でもゾッと、する出来事です。
ちなみに貰い事故で、野村さんもご一緒に謝罪の場まで同行していただきました。
野村先生、その節は申し訳ございませんでしたm(_ _)m

最後は『しゃっくり止まらない事件』になります。
2011年11月、ボートレース江戸川で行われた施設改善記念レース『G1ダイヤモンドカップ』。
あるレースの発売中。
資料への書き込みなど実況の準備をしていると、しゃっくりが出始めました。
「おや?しゃっくりか。そう言えば実況している日、しゃっくりが出るのは初めてかも」
そのうち収まるだろうと思っていましたが、一向に止まる気配なし。
やがて、レースの締め切り時刻を迎えました。
「あれ、これはちょっとマズイぞ。これって、喋りだしたら止まるのかな?」
気付けば、レース開始。
全艇がピットアウトし待機水面へ。
「うーん、しょうがない!とりあえず始めよう!」
「G1ダイヤモンドカップ〇日目。水面上は〇レースのメンバーが登場です」
恐る、恐る喋り出しましたが、いつも通りの実況。
「よし、これなら大丈夫そうだ」
ピットアウトからスタートまで残り1分40秒程。
淡々と、選手紹介などをこなしていく。
「〇号艇○○……ヒック!!」
安心した瞬間に出てしまいました。
1回、出てしまうと、もうダメです。
「5コースには5号艇……ヒック!!」
「6号艇○○、先月、平和島で今年3回目の優勝をかざ……ヒック!!」
ボートレースはスタートまで残り10秒くらいまでは比較的静かな状況で実況しています。
従って私のしゃっくりの音がものすごく響く(笑)。
レースが終わった瞬間、すぐに『しゃっくりの止め方』を検索!
審判室のみなさん。
そして、審判室の隣にある番組室(レースの枠番やメンバー構成を決める部屋)のお姉様方からも様々なアドバイスが。
「息を止めると良いわよ」
「深呼吸をするんじゃないの?」
「ほら、お水を飲みなさい」
他にも急に物陰から出てきて驚かしていただくなど……。
優しいお姉様方のご協力で、これら全ての対策をレースとレースの合間に試しましたけれども。
この日に限って、なぜかすぐには収まりません。
次のレースもしゃっくり連発……。
大時計の針がゼロになり、スタートラインを通過すれば不思議なことに止まるのですが。
待機行動中や展示航走など『間が空く』時にしゃっくりが出てしまうのです。
結局、しゃっくりが完全に止まるまでに3レース程、結構な時間を要しました……。
途中から横に座る審判長も笑っていましたからね(苦笑)。
実況席のある審判室だけでなく、CS放送やネット中継、ボートピアやレース場内など。
モーター音の静かな状況の中、私のしゃっくりだけが鳴り響くのです。
変な形で自分だけが注目される、これはもう軽い拷問(ごうもん)です。
当時はだいぶ実況能力も向上し、個人的にも手応えを感じていた時期にこの失態。
しかもG1レースは全国発売なので、多くの方の耳に私のしゃっくりが……。
思い出すと、今でも恥ずかしい!!消したい過去です。
当時は某動画サイトなどにこのしゃっくり実況がよく投稿されていました。
現在も私は動画を見つける度、削除依頼を出しています(笑)。

以上が『森泉アナ、実況ハプニング集』でした。
いかがでしたか?
免疫向上に一役買うことはできましたでしょうか。
なかなか文章にすると難しいですね。
身振り手振りを交えながら、喋って説明したいくらいです(笑)。
他にも『りんご事件』を筆頭に。
『漢・田代祐一氏が常に視界に入るレース』、『君のお父さんのせいで昼飯抜き事件』などがありますけれども。
これはまた、機会がある際に披露できればと、思います。

様々なハプニングをご紹介して参りましたが。
これでは私が単なるポンコツ・アナウンサーだと思われてしまいますので。
同業者のみなさんからのハプニング集もお待ちしております(笑)。

さて、無観客レースが続いている中、注目が集まるのがインターネット投票。
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*前回の『チャリ・ロト劇場 燃えろ!!オートレース』ハイライト
先日3月25日、見事、放送100回を迎えました。
これもひとえに視聴者の方々の御贔屓があってこそだと、思っております。
今後も『燃えろ!!オートレース』をお楽しみいただければ幸いです。
https://www.chariloto.com/articles/326?top

先日、その100回目の放送に出演させていただきました。
出演者、視聴者、共にに的中がなかなか出ないという、100回記念にふさわしくない?展開に。

そこから一転。
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勝負は引き分けとなり、結果、節目の放送にふさわしい接戦となりました。

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4月22日~4月24日(川口オート・デイレース)
4月30日~5月1日(浜松オート・デイレース)
私は4月23日、30日、5月1日に出演予定です。
出演者などの詳細は
「チャリ・ロト劇場 燃えろ!!オートレース」のTwitter公式アカウント(@VIP98668938)をチェック!

【オートレース/今後の記念レース日程】
・4/25~ SGオールスターオートレース(飯塚)
・5/13~ G2稲妻賞(伊勢崎)*ナイターレース
・5/26~ G1開場記念ゴールデンレース(浜松)

【略歴】


森泉宏一(もりいずみ・こういち)
1984年5月8日生まれ
東京都出身 広島県・富山県育ち

父親の影響もあり、学生時代は野球に打ち込む
25歳の時、ボートレースで公営競技実況デビュー
2017年4月から伊勢崎オートでオートレース実況を始める
公営競技実況の他、プロアマの野球実況
さらにはイベントや展示会の司会
広告モデルや話し方教室講師などでも活動
野球好きの選手からの誘いもあり、
伊勢崎オートの野球チーム「キラッツ」に入部
しかし、デビュー戦において投手で二桁失点を喫する
その為に最近、オートレース界隈でその実力が疑われている
某選手からの「投げるスタミナがあるだけで助かっている」
という慰めの言葉が唯一の救い

実況天国

森泉宏一

生まれは東京、育ちは広島、富山。学生時代に喋りの仕事を志し、2009年にボートレース実況でアナウンサーデビュー。2017年からはオートレース実況も始める。現在はYouTube配信番組などの出演も多く、「チャリロト劇場 燃えろ!!オートレース」出演時はMCも務める。パーフェクタナビでは「森泉宏一の実況天国」コラム連載中。プライベートでは2022年に年間100本の万車券的中を達成。試走タイムが出ない選手や逃げが得意の選手を好む傾向にある。公営競技を含めた日々の仕事の様子などを投稿している「森泉宏一のモーリーチャンネル」も絶賛更新中。

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