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ボートレースの順位操作

2020/01/17 (金) 10:08

ボートレースの順位操作

新年早々、衝撃的なニュースが全国を駆け巡る。世間ではカルロス・ゴーンの脱出劇で一色ではあるが、ギャンブルファンとしてはボートレースの順位操作の容疑で、元選手が逮捕されたニュースは衝撃的であった。順位操作と言えば、聞こえは良いかも知れないが、要するに八百長である。この時代にまさか八百長をする選手がいたとは……と、驚いてしまった。売り上げが好調で、飛ぶ鳥を落とす勢いだった業界が受けるダメージは相当なものだろう。

ギャンブルをしない人間にとって、ギャンブルと八百長は“切っても切れないもの”だと思っている方も少なくないだろう。競輪界においても過去、そういった事例があったと聞く。主要団体の幹部がそれを題材にした本を出版したとも聞いた。読んではいないけれども、知人によればリアルで、まさに裏話が満載だったそうだ。

今回のボートレースの件であるが、一つだけ競輪界と共通しているところがあった。それは携帯電話についてである。公営競技は公正を期すため、レース場に入る時点で、携帯電話をはじめとする通信機器を管理へ預ける仕組みになっている。逮捕された元選手は2台の内、1台のみを供出していた。これはチェックをすり抜けたとも言える。しかし、預けるとは言っても、これはあくまで自己申告。競輪界でも過去、携帯電話を持ち込んで処分された選手が何人もいた。チェック体制が甘いと、言わざるを得ない。『性善説』__日本人はこれを美徳だと考える節がある。しかしながら、そんな時代はとっくに過ぎ去っていると思うのは筆者だけであろうか?性善説を否定しているのではなく、あくまでもケース・バイ・ケースで物事を判断するべきだと、言っているのだ。IR計画が進む中、政界ではIR絡みで、衆議院議員が逮捕された。ギャンブルに対しての風当たりは相当、強くなった。いや、強くなったどころではなく、物凄い逆風が吹き荒れている。その中で起こった今回の事件はギャンブルファンの筆者にとって、世間の目が気になって仕方がない。

ここでもう一度、八百長(本当は使いたくない言葉であるが……)について、考えてみたい。八百長の線引きは果たしてどこにあるのだろうか?今回の容疑にあるような順位操作は言い逃れができない。ただ、競輪はグレーゾーンが多い。例えば、競走点数を一番持っており、単勝=1.1倍に推されるクラスの選手がいたと、仮定する。その選手は自力タイプである。いざレースが始まると、予想通りに先行するが、いつもよりハイペースで駆けている。勝ったのは番手の選手で、人気の選手は着外だったとする。見ようによっては、暴走に映るかも知れない。
大切なのは業界内ではなく、一般人の考えを基本として判断するべき、ということだ。

選手のコメントにしても「絶対、先行します」と、書いてあるのを目にすることがある。レースは“ナマモノ”なので、100%先行できるとは限らない。そのコメントを載せるメディアのセンスも如何なものか?と、思ってしまう。実際に先行できなかった時、ファンはどう思うのか?今回は決して、ボートレースだけの問題ではない。公営競技全体で、今一度、コンプライアンスを考え直さなければならないだろう。

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岩井範一

Perfecta Naviの競輪ライター

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