2017/08/27 (日) 14:05
*写真左から
ファンリーセン・ボイノワ・ハンセン・モートン
【ガールズケイリン参戦】
今年も短期登録制度で外国人女子選手4人が参戦。リオデジャネイロ五輪で、チームスプリント2位のアナスタシア・ボイノワ(ロシア)はすでに6月に来日していて、ロリーヌ・ファンリーセン(オランダ)、ナターシャ・ハンセン(ニュージーランド)、ステファニー・モートン(オーストラリア)の3選手も日本の地に降り立った。昨年から4選手が参加するようになったが、今年は昨年に比べると小粒な感じは否めない。
昨年を振り返ると、リオデジャネイロ五輪スプリント金のクリスティーナ・フォーゲル(ドイツ)、銅メダルのケイティー・マーシャン(イギリス)らが圧巻の走りを見せ、日本のファンの度肝を抜いた。日本人選手の中には「どうせ戦っても勝てないんだから、外国人と別の斡旋になればいい」などと、とてもプロとは思えない発言をする選手が何人もいた。
今回、注目選手はやはりボイノワだろう。6月の来日以降、同じく短期登録のデニス・ドミトリエフ、オーストラリア人でありながらロシア国籍を取得したシェーン・パーキンスらとトレーニングを積んでいる。ロシア代表チームのコーチも来日しており、ロシアのナショナルチームが日本でキャンプを張っているようなものだった。キャリア的には1番だろうが、チームスプリントは個人種目でないため、果たしてその実力はいかに?
面白いのがファンリーセン。2010年バンクーバー冬季五輪はスピードスケート代表として参加して、1000mで銅メダルに輝いている。日本でもお馴染みのテオ・ボスの兄である、ヤン・ボスもスピードスケートと自転車で五輪に出ている。日本では橋本聖子(現参議院議員)が二刀流で有名だった。リオデジャネイロ五輪ケイリンではフェンスに激突しながらクラッシュしなかった。これは今でも映像&画像として見ることができる。ミラクルとしか言えないものだった。自転車競技歴がまだ2年ちょっとだと言うのも魅力の一つだ。
ボイノワとファンリーセンは記者会見からもやる気が感じられたが、ハンセンとモートンはそれがなかった。物見遊山(ものみゆさん)とでも言うのか、日本でのしばしの生活が楽しみ、そう感じてしまったのは筆者だけだろうか?そんな選手に歯が立たないのであれば、いかにガールズケイリンのレベルが低いかがわかる。
【日本人選手はどう対抗する?】
今年のオープニングは9月6日からの平塚になる。ここで対戦するのは、日本のガールズケイリンを代表する1人でもある尾崎睦。昨年は外国人選手との対戦を避け、欠場する日本人選手も見受けられた。それも下位レベルではなく、一般的に一流と言われる選手もいた。優勝できないのであれば欠場……情けない話しであるが、それが現実だった。日本を代表する自力型が最初から外国人選手のマークに出て2着といった競走もあった。世界レベルの選手と一緒に走り、肌で感じて成長につなげる。そんな考えを持った日本人が果たして何人いるのか。
以前、参加した外国人選手が「どうして日本人は対戦相手と直前まで仲良く話していられるのか不思議でならない。五輪や世界選手権、ワールドカップでは考えられない。勝負を甘く見ている」と、話してくれた。筆者もそれは感じている。競走が終わって着も悪いのに引き揚げて来る時には笑っている。これでは車券を買ってくれたファンを馬鹿にしているも同然だろう。そういった選手はいったい何を考えプロの道を選んだのか?もちろん、ガールズケイリンの選手全員がそうではない。高い志を持ってこの道に進んだ者もいる。
ファンは外国人の走りをただ見たいのではない。五輪のメダリスト相手に、日本人選手がどれだけ対抗できるのかを見たいのだ。最初から勝つ気がなく、2着で良しとするならプロとして失格だ。その意味でも、まずは尾崎睦の走りをシッカリ見てみたい。
Text/Norikazu Iwai
Photo/Perfecta Navi・Joe Shimajiri
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター