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スターとは

2017/07/19 (水) 09:37

スターとは

真夏の祭典と言われるサマーナイトフェスティバルは新田祐大の優勝、ガールズケイリンフェスティバル2017は小林優香だった。2人に共通しているのはスターということ。そこで今回は「スター」について書いてみたいと思う。
スターの定義とは何であろうか?一般的には影響力があって強くて人気がある、になるだろう。スーパースターとなると、それこそカリスマ性がある、も加わる。
落ち込みが激しい売り上げ。10年以上前から競輪関係者は打開策の一つとして「スターを作らないといけない」と言ってきた。しかし、ちょっと待って欲しい。スターは作るものではない。あくまでもファン、世間に認められるキャリアがあってこそのスターである。野球にしろ、サッカーにしろ、ボクシングも。スターは皆、業界が作り上げたものではなく、自らの力で頂点を極めた者たちである。
世界選手権10連覇の中野浩一氏は競輪を知らない人たちでも知っているスーパースター、参議院選挙の候補に名前が挙がるほどだ。競輪学校の校長である滝沢正光氏は民放のバラエティーに出演するなど、中野氏に次いで知名度があったと思う。その後はロス五輪銅メダリストの坂本勉氏や吉岡稔真氏あたりか。五輪でメダルを取る偉業は世間にも認められるということ。現在は村上義弘、武田豊樹、平原康多は誰もが認めるスター、いや、スーパースターである。ただし、これは業界内の話しである。

だが、最近はやたらとスターという言葉が乱立しているように思えてならない。107期、109期の若手がデビューしてすぐS級に上がり、G1の決勝やG3で優勝したりすると、マスコミはこぞってスター扱いをする。深谷知広がデビューした時のことを思い起こしてもらいたい。彼は強かった。彼はスターである。あのインパクトが果たして今の100期台にあるか?いや、ないだろう。たまたまグレードレースで好成績を挙げてF1で優勝を重ねれば、スターになってしまう。だが、スターという言葉はそんなに安くないはずだ。私が思うに100期以降でスターと言えるのは、日本選手権を制した三谷竜生くらいだろう。その三谷にしてもオールスターのファン投票ではそれほど票は伸びていない。ファンを呼べる魅力があるかと言われれば……。ノンタイトルでも脇本雄太は“お客さん”を呼べる数少ないスターである。
スターは決して作られるものではない。これを勘違いしている関係者が多いから、業界の進歩がないと考えられる。業界がすべきはスターをいかに世間一般の人間に知ってもらうかだろう。内部だけで満足しているようでは先がない。前述したように業界内でのスーパースターは村上、武田、平原、スターはG1のタイトルを獲っている人間。そして、脇本あたりになる。G2、G3を勝ってもスターではない。マスコミが持ち上げるからその気になってしまう選手もいる。結果、そういった選手が潰れていく。関係者もマスコミも簡単にスターという言葉を使うのは避けるべきだ。それでは、本当のスターに対して失礼であろう。

Text/Norikazu Iwai
Photo/Perfecta Navi・Joe Shimajiri

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岩井範一

Perfecta Naviの競輪ライター

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