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【G1直前賞金状況】グランプリ争いは膠着状態…“打倒S班”で上位戦線に新たな風吹かすのは?/オールスター競輪

アプリ限定 2025/08/09(土) 18:00 0 1

サマーナイトフェスティバル(GII)」が終了しいよいよグランプリ争いも本格的に。後半戦一発目のGIである「オールスター競輪」を控えたこのタイミングで、競輪界の中心的存在であるS班の活躍と次期S班の座を狙う有力選手について獲得賞金状況から考察した。(※賞金8月7日時点)

サマーナイトフェスティバルを制した眞杉匠(撮影:北山宏一)

関東ワンツーで上位に変動なし

 後半戦最初のビッグレース・サマーナイトフェスティバル(以下サマナイ)は眞杉匠の連覇で幕を閉じた。

 サマナイ前から賞金的にほぼグランプリ出場が濃厚だった眞杉、ダービーを制覇吉田拓矢のワンツー決着だったため賞金状況には大きな変化は起きなかった。

 そのためまだ現状では賞金下位の選手にもグランプリ出場のチャンスは十分にある。次に控えるオールスター競輪に向けて今一度、現在の賞金状況をおさらいしていきたい。

S班3人が1億円突破

 さて、ここで競輪界の頂点に位置するS班の賞金状況を見てみよう。7月から繰り上がってS班となった松浦悠士、そして24年末にS班から陥落した選手も含め、賞金ランキング50位以内に入っている11選手をグラフで紹介する。

 まずS班の中で現状グランプリ圏内に位置しているのは古性優作眞杉匠脇本雄太郡司浩平新山響平の5人だ。

 2位の古性優作はGI未勝利にもかかわらず賞金は1億2千万円を突破した。サマナイ準決勝での落車が気がかりではあるが、連覇が懸かるオールスターで躍動する古性の姿をファンも楽しみにしているはずだ。

古性優作(撮影:北山宏一)

 3位眞杉匠は前述の通りサマナイ連覇を達成し賞金1億円突破、例年のボーダーを考えればグランプリはほぼ当確だろう。あとは年末の本番に向けて関東勢の仲間を何人連れ込めるかがグランプリ制覇の大きなカギとなる。

 5位郡司は今年、ビッグレース含めて優出を逃したのがわずか2回のみと安定感バツグン。ただ郡司の実力を考えればこれで満足とは言えない。初のグランプリ制覇に向けてここで一つ、タイトル奪取で弾みをつけて年末を迎えたい。

 6位脇本は全日本・宮記念制覇でグランプリは確定しているものの、サマナイを腰痛で欠場するなど状態が心配される。まずはしっかりと体調を万全に戻して、またあの豪快な捲りを見せてほしいところ。

脇本雄太(撮影:北山宏一)

好気配の清水、ピンチの松浦

 一方、現状グランプリ圏内から漏れているのは、犬伏湧也岩本俊介清水裕友松浦悠士の4人だ。

 岩本、犬伏は年始からずっと大崩れはせず10位台には付けているものの、どこかワンパンチ足りないレースが続いている。2人ともタイトルに遠くない位置にはいるはずだが、どこかで一枚殻を破る必要はありそうだ。

岩本俊介(左)と犬伏湧也(撮影:北山宏一)

 清水はスタートで出遅れたが宮記念、サマナイと連続で優出を果たし16位まで上げてきた。例年夏になると成績を落とす傾向にあるが、サマナイでの活躍を見るに今年は一味違う。太田海也取鳥雄吾らの強力な援軍に力を借りつつ年末の大舞台を目指す。

 松浦は苦しい状況だ。2月の静岡記念、5月の宇都宮記念と落車に苦しめられながらようやく完全復活かと思われた矢先にサマナイで落車と負のスパイラルに陥っている。オールスターも欠場となってしまったが、残されたGIでわずかなチャンスをものにできるかどうか。

松浦悠士(撮影:北山宏一)

山口拳矢に復調の兆し

 またS班陥落からの即復活を狙う選手たちも奮闘している。

 深谷知広は年始から好調をキープし6位の位置に。地元静岡FIで完全優勝、サマナイは準決勝で敗退を喫するも最終日では寺崎浩平石原颯嘉永泰斗をひと捲りでねじ伏せるなど35歳でもまだまだ自力脚は上位だ。郡司浩平との強力タッグでさらなる高みを目指す。

 復調気配漂うのは山口拳矢だ。年始一発目の立川記念を制して今年の活躍を予感させたが、そこからはいまいちピリっとしない成績に。しかし6月の四日市FIで完全優勝、そして8月の富山記念でも優勝を果たすなど本来の山口らしい爆発力が戻ってきた。まだ21位と上位は遠いが、山口の力なら賞金ではなくタイトル奪取で一発回答という可能性も十分にあり得そうだ。

山口拳矢(写真提供:チャリ・ロト)

 50位圏外からの大逆転を狙うのが佐藤慎太郎だ。松阪記念の落車から復帰後も長い間低迷していたが7月の小松島記念で優出、サマナイも予選で敗れはしたが負け戦では3戦とも確定板に入る活躍で徐々に復活の気配を漂わせている。限界を感じさせない走りでまだまだ「中年の星」として輝いてほしい。

打倒・S班の候補は?

 最後に、S班以外の賞金上位選手を見ていきたい。

 首位を走る吉田拓矢は順風満帆。サマナイ、京王閣GIIIでも準Vの好成績を残し賞金は1億4千万を突破した。眞杉と同じく後半戦吉田に求められる役割は関東全体を盛り上げて、一人でも多く年末で共闘できる仲間を増やすことだろう。

 寺崎浩平はサマナイ前7位からステイ。前半戦は捲り主体のスタイルで戦っていたが宮記念あたりから徐々に長い距離を踏む仕掛けが増えてきた。近畿は古性優作南修二三谷将太など番手の仕事をキッチリとこなす職人が多く、今の先行スタイルがより輝く環境といえるだろう。初のグランプリ出場へ向けこのまま年末まで突っ走る。

 中部の大黒柱・浅井康太はサマナイ前9位から8位へランクアップ。中部の自力不足が足かせになっていたが、ここにきて山口拳矢の復調、さらに125期の逸材・栗山和樹がビッグレースへの初出場を決めるなど、浅井にとっては好展開といえるだろう。グランプリを2度制覇している大スターが40代でもう一花咲かせる。

浅井康太(撮影:北山宏一)

 ボーダー下10位に位置するのは松谷秀幸だ。近況は持ち味であるシャープなタテ脚を活かして宮記念で優出、いわき平FI優勝、そしてサマナイでは決勝で確定板入りをはたす大活躍で南関東を盛り上げている。松谷と同じく神奈川の郡司(5位)、松井宏佑(11位)、和田真久留(18位)らと力を合わせて年末に地元・平塚で行われる大舞台を目指す。

 今、競輪界はこの男を中心に回っていると言っても過言ではない、太田海也も20位まで順位を上げてきた。能力が高いのはもちろんのこと、サマナイでは予選5着で本来なら敗退のところから繰り上がり、次に控えるオールスターでもオリオン賞に出場予定だったがドリームレースに繰り上がるなど何か“持っている”と感じさせるような出来事が続いている。

 最後に取り上げたいのが近畿の重鎮・南修二だ。1月に斡旋停止、4月に落車と前半戦はなかなか本来の実力が出し切れなかった。しかし徐々に南らしいキレが戻ってくると7月に久留米記念で優勝、次走の福井FIでも完全優勝を果たし賞金も上位に迫ってきた。長年近畿の番手職人として奮闘してきた南、展開次第でその頑張りが報われる瞬間が訪れるかもしれない。

松井宏佑(撮影:北山宏一)

 優勝賞金6300万円とダービーに次ぐ高額賞金が設けられているオールスター競輪。グランプリ争いの大きな影響をもたらすことは間違いないと言っていいだろう。またまたS班がタイトルをかっさらっていくのか、下剋上はあるのか、片時も目を離せない戦いとなりそうだ。


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