インタビュアー阿部康雄さんを逆取材！

　今年6月から弥彦競輪場の場内インタビュー(1着選手インタビュー)を担当されている元競輪選手の阿部康雄さん。弥彦競輪場のイベント「素人脚自慢」で優勝したことがきっかけで、会社員から競輪選手に転身した異色の経歴で知られています。

　その後GIで2度の決勝進出、GIIIは6度制覇と新潟を代表するトップレーサーに上り詰め、2022年に現役を引退。今はかつてのホームバンク・弥彦競輪場で働いています。

ーーどんなきっかけで弥彦競輪場で働くことになったのですか？

阿部(敬称略)　弥彦村の方から声をかけていただきました。暇そうに見えたのかもしれません(笑)。今は場内の警備と、1着インタビューのインタビュアーをさせていただいています。

ーーインタビュアーの仕事を始めてみて、いかがですか？

阿部　もうまったく別の世界なので、慣れないし、物覚えも悪くて…(苦笑)。最初は緊張して体がガチガチで、全然うまくいきませんでした。

ーーどんなところが難しいと感じているのでしょう。

阿部　選手から話を引き出すのが難しいですね。こんな大変な仕事、やっぱり(選手として)走ったほうが楽だなと思います。

麻衣美(敬称略)　でも、阿部さんのお人柄があるから選手も何かしゃべってくれていますよね。

阿部　まあ、知っている選手がいると助かっています。基本的には毎日が勉強という感じです。

ーー特に印象に残っているインタビューを教えてください。

阿部　この前(9月3日)ガールズの板根(茜弥)さんが、インタビューの最後に一節歌ってくれて。元気がいいのはすごくいいんですけど、ちょっとびっくりしました…(笑)。

麻衣美　あれ、すごかったですね(笑)。

ーー確かに中継を見たら、板根選手の後ろで呆然と立っている阿部さんが映っていました(笑)。

阿部　どれくらい歌うのかな、とドキドキしながら時が流れるのをやり過ごしていました(笑)。一節だったのでちょっとホッとしたりして。でも人前で歌えるっていうのは、やっぱり選手に向いている方なのかなと思いましたね。

ーーなるほど(笑)。ほかに忘れられないインタビューはありますか？

阿部　同期の須藤直道選手が来たときに、逆質問をされまして…。インタビューの終わりに「あの、僕からも質問していいですか」って言われて。「阿部さんのカカリはどうですか」と…。

ーーなんと答えたんですか？

阿部　「今日はまあまあです」と(苦笑)。もういっぱいいっぱいなので、そうとしか答えられなかったです。お客さんは何の事だろうと思ったでしょうね(笑)。

ーー(笑)。やっぱり同期の選手が来られるとホッとしますか？

阿部　そうですね。やっぱり気楽に話を聞けますね。

ーー最後に、競輪ファンの方にメッセージをお願いします。

阿部　寛仁親王牌では私はインタビューは担当しないのですが、普段の本場では1着インタビューをやっていますので、ちょっと至らない点が多いインタビューではありますが、ぜひ聞きに来ていただきたいなと思います。

仕込み中の池端将巳さんを直撃！

　弥彦競輪場セダーハウス内で人気店『ラーメン輪』を営む池端将巳さん。加瀬加奈子選手や田中麻衣美さんの師匠であり、“いぶし銀レーサー”として活躍しました。

　2016年に現役を引退してから、すぐに調理師専門学校に通い飲食の道へ。『ラーメン輪』では麻衣美さんもお店のお手伝いをしています。しかし、今のような人気店になるまでは紆余曲折あったそうで…？

ーーもともと引退後は飲食に進むと決めていたのですか？

池端(敬称略)　そうですね。チャレンジに落ちたあと、競走得点が70点を切ったら次の道に進もうと心に決めていたんです。

ーー料理がお好きだったのでしょうか？

池端　包丁を初めて握ったのは30代になってからなんですけどね(笑)。そこから自分の好みの味が作れる楽しさにハマりました。あとは身内に飲食関係の仕事の人がいて、一度学校に通ったら？ と言われたので。

ーー調理師専門学校に行かれたのですね。

池端　はい、当たり前ですけど、みんなハタチくらいの若い子たちばかりで。僕は包丁の握り方も間違っていたし、箸で豆を取るテストもできないような落ちこぼれでした(笑)。

ーーでも、無事ご卒業されて…。

池端　はい。ハローワークに行って、当時住んでいた家の近くのホテルの求人に応募しました。そこで「こんなきれいな履歴書は見たことがない」と気に入っていただけて採用が決まりました。高校を卒業して、競輪学校に行って、そこからずっと競輪選手だったので。

ーーある意味、新卒のような履歴書かもしれないです。

池端　そうですね。年齢も年齢なので、独立を考えていることも理解してくださって。下積み期間もなく、いろんな経験をさせてもらいました。

ーーその後、独立されて『ラーメン輪』を？

池端　3年くらい経った頃に、知り合いから弥彦競輪場でラーメン屋を出す話があると連絡があったんです。その方に短期間でラーメンの作り方を教えてもらって、そこから数か月でお店がオープンになって。

ーーそんなに急だったのですか。今は大人気店だそうですね。

池端　それが、最初はまぁ不評でした。

麻衣美　今は美味しいですよ。でも最初はしょっぱかったり、しょっぱくなかったり…。

池端　味がしないとか言われたね(笑)。試行錯誤して、1年くらいで今の味に決まりました。

ーーそうだったのですね。おすすめのメニューは何ですか？

池端　うちの売れ筋は味噌ラーメンなんですけど、最近リピート率が高いのはまぜそばかな。自家製のチャーシューを漬けたタレをアレンジしているんです。

ーー美味しそうです。メニューの種類が多くてびっくりしました。

池端　みんなここにラーメンを食べに来てるわけじゃないから。競輪場のお客さんが来てくれるわけだから、いろんなメニューを用意するようにしたんです。しかも新潟のラーメン文化を知っているお客さんばかりだからね。

麻衣美　どんどん増えましたね。

池端　気づいたら増えて。ひとりでてんてこ舞いになってます(笑)。この前も100人くらいのお客さんに来てもらって。

麻衣美　めっちゃ混みましたよ！ 麺もなくなっちゃって、細麺のメニューも太麺で出させてもらったりして(笑)。

ーーすごいです。今、どのような部分にやりがいを感じていますか？

池端　こうしてたくさんお客さんに来ていただいて、競輪の話ができることが一番かな。結局僕はギャンブル好きなので。このお店がきっかけでミッドナイト競輪の解説の仕事をいただいたりして、思わぬ相乗効果もありました。

ーーいろんな角度で競輪界と関わりを持てているのですね。

池端　はい。ラーメン屋が終わってからYouTube配信の仕事に行ったりしています(笑)。すごく忙しいけど、楽しくやらせてもらっています。

ーー麻衣美さんもお店のお手伝い(※不定期)をされています。　

池端　(麻衣美さんは)器用な人だからね。イベントでも人を集められるだろうし、ここで働いていつでも会えてしまったら、彼女の価値を下げるんじゃないかと思って相談したんです。

麻衣美　でも、月に1回しか来れなかったりもするので…。

池端　来てくれるだけでありがたい。

麻衣美　恩返ししたいんですよ。今までお客さんとは接点がなかったけど、みんな話しかけてくれて楽しいです。

池端　オープンしてすぐの時に後閑信一さんが来てくれて「我々は競輪界で働かせてもらうのが一番だよ」と言っていたのが心に響いて。その言葉も今の環境もありがたいなとすごく思ったんですよね。競輪選手のセカンドキャリアは難しかったりするので、俺でもこんなことができたよ、というのを選手に知ってもらいたいというのはありますね。

ーー10月は弥彦競輪場でGI「寛仁親王牌」がありますね。

池端　GI開催中は4日間、お昼くらいから営業しようと思っています。

ーー最後に競輪ファンの方にメッセージをお願いします。　

池端　弥彦競輪場は唯一の村営競技場で、神社の境内にあるパワースポットでもあります。設備もキレイになって、地域のイベントもやっている素晴らしい競輪場なんです。最近は若い方や家族連れの来場も増えています。お店が混んでいなければラーメンを食べなくても(笑)、競輪の話をしに来ていただいてもかまいませんので、ぜひ弥彦競輪場に来てください！