ルーキーシリーズの名古屋、大宮と、ともに決勝まで駒を進め、実力があるところを見せつけた太田だったが、自己評価は思いのほか厳しかった。

「全然ダメ。自力が出せていないんです」と険しい表情で語ってくれた。よくよく話を聞くと姉である美穂からは「“なんでここで行かないの？”」、師匠の萩原操からも「“普段練習で出せてることがなんでレースで出せないのか？”」と、“Wダメ出し”を食らっていたようだ。

　それゆえに今シリーズでは並々ならぬ意気込みを見せている。「自信のあるダッシュだけじゃなくて、自力を出す気持ちで踏みます。気持ちじゃなくて自力を出します！」と力強く宣言してくれた。

　師匠の萩原操は7月にS級復帰が決定し、S級最年長勝利記録という偉業が訪れる可能性がある。その件については「そうですね。そうなったらお祝いしなくちゃですね。まだ考えてないですが、考えなきゃですね(笑)」と、師匠のことよりもいまは自分のことで精一杯のようだった。

　師匠のS級復帰と時を同じくして太田は地元・松阪で本デビュー(7/9〜)を迎える。姉と師匠と、そして愛ある“ダメ出し”によって育まれた太田瑛美は右肩上がりの成長曲線を描いていく。(netkeirin編集部)