山口優依が養成所に入所したのは27歳の時、それまでは美容師アシスタント、郵便局配達員、ストレッチトレーナーとさまざまな職を経験してきた。

「美容師アシスタントは昔からお世話になっている美容師さんがいたので2年近く働かせてもらいました。向いていなかったわけではないですが、手荒れがひどくなって辞めました。配達員は4年間続け、ストレッチトレーナーは身体への好奇心がきっかけです」

　自分が本当にやりたい事が見つからず、将来を模索する山口の視界に突然飛び込んできたのがガールズケイリンだった。

「きっかけは母の一言『脚が太いから競輪選手を目指してみたら』です(苦笑)。そこから、検索サイトで選手になる方法を探し、愛好会の存在を知り、高野輝彰選手(47歳・愛知=83期)に師事することができました」

　地元・愛知県半田市から約1時間半かけて名古屋市にある名古屋競輪場に通い詰め、2度目の試験で見事合格。「午前中はトレーニング、午後はサイクルショップでのアルバイトやジムトレーニングと大変でした。それだけに養成所に合格した時は嬉しかったですね」

　9年かけて見つけたガールズケイリン。明日いよいよデビュー戦を迎える。どんな競走を考えているのか。卒業記念レースでは積極性と最後まであきらめない走りが印象的だった。

「自力にこだわりたい気持ちはありますが、お客さんの車券がかかっているので、流れを見て臨機応変に動きたい。賞金ですか？ 家族でご飯に行きたいですね」

　お金に苦労してきただけにハングリー精神は人一倍強い山口の走りは注目だ。