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競輪グランプリ2回、ダービー4回優勝の村上義弘が涙の引退会見「自分の歩んできた道のりに後悔はありません」

2022/10/05(水) 14:00 5 122

 KEIRINグランプリ2回、日本選手権4回を含む特別競輪13勝を誇る村上義弘選手(48)が5日、東京・板橋区の日本競輪選手会で引退会見を開いた。「先行日本一」「魂の走り」で競輪界を引っ張り、ファンから愛された男が、28年間の現役生活に別れを告げた。

引退会見で家族についての話題を振られ、思わず感極まる村上義弘選手

 ネイビーのスーツ姿で登場した村上は、「競輪選手になって28年間、ひたすらに日本一の競輪選手を目指し、頑張ってきました。引退を決めた理由は燃え尽き、競輪選手として心身共に完全燃焼できたと思えたからです。自分が理想とする日本一の競輪選手には残念ながらなれませんでしたが、自分の歩んできた道のりに後悔はありません。仲間・友人・家族、そして何よりも多くのファンの皆さまに愛されて誰よりも幸せな競輪人生を送れたと思います。28年間本当にありがとうございました」とあいさつ。

 今年は4月の大楠賞争奪戦(GIII)で決勝に進出したが、6勝に留まり、5月19日の宇都宮競輪での1着を最後に車券に絡めない日が続いた。

 引退を決断したのは、9月12日の松阪競輪(FI)を終えた直後で、「初日・2日目は4着とダメで、3日目は自力で動くメンバーだったんですけど、弱気にならず勝負する気持ちでした。レースは2番手に飛びつき、最後抜いて1着だったんですけど、久しぶりに自分らしいレースが出来た。それまでずっと連に絡めなくてファンをがっかりさせてしまいましたが、この1着で納得してもらいたいという気持ちと同時に、これ以上、無様なレースを見せ続けるのは良くないんじゃないかなと思いました。『村上さすがだな』って思ってもらえるタイミングで引くのが良いのかなと、帰りの車の中で決めました」と明かした。

「これ以上、無様なレースを見せ続けるのは良くないんじゃないかな」引退決断の理由を語った

 村上が何より大事にしていた地元・向日町競輪で開催される平安賞(GIII)直前の決断。迷いは無かったのだろうか。「平安賞を走って引退も考えましたが、中途半端な気持ちで走るとレースに何らかの影響を与えてきますし、選手仲間に気を遣わせてはいけないと思いました。それを考えると向日町で走るべきではないと判断しました」。

 身長170センチと決して大きくない身体で数々のタイトルを獲得し、長年戦い続けてきた原動力には家族の支えもあった。家族について振られると、「松阪から帰ってきて妻にはその場で『これを最後にする』という話をしました。最初は驚いていましたし、家族が思い描いていた引退レースはあったと思うんですけど、妻も娘も何も言わずにただ『お疲れさまでした』と言ってくれて…」と言葉を詰まらせ、涙を浮かべた。

 他の競輪選手に大きな影響を与えてきた村上。「良い先輩、良い仲間、良い後輩に出会い、本当に人に恵まれた競輪人生を送ることが出来ました。後輩たちには自分の後ろ姿を見せることが、僕を育ててくれた先輩に対する恩返しだと思っています。直接会って言葉を伝えたいと思うんですけど、自分が先に泣いてしまいそうで…少し落ち着いてからそれぞれに言葉を贈りたいと思います」と語り、「車券を買ってくれたファンと共に喜べる瞬間をどんどん作って欲しい」とエールを送った。

 今後については未定で、「競輪を走れない、場内の一体感を味わないのは寂しいが、座右の銘である完全燃焼することができた。これからは選手のみんなを応援していきたい」と話した。

山口幸二さん(左)、市田佳寿浩さん(右)からサプライズの花束贈呈

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