2022/02/13 (日) 12:00 2
奈良競輪場で開催されている「春日賞争覇戦(GIII)」の決勝レース展望をお届け! 決勝は本日16時30分発走予定。
SS班が5人に脇本雄太まで加わり、豪華メンバーで始まった奈良記念。奈良は先手必勝、“先行有利が定石”のバンクなんだが、強い選手にそれは当てはまらない。一次予選、「脇本がどんなレースをするんだ?」オレの興味はその一点だった。
暫くぶりの実戦は前団の動きを見ながら、まくり圧勝だ。二次予選は古性優作を連れ、上がり9.5秒の快速先行で押し切った。傍目からは不安を一掃したかに見えたが、脇本本人はなんと内容に納得していないようだ! 北京五輪で羽生結弦が4回転アクセルに挑戦し、また平野歩夢が前人未到のトリプルコーク1440を成功させたように、オリンピアン脇本も高みを目指し、チャレンジし続けているように思う。
不完全でも強い脇本が帰ってきた! 完成したら…ヤバっΣ(゜Д゜)! SS班だろうが、ウカウカしてられねー。この脇本復活祭を誰かが阻止することができるのか? 初日特選で怪我から復帰したヨシタクが、脇本を手こずらせる一番手か?
準決勝10Rはヨシタクが絶妙のタイミングで主導権を取り、宿口と決めた。決勝へ乗ることを第一に考えた走りは、SS班の責任も加わり、大きく成長したようだ。
そして11R、グランプリ王者の古性優作が単騎とは? もったいない…! だが「そんなの関係ねえ」と意に介さず、豪快にまくり圧勝。逃げた石原颯が2着に粘り好調。12Rは松浦悠士が脇本の番手へ飛びつき、三谷竜生を競り落とし流れ込んだ。脇本の強さを肌で感じた松浦らしい作戦だったね。
決勝戦の注目は「5車の中四国勢で連係があるのか?」だったが、5車結束の並びが発表された。これで脇本と互角になり、勝負は面白くなった。初手は⑤脇本雄太-①古性優作の近畿コンビ、続いて②ヨシタク-⑨宿口陽一の関東タッグ、最後に⑧石原颯-④宮本隼輔-⑦松浦悠士-③柏野智典-⑥西田雅志の中四国勢と見る。
脇本包囲網を敷く布陣は、ヨシタクが切り、石原の発進。番手宮本が二段掛けで、展開は松浦に向く。8番手から脇本が反撃し、松浦とゴール勝負ってとこか。これに古性優作を絡めるのが本線だろ! 脇本が不発なら松浦-柏野で決まりだよね!
だが、この中四国連係を脇本が許すとは思えねー。前受けから全ツッパがある! 石原を合わせるのは容易い! 石原を外に置いて、古性優作が宮本を捌き、迎え入れよう! これなら誰も出る幕なく、人気で決まっちまうか。ウーン…。
でもあるとすれば…。もしや突っ張りまくれば、古性の後ろを追うであろうヨシタクの出番があるかもな! 突っ張り続ければさすがの脇本も押し切れん。古性が抜け出し、その後ろのヨシタクとゴール勝負だ! とまあ、今回の妄想先取りは①=②だけど、どうも今回は歯切れが悪い! スマン!
吉井秀仁
Yoshii Hidehito
千葉県茂原市出身。日本競輪学校第38期卒。選手時代はその逃げるスピードの速さから「2週半逃げ切る男」と称され人気を集める。1978年競輪祭新人王戦を制し、翌年も小倉競輪祭の頂点に立つ。1980年の日本選手権は完全優勝、1984年オールスター競輪でも覇者となり、選手としての一時代を築き上げた。現役引退後はTV解説者やレポーターとして活躍、競輪場での予想会イベントやYoutubeのライブ配信なども精力的におこなっている。ファンからは「競輪客のような解説者」と親しまれており、独特のひらめきによる車券戦術を数多く披露している。