閉じる
前田睦生の感情移入

【玉藻杯争覇戦】高松大好き男・松浦悠士と高松の超新星・石原颯の大事な一年

2022/01/26 (水) 12:00 7

2020年大会優勝時の松浦悠士

玉藻杯争覇戦、ただいま連覇中

 松浦悠士(31歳・広島=98期)が今年も高松で吹き上げる。一昨年の大会はどこまでも進んでいくような走りで、優勝を気持ちよくかっさらった。昨年は疲労なのか、「精神的にきつい」と吐露する中での優勝。真杉匠(22歳・栃木=113期)とやり合った町田太我(21歳・広島=117期)の後ろから、町田は不発だったが執念の走りで優勝をつかんだ。

 高松を走ると、何か力が湧いてくるのか。高いところで安定するのは、もはや普通。松浦自身はそこから上しか見ていない。昨年は秋ごろに状態を崩したこともあり、その経験が今年に生きるだろう。

 25日に公開された本人のコラムにも書かれているが、今年は「賞金王になりたい」と明言している。自分自身を鼓舞する思いも感じられるが、松浦は自分でコラムを書くなかで“ファンも一緒にオレのストーリーを歩んでほしい”と考えているのでは…と思う。

 笑顔からもわかるだろうが、「オレはここにいるから、みんなもここにいてよ」感がある。人懐っこいところが、今、形を変えて「強さ」を生んでいる。

 競輪を楽しむに当たっての最高の形だ。ぜひ、ファンのみなさまには長く松浦のストーリーを自分の中のものとして感じていってほしい。応援している選手が負けたら悔しい、はこうして文字に書けば普通のことだけど、人がつながるということは人間が持つ美しさの一部でもある。

今年はリベンジの一年

悔しがる石原颯

 石原颯(22歳・香川=117期)にはとても大事な一年が始まっている。昨年のヤンググランプリでは町田の番手を追い切れなかった。何度も何度も頭を下げていた。ひきつる顔を見て、来年どれだけ強くなるのかな…と、偉そうで申し訳ないが、頼もしくも感じた。

 悔しがるのは簡単。悔しいのは当然。では、その思いを爆発させられるのか、が選手には問われる。年齢は関係ないとは思うが、若くして味わったこの屈辱を大きく伸ばせるチャンスが若者にはある。「若者の特権」とは確かな言葉で取り返すチャンスもあれば、もっともっと強くなれる時間がある。

 若い時の苦労は買ってでもせよ、も同意。腹の底からの力を蓄えるには、若い時に失敗やつらい思いをいくらでもした方がいいのは間違いない。そういえば、前エントリーで取り上げた佐藤礼文(30歳・茨城=115期)もいるな…。

 元々が選手になるまでの受験も何度も落ちている苦労人だし、とにかく今を見つめたい。

面白過ぎるメンバー

九州勢は怪しげな雰囲気が持ち味

 S班は松浦の他、佐藤慎太郎(45歳・福島=78期)、宿口陽一(37歳・埼玉=91期)、古性優作(30歳・大阪=100期)と揃う。結束する中四国勢に対し、どんな攻めで応じるのか。佐藤は豊橋記念「ちぎり賞争奪戦」からの転戦も慣れたもの。宿口と古性は前走からの上積みを求めていく。

 九州勢は中川誠一郎(42歳・熊本=85期)と北津留翼(36歳・福岡=90期)の“ある意味両巨頭”が揃い踏み。力だけならS班に遜色を取らないが、どうにもちょっとしたポカが…。でもそれが持ち味という、不思議な2人だ。

 写真は2020年大会の準決前で、津村洸次郎(30歳・福岡=101期)ー中川ー八谷誠賢(46歳・福岡=77期)で並んだ時のもの。中川ら、穏やかな雰囲気そのものが明らかだが、また今年もいろんな話題を提供してくれるだろう。1月8日、冬の佐世保でバンクレコード(10秒7)を計時した脚は、今回何を生み出すのか。


Twitterでも競輪のこぼれ話をツイート中
▼前田睦生記者のTwitterはこちら

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

バックナンバーを見る

質問募集

このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。
あなたからコラムニストへの「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。

前田睦生の感情移入

前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

閉じる

前田睦生コラム一覧

新着コラム

ニュース&コラムを探す

検索する
投票