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ガールズグランプリ2025はこうなる! 競輪記者が語る“サトミナを倒す唯一の方法”と2026年新時代/ 競輪記者座談会 vol.3

アプリ限定 2025/12/10 (水) 12:00 16

netkeirin5周年を記念してお届けしている「3名の敏腕競輪記者による座談会」シリーズ。
12月30日に平塚競輪場で「KEIRINグランプリ2025」が開催され、その前日29日には同競輪場で「ガールズグランプリ2025」も行われる。そこで、激闘の歴史を近くで見てきた3人の競輪記者に集まってもらい、今年のガールズケイリン、そしてその未来を徹底討論。どうぞご覧ください。(取材日:11月30日)

▶記者座談会 vol.1「2025年トップ戦線」編
▶記者座談会 vol.2「KEIRINグランプリ2025年予想」編

まさに佐藤水菜の一年だった2025年ガールズケイリン界のワンシーン(写真撮影:北山宏一)

松本直記者(デイリースポーツ、以下松本) 今年はもう佐藤水菜の一年でしたね。年間グランドスラム達成、取りこぼしはオールガールズクラシック準決勝一回だけ。パーフェクトな内容でした。

松井律記者(日刊スポーツ、以下松井) ファン目線で言うと、脇本雄太(ワッキー)がまだタイトル全然取れなかった頃は「ワッキー頑張れ!」「次こそ取れ!」って応援してたんだけど、いざ脇本がタイトルを獲るようになったら、今度は「またワッキーか」と。佐藤水菜が一強すぎて波乱の要素を感じない。勝って当たり前みたいなレースになって配当の旨みがなくなってるね(笑)。

前田睦生記者(東京スポーツ、以下前田) もう、穴党体質だから、せめてサトミナが2着になる展開を考えてはみたものの、それすら答えは出てこない。

松井 100万円を110万円にする博打はやってないのよ。100円を1万円にしたいわけよ。となるとサトミナのレースは手を出せなくなっちゃうよね。

前田 30年、いや50年に一度に出てくるかどうかの選手の強さだと思いますよ、サトミナは。

松本 勝率がもう「男子全盛期の滝澤正光」を超えている。走っている回数が違うけど、1着を獲りっぱなし。

前田 世界一強いケイリン選手でしょ? 女子の。ロス五輪の金メダルを獲るまで心落ち着かせて見守りたい。ただ、ギャンブルとしての旨みはたしかに無くなってしまった。力差があるので、オートみたいなハンデ戦でのサトミナを見てみたいですね(笑)。

競輪祭女子王座戦決勝レース映像

松本 二人は穴党だから買いづらいかもしれないですけど、本命党からしたら、こんなに車券で勝負しやすい選手はいない。

松井 210通り(全-全-全)が30通り(サトミナ-全-全)まで絞れるんだもん。買いやすいだろうね。

前田 もう日本の女子自転車界そのものを変えている存在なんですよね。世界でもトップクラスなのは間違いなくて、彼女にとってプレッシャーはものすごいと思うんだけど、やっぱりオリンピックでの金メダルを見たい。ロス五輪の金をね。パリのときもチャンスはあったと思ってたし、実際あの結果は打ちひしがれるような悔しさがあった。でも、そのあと世界選手権を2連覇してきたでしょ。あれは本当にすごい。世間は大谷翔平がすごいって言うけど、競技の規模は違っても、変わらないぐらいすごい選手だと思います。

競輪祭女子王座戦決勝ゴール前(写真撮影:北山宏一)

松本 さて、そんな佐藤水菜が中心のガールズグランプリ2025ですが、どう考えますか?

松井 梅川(風子)は今年ナショナルから離れてむしろ強くなったよね。賞金もしっかり積んだし、気持ちが良い方向に働いてる。サトミナを止められるか、止められないかでいうと、梅川風子が打倒サトミナの一番手だろうね。結局、サトミナが2着や3着に終わるパターンって、“腹くくって逃げる選手”がまず一人いて、その前に梅川がしっかり好位置を取ってる形なんだよね。で、サトミナが後方から仕掛けてきたところに、梅川がタイミング合わせて踏み直す。梅川ひとりのパワーでどうこうじゃなくて、もう2〜3人が連動する流れを作って、サトミナを外に浮かせる展開。そういう流れじゃないと、サトミナを2着3着に落とすのは無理かなって思う。

前田 私は梅川が中団にいるときはサトミナが梅川の動きをみて動くので捕まえやすいと感じます。それより、梅川が腹をくくって、捲りづらいペースで踏めれば…という妄想はあります。

松本 やっぱり二人ともキーマンは梅川でよいでしょうか。

ガールズグランプリ2025のキーマンは梅川風子(写真撮影:北山宏一)

前田 児玉(碧衣)のカマシはすでにサトミナの術中だし…。

松本 児玉は波があるけど、それがバチーンとはまった時にはサトミナに匹敵するパフォーマンスを出せる選手だから。角令央奈の練習を取り入れてますし。

松井 量より質の練習タイプなんでしょう、といいながら量も相当努力していると思うけどね。

松本 これまではナショナルチームへの意識が強かったけど、今はもう自分の立ち位置がわかっていると思うので、“挑戦者・児玉碧衣”として、今年のガールズグランプリを迎えてほしい。

児玉碧衣の笑顔に期待(写真撮影:北山宏一)

松井 そうだね。“打倒ナショチ”って、俺たちメディア側も煽ったし、太田りゆ、梅川風子、佐藤水菜が強いから国内組がんばれよ、っていう対立構図作ったけど、ナショナル組の強さは対立構図を超えてしまっている強さになっちゃったから。ファンもそう思ってるだろうしね。でもグランプリだけは何があるかわからない。去年は石井寛子が優勝したし。

松本 去年の段階で佐藤水菜が負けると思いました? それが坂口楓華のカマシが決まってその番手にはまった石井寛子が優勝。3連単は40,490円でした。今年も波乱があるかどうか。

松井 2022年の平塚ガールズグランプリでは落車もあったしね。

松本 3コーナーでアクシデントがあった、あれ以来の平塚グランプリですね。彼女にとっては育った地元バンクですから。

前田「カニがいる」とか言ってましたね(笑)。ただ今年はもうサトミナの負けはないと思います。坂口楓華は、今年一年苦しかっただろうけど、どんな形にせよ直線でいいところにいるという勝負になってほしいです。

松井 捲り一辺倒で1着並べる選手じゃなくて、やっぱり坂口はちゃんとレースを作ってるから。そういう意味ではね、報われてほしいところあるな、彼女のレースぶりはね。

記者たちから高い評価を集めた半田水晶(写真撮影:北山宏一)

松本 では、来年、2026年のガールズケイリンの展望といきましょうか。仲澤春香、大浦彩瑛、128期では酒井亜樹、半田水晶、北岡マリア、岡田優歩。新しい選手が台頭した一年でしたね。

松井 半田はいいよね。骨格的にも丈夫そうだし、“奥井迪の後継者”と言われても納得できる“先行”だよね。あと大浦。熊谷芽緯も今年はもっとハネると思ったけど。

松本 熊谷も唯一無二のフォームだし、勝つときの鮮やかさは本当に見事です。前田さんは?

前田 酒井はまだ完成されていないから、どのくらい成長していくのか、ナショナルチームでの活躍含めて期待していて見ています。

松井 ナショナル組は比較対象がデカすぎるよね。どうしてもサトミナと比べられるし。まだあの二人はそこまでのレベルにはいないじゃん。ナショナルというフィルターをかけられるのは重たいと思うよ。

競輪祭決勝が苦い経験になった仲澤春香(写真撮影:北山宏一)

松本 仲澤は競輪祭決勝が苦い経験になってしまいました。

前田 場数を踏んでいかないとああいうことが起こりうるんだな、って。とにかく場数をこなしていってほしい。

松本 128期の北岡、岡田は自粛欠場期間を伸びる時間にしてきた。復帰後のレースは仕掛けられているし、2か月の休みをプラスに変えてきた。自転車は進むし。来年期待したい選手たちですね。

松井 華があるからね。変な誘惑に負けず競輪にしっかり集中してほしいって思う(笑)。

128期・期待の北岡マリア、岡田優歩(写真撮影:北山宏一)

松本 「松本、前田苦笑い」って書いておいてください(笑)。さて、次年度はオールガールズが松戸、パールカップが岸和田、女子オールスターが佐世保、競輪祭女子王座戦が小倉で行われます。

松井 西が多いね。

前田 松戸とか佐世保とか直線短いから先手を取って、打開策をはかろうとしても、結局サトミナという気がしますね。変わらない。

松井 根本の話なんだけど、男子は“強い選手を後ろに置いて前で動きを作って倒す”って戦い方がある。でもガールズって、どうしても“強い選手の後ろを取り合う”傾向があるじゃん。そうなると、後ろを取り合ってる選手たちは着を拾えて、より強い選手が勝ちやすい傾向なっている。常にサトミナを7番手に置いて6人で包囲するぐらいのレースが一回あれば、もっと荒れる可能性はあるんだけど。現状のガールズの戦い方見てるとサトミナは負けにくいよね。

松本 そうですね、そこで半田がG1に出てきて、奥井じゃないけど、先行でサトミナに挑める選手が出てくると、ね。

松井 強い先行選手がいて、サトミナが全力でダッシュでマクらないといけない展開になった時。そうなるとサトミナの後ろは美味しくないわけ。ちぎれるから。そうなってくると、サトミナの後ろじゃなくて、先行の選手の後ろにいた方がいいな、って意識が変わってくると思うんだけど。現状だとサトミナが8割ぐらいの力で捲っちゃってるから、後ろもつけやすくてついてっちゃう。

前田 熊谷芽緯にしても、先行で頑張れるところをG1でもう一回見せたいというところもありますね。先行で勝負できる選手が活路を見いだせるのか。そこが佐藤水菜一強時代を変えるポイントだと思います。

先行で勝負できる選手として期待したい熊谷芽緯(写真撮影:北山宏一)

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▶記者座談会 vol.2「KEIRINグランプリ2025年予想」編

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