2025/08/26 (火) 12:00 23
KEIRINグランプリ二度制覇!“ヤマコウ”の愛称で知られる山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
松戸競輪開設75周年記念GIII燦燦ダイヤモンド滝澤正光杯決勝メンバーが揃いました。
今節は南関勢の層が厚く、対抗馬として清水裕友の存在がありました。初日特選から南関必勝の意気込みが伝わってくる並びでした。しかし、『窮鼠猫を噛む』のことわざ通り、打つ手が無い雨谷一樹(栃木・96期)が、3番手の岩本俊介(千葉・94期)をさばいたところで南関ラインが崩壊します。結果的に混戦を北津留翼(福岡・90期)がまくって波乱決着。本線の2段掛けが簡単に決まらないことを露呈しました。そして、主力が別れる2次予選、清水裕友、深谷知広、郡司浩平、岩本俊介らは安定した走りで準決勝に進出します。『南関地区、あるいは千葉から優勝者を出す』のが最終目的の中で、それを達成するには骨のある選手が多いと思わせる前半2日間の流れでした。
準決勝は10R、格上位の清水裕友が敗れ関東の2段掛けが成功。11Rは郡司浩平が敗れる波乱となります。郡司の敗因は北津留翼が意外と踏んで抵抗したこと。それによって、北津留を突っ張ると脚力を大きくロスするので後ろを確認して、園田匠が離れているのを確認し番手に入ろうとしたことですね。これは郡司の調子が悪いと言うより運がなかったと言えます。
逆に北津留は普段は淡白な印象だけども、位置取り含めしっかり組み立てていると思います。最終12Rも深谷が同じような展開を作りましたが、ピッチが上がった後なので、番手に入ってすぐ巻き返せました。鈴木竜士に粘られた岩本俊介はよく耐えたと思います。並走のテクニックは脚力があってこそできることなので、混戦を怖がらなくなったことでひと皮むけましたね。
ここまで見て感じたことは、支線の2段掛けは成功しやすくても、本線の番手まくりは難しい、特に松戸競輪場のような短走路では、後手に回ると巻き返しが効かないので、難易度は増しますね。若い選手は駒として使われるだけではなく、何のためにプロになったのか深く考えて走ってほしいですね。
メンバー、ライン構成は以下の通りです。
①深谷知広(静岡・96期)ー⑨岩本俊介(千葉・94期)ー⑥三谷政史(奈良・93期)
②鈴木竜士(東京・107期)ー⑦雨谷一樹(栃木・96期)ー④神山拓弥(栃木・91期)
③北津留翼(福岡・90期)ー⑧小川勇介(福岡・90期)ー⑤園田匠(福岡・87期)
ラインの長さが均等な3分線となりました。脚力は①深谷が上位です。ただ最近の戦法がワンパターンになっていることは気掛かりです。果たして『前受け〜カマシ捲り』で大円団となるかどうか。南関勢が前受けすると中団が②鈴木ライン、後ろ攻めが③北津留ラインです。
S.①⑨⑥ ②⑦④ ③⑧⑤
残り2周半から③北津留が動き、①深谷は準決勝で郡司が抵抗して巻き返すタイミングが遅れたので一旦引くでしょうね。そして②鈴木の出番です。
←①⑨⑥
打鐘〜H.←②⑦④ ③⑧⑤
①深谷が②鈴木を易々と捕らえるなら⑨岩本の優勝チャンスが訪れます。
B.①⑨ ⑥
②⑦④ ③⑧⑤
・9=1-742
波乱がある時は近況好調な②鈴木の先行を、①深谷が叩くのに手間取り混戦になった時です。その時は③北津留に展開が向きそうで、初日特選と同じような展開になるのではないでしょうか。
←③⑧⑤
B.①⑨ ⑥
②⑦④
・3-978-9784
S級S班、地元の滝澤正光杯を⑨岩本は優勝することができるか。②鈴木や③北津留はどう組み立てるのか。楽しみな一戦となりました。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。