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猪突猛進

【清水裕友コラム】“勝負の後半戦”で本領発揮へ! 宮記念決勝は「過去一キツいレースだった」#36 猪突猛進

2025/07/11 (金) 12:00 25

前半戦最終戦で久々のGIファイナル入り! 今回の清水裕友コラム「猪突猛進」は昨年の日本選手権以来となるGI決勝進出した高松宮記念杯の振り返りを中心にお届け。年始に勝負と位置づけた7月以降に向けて、いい勢いがついた。最後は恒例のお便りコーナーもあります。

(撮影:北山宏一)

ーー今年3度目のGI高松宮記念杯は2日目からの登場でした。初日から走るのと、何か気持ちに違いはありますか?

 基本的には初日に走りたいと思って前検日に入りますけど。5連走も確定しますし…。初日に走らないからって休養日にならない。逆にやることが増えるので。どちらかといえば初日に走りたいですね。

ーー前検日にメンバーを聞いて“あっ”て感じでしたか?

 でもなんか2日目なんだろうなっていう予感はしてました。

ーー前回のコラムでは2パターンのフレームで悩んでいました。

 ダービーから宇都宮記念の3日目まで乗ったフレームで行きました。

(撮影:北山宏一)

ーー1走目(2日目)は捲って岩津選手とワンツーが決まりました。手応えはどうでしたか?

 1走目の手応えは良かったです。

ーー車の進み具合も?

 良かったです。

ーーコメントでは「高松宮記念杯の1着は奇跡」という言葉もありました。

 ここ最近、高松宮記念杯の勝ち上がりでいい着を取った試しがなかったので、ハイ。

ーーやはり時期的なものもありますし…。

 急に気候が変わるのにあまり対応できていなかったのもあるし、朝も早いんで。今まではそういうのも対応し切れていなかった。

ーー今年はそのあたりも特に意識して臨んだ?

 暑さの対策で言ったら去年からやってる暑さ対策が自分なりにあるんですけど、それがうまくいってるのかなと思いますね。

ーー普段は走らないような3Rでの出走でした。体は動きましたか?

 問題なかったです。

ーー難しい流れになった2走目(3日目)でしたが、結果的には小倉選手と現地集合でワンツーが決まりました。

 本当にたまたま決まっただけで、自分の走りとしてはラインとして機能するものではなかった。結果が良かっただけっていうレース。正直、打鐘では終わったと思ったので、最後はあそこまで届くとは思わなかった。

高松宮記念杯競輪2日目(撮影:北山宏一)

ーー逆に言えば状態の良さを確認できる1走に?

 脚は悪くなかったですかね。

ーー2走目は走り方に反省が。

 判断ですね。初手からちょっと変な感じだったのであのレースが。

ーー煽りもある中で捲りが届きました。

 いい感じで追いつけましたし。打鐘ではちょっと遠すぎてヤバいかなって思ったけど、追ってる時にHSでは“どっかで追いつけるな”って感じがあった。

ーー1、2着で4日目の白虎賞進出が決まりました。

 GIを走る上で、優勝するには優秀競走に乗るのが重要だと思っているので。そういう意味では良かったです。

ーー白虎賞は太田海也選手と桑原大志選手との連係でした。

 こういう大きいところで同県の桑原さんと連係できたのは嬉しかったですね。

ーー49歳の桑原選手もこのスピード全盛の時代で結果を残す。

 やっぱり桑原さんはすごいです。

白虎賞(撮影:北山宏一)

ーーレースは太田選手が脇本選手をドカしてからの仕掛けになって、口が開いてしまう場面もありました。「踏み出しというより加速がすごい」のコメントも見ました。

 なんかモーションがなく行っちゃう感じなんですよね。

ーー後ろに付いていて難しい?

 いや、脚力の差があるのは勿論なんですけど…。なんか気付いたらもう(前に行ってる)。一歩、一歩がすごい進むっていう感覚ですかね。普通ならパってこう、行ったと思って反応するけど。あまり離れるっていう感覚にならないんですけど、今回はちょっとすごい離れるような感覚でしたね。白虎賞は特に感じました。

ーー清水選手が前と離れてしまうっていうのは記憶になかったです。

 千切れるっていう感覚になったのはレースでは初めてだった。

ーー追いついて、最後は脇本選手が止めようのない大外を伸びてきました。

 ゴールでしっかり抜きに行っての外だったので、どうしようもなかった。

(撮影:北山宏一)

ーー自力戦、自力戦、太田選手マークで1、2、2着。結果としてはいい形で進んできました。

 自力よりも海也の後ろの方がキツかった。衝撃でしたね。とにかく強かった。

ーーこれまでの連係よりも強さを?

 すごい感じましたね。海也の一歩が僕らの二歩くらい進んでる感覚でした。

ーー準決勝も太田選手との連係でした。

 赤板のところで変な煽りがあって、ちょっとそれでまた遅れたんですけど。煽りを思った以上に避けて、海也が行った時に反応できなくなって遅れた感じに。自分の追走がヘタでした。

ーー車間を空けて、松本選手をブロックした際に内から小倉選手も来て…という流れになりました。

 あそこを凌げたのが大きかったですね。

ーーゴールして3着だというのはわかりましたか?

 はい。

ーー9Rの3着は(決勝進出が決まるまで)長かったですね。

 長かった。

ーーしかも最終レースが絶体絶命のような展開になりました(2着の郡司が3着なら決勝に進めなかった)。

 結構ドキドキして待ってたけど。でもまぁ、グランプリに出場する9、10位争いを経験してるので。あれに比べたらかわいいもんでした。

ーーなるほど?

 あれに勝るものはない。あれを経験してたら割とその辺の諦めはつきやすいと思う。

ーー結果的に決勝進出が決まりました。

 良かったです。久々にGIの決勝に乗れましたし。去年のダービー以来。

(撮影:北山宏一)

ーー高松宮記念杯の決勝は21年以来、4年ぶり。

 高松宮記念杯はあまり決勝に乗っているイメージがないんですよね…。自分の中では初めて決勝に乗ったくらいの感覚。

ーー5走制になってからは初めてですね。

 初めてです。

ーーけっして相性がいいとは言えない大会でした。

 自分の中で苦手意識があるっていうのが一番…。それで結局流れを悪くしてるっていうのもありましたね。

ーーGIの決勝で太田選手と乗れたのは初でしたかね?

 はい、海也が決勝2回目って言ってたので。

ーー決勝は近畿勢も南関勢も二段駆けが可能なシフトでした。どんな展開になるかわからず難しかったと思います。

 いろいろと考えましたけど…。(要約すると)作戦的には悪くなかった。と自分は思う。難しいですね、相手の動きがちょっと違えば、また別のレースになっていたと思うし。

ーー結果的には近畿勢のワンツーでした。

 自分はもう最終HSでいっぱい。今まで走ったレースで一番キツかった。レースじゃなければ最終HSでやめたいくらいキツかった。ちょっとレベルが違った。自分はもう完全にでがらし状態だった。

ーーきっかけになる大会だったかなと思います。

 海也の後ろに付いてレベルの違いを相当感じた。基本的には自分より強い人が前にいて、海也だけじゃなく犬伏にしても。後ろで付いてて余裕がないっていうか、追走もあまり上手じゃないと感じて、その辺の課題も見えましたね、今回。脚力も上げないといけないし、技術も磨いていかないと。

(撮影:北山宏一)

ーー前回のコラムで5月の宇都宮記念が今年一番の状態と言っていましたが、今回はどうでしたか?

 宇都宮より良かったんじゃないかなって思う。脚が軽い感じは宇都宮の方があったけど、状態的に良かったと思う。

ーーフレームは5走とも同じもので?

 はい、1走してセッティングとかもいじることなく。

ーー久留米記念を欠場し、2025年の前半が終了しました。落車の影響などで苦しいスタートになりましたが、ここまでを簡単に総括していただけますか?

 1月、2月はこれはどうなるかなって感じだったけど、少しずつ良くなってきて、宇都宮くらいではだいぶレースにはなってきたなっていう実感があった。ダービーの時はそこまでなかったけど、宇都宮でだいぶレースできる感覚があったので。そこからは結構、順調には来てるのかなと思いますね。今年は1月の時点で勝負は7月からって感じだったので、そういう意味ではうまい具合に来ているのかな。

(撮影:北山宏一)

ーー自身で掲げていた勝負が始まる7月に入りました。練習の感じはいかがですか?

 やっと追い込んだ練習ができるようにはなってきたので。

ーーあらためて、これからって感じですね。

 そうですね。とにかく練習できるようになってきたのが一番嬉しい。

ーーそして、オールスターファン投票は8位。今年もドリームレース出場が決まりました。

 いやー、ありがたいです。今年は本当に無理だと思っていた。今まで無理だと思っていた以上にもっと無理だと思っていた。厳しいかなと思っていたけど、おかげさまで乗ることができました。

ーー今年からはドリームレース5着までがシャイニングスター賞に進め、4走目が決勝戦となっています。

 知らん間に概定番組が変わってた。4走にしたいですね。4走のつもりで行きます!

(撮影:北山宏一)

【読者から届いた質問コーナー】

ーー連日暑い中の宮記念杯お疲れ様でした。お昼の選手紹介の際に古性選手と同じシューズを履いていたのがSNSで話題になっていましたが、意図して同じものを履いていたのですか? それとも偶然? (ゲスト)

 青森の全プロで運動靴を忘れてしまって。青森からそのまま荷物を送っていて、行ったら無くて、古性さんに貸してもらいました。お揃いとかではなく、あれは古性さんのです! 同じ物の古いやつを貸してもらいました。

(撮影:北山宏一)

ーーお疲れ様です。最近は番手を回る機会も多いですが、レース前の心境として自力と番手どちらの方がプレッシャーを感じますか? (ゲスト)

 プレッシャーというか、緊張するベクトルが違うだけで、後ろなら前に迷惑をかけられないし、前なら後ろに迷惑をかけられない。ベクトルは違えど、同じくらい緊張しますね。

ーー前と後ろで考えることは違いますか?

 後ろの方が多いですね。前を走る時はあまり考えてないですかね。

ーーGI決勝進出おめでとうございます。準決勝3着で勝ち上がりは12Rの結果次第という状況でしたが、結果待ちしているときの心境はどうでしたか? (ゲスト)

 できれば決勝に上がりたいと思っているけど、なんか難しいですね。そういうのを思いながら人のレースを観るのはあまりいい気持ちではないですね。本音としては上がれるようになってくれと思ってますけど、どうしようもないんで。

ーーGIお疲れ様でした。今回は初日休みからの5日連続出走となりましたが、やはり連戦になる初日休みよりも、2日目か3日目が休みになった方がうれしいですか? (ゲスト)

 そりゃ勿論!

ーーこの暑さで5連走はやっぱり相当なキツさなんですか?

 そうですね、ちょっと堪えましたね。今年の宮記念杯が一番暑かったと思う。日に日に顔見せで重たくなっていく感覚がありましたね。

(取材・構成=netkeirin編集部)

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清水裕友

Hiroto Shimizu

清水裕友(しみずひろと)。山口県防府市出身。105期。日本競輪選手会山口支部所属。師匠は國村洋。ビックレースはGI「読売新聞社杯全日本選抜競輪」(2020年)、GII「サマーナイトフェスティバル」(2020年)、GII「ウィナーズカップ」(2021年)。

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