2025/07/06 (日) 12:00 4
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は小松島競輪場で開催されている「阿波おどり杯争覇戦」の決勝レース展望です。
今週は全国的に猛暑となっています。その一方でゲリラ豪雨に見舞われた地域もあります。これをお読みの皆さんもその日の天気どころか、先々の予報まで気にされている方も多いのではないのでしょうか。
自分も現役だった頃は、大会が行われる地域の天気予報をこまめに見ていました。それは天気だけでなく、気温や風の強さまでもチェックしていたほどです。
現役を引退してからは、全くと言っていいほどに天気を気にしなくなりました。ただ、こう自然環境が厳しくなると、大会に出ている選手は大丈夫かな? と思ってしまいます。
【阿波おどり杯争覇戦】が行われている小松島競輪場は、海にほど近いだけに風が強く、真夏でも幾分暑さが和らいでいた印象があります。
ただ、準決勝が行われた3日目のバンクにはほとんど風が吹いておらず、選手たちもレース中は、暑さとの闘いになっていたはずです。
ここまで暑くなると、レース後のアイシングは必須となります。また、レース前には室内と外の温度差の違いで、思うように身体を動かせないこともあります。
選手たちにはベストな状態でレースに臨むだけでなく、その後の体調管理まで、しっかりと行って欲しいと思います。そして本日、小松島競輪場に観戦へ行かれる方も、熱中症を含めた、暑さへの対策をしっかりと行ってください。
今大会は厳しいコンディションのレースを幾度となく経験してきた、小倉選手や佐藤(慎)選手とベテラン選手の活躍が目立っています。
骨盤骨折からの復帰以降、思うような走りができていなかった佐藤(慎)選手ですが、2日目の二次予選で恩田選手を捌いた後に、森田選手を差し切った走りは、復活を印象付けました。
また、初日からの3連勝で決勝に進んできた小倉選手ですが、地元での記念競輪だけに、気合も入っているのでしょう。それは他の徳島の選手も一緒だったようで、決勝には5名が勝ち上がってきました。
その徳島5名の決勝での並びは①犬伏選手-⑥島川選手-④小川選手-③小倉選手-⑨久米選手。北日本ラインは②菅田選手-⑤佐藤(慎)選手。⑦杉森選手と⑧西田選手は単騎戦となります。
西田選手は今大会で初日、2日目とバックを取っただけでなく、長くもがいていった走りにも表れたように、調子の良さが目立っています。ただ、単騎戦となった決勝での先行は無さそうです。
となれば1番車に入った犬伏選手が、車番通りにスタートを取って、そのまま突っ張り先行へと入る公算が強いようにも見えますが、スタート巧者の菅田選手が前受けをしてくると見ています。
その後ろには単騎の杉森選手が入り、同じく単騎の西田選手は、初手は徳島ラインの後ろからのレースになりそうです。
犬伏選手が菅田選手を抑えにかかった時、菅田選手としてはそのまま行かせてしまうと、ほぼ勝ち目が無くなるので、ここは軽くけん制をしてくるはずです。
犬伏選手としてはSS班の面子もあるだけに、一歩も引かないかもしれません。ここでペースが緩むようならば、西田選手が一気に捲っていくと思いますが、その踏み出しに反応できるダッシュ力があるのが犬伏選手です。
この展開となれば西田選手の番手に入れるだけに、そこから番手捲りを繰り出していけたのならば、自らの優勝だけでなく、徳島ラインでの上位独占もありえるでしょう。
もし、けん制を受けて引いた時には、犬伏選手は捲りへと切り替えますが、菅田選手はその番手を狙っていくはずです。この展開となれば、菅田選手の優勝も考えられます。
印としては◎①犬伏選手、◯⑥島川選手、△②菅田選手、×⑧西田選手に打ちます。佐藤(慎)選手は前を任せた菅田選手次第とはなりますが、混戦となった場合には、車券に絡む可能性は充分にあるはずです。
小倉選手は地元の大将格ながらも、決勝では4番手を固めることになりました。完全優勝は難しいポジションながらも、結果としてラインの結束力は強まったと言えるだけに、犬伏選手にはその思いに応えるような、熱い走りを見せてもらいたいです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。