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未来の競輪スター候補ー次世代を担う原石ー

【未来の競輪スター候補】「これがラストチャンス」ナショナル出身の実力者が迷いを断ち切り新たなる夢へ /古山稀絵候補生

アプリ限定 2025/06/25 (水) 18:00 8

『競輪選手になるために、そして夢を叶えるために』今年は第129回生として男子72名、第130回生として女子21名の候補生たちが日本競輪選手養成所に入所し、2026年のプロデビューを目指している。この時期、“未来の競輪スター候補”と題して毎年お届けしている本シリーズだが、今年は10名の注目候補生へインタビューを実施した。今回は130回生・古山稀絵(ふるやま・きえ)候補生を紹介する。(取材・netkeirin編集部)

130期・古山稀絵候補生

 小学1年の頃から自転車競技の世界へ足を踏み入れ、高校在学中からナショナルチーム入りを果たした古山稀絵候補生。自転車競技では中長距離の選手として数々の大会で実績を残し、2022年6月アジア選手権でマディソン優勝、同年8月全日本選手権3km個人パーシュートで優勝。2023年5月の全日本選手権4kmチームパーシュートで優勝。しかし2023年11月、ジャパントラックカップを最後に競技引退を決断した。引退後は「競輪選手になるか、普通の職につくか」の進路に悩んでいたという。

ーー2023年にナショナルチームを引退した古山候補生ですが、当時は「競輪の道に進むのか、別の道へ進むのか」と悩んだと聞きました。競輪選手になろうと決意した理由をお聞かせください。

 年齢も考えて、「選手を続けるとしたら今年がラストチャンスかな」と思いました。もう来年受けるっていうのは全く考えていなくて。他の職業なら完全に選手を辞めてからでも切り替えられるだろうとも思ったので、最後に選手を続けることに挑戦して、もしも受かったら競輪選手を頑張ろうと思ったのが一番のきっかけですかね。

ーーもしも受かっていなかったら選手としての生活はなかったということでしょうか?

 はい、受かったら頑張ろう、ダメだったら選手をやめようと考えていました。

ーー古山候補生といえばナショナルチームで活動されていたこともあって、110期の鈴木奈央選手をはじめガールズケイリン選手とも繋がっていますよね。相談などはされたのでしょうか?

 それこそ奈央さんはジュニア時代から一緒に歩んできたのもあって、進路のことはかなり相談させてもらいました。選手人生を考える時って、女性の一般的な幸せみたいなものも一緒に考える必要があると思うんです。

ーー結婚などもそうですし、女性は妊娠や出産などもありますもんね。

 そうです。奈央さんはそのあたりを踏まえて親身に話をしてくれました。後押しではなくて「しっかり考えた方がいいよ」というスタンスを取ってくれて。でも学生を卒業してすぐの1年と今の私の年齢の1年って中身が違うので、本当に悩みましたね。奈央さんはガールズ選手になったとしての“その後”の話もしてくれたので、よく考えることができました。妊娠や出産があれば戦線も離れなくてはいけないですし、そういうリアルな話がありがたかったです。

ーーすごく良い関係性ですね。ちなみにその悩みを経て「やる」という選択をしたわけですが、それはなぜですか?

 今しか挑戦できないのは選手になることだと思えたからです。思い切りやってみよう、ダメだったらやめようと気持ちが決まったので、奈央さんにも「やります」と伝えました。

ーー人生の分岐点に立っての決断ということだったのですね。

 はい。本当に(笑)

ーーそのような背景もあっていざ養成所に入所したわけですが、ナショナル時代に培った点でどのような能力が活かせそうでしょうか?

 自転車に乗っていた時間は誰よりも長かったと思うので、追走技術や周りを見渡す視野の部分は長けているのかなと思っています。レース勘だったり力の出し方だったりのポイントを活かして強化していけば通用する部分はあるのではないかと思っています。

ーー自転車競技とは違うガールズケイリンのステージへの挑戦ですが、どんなことを楽しみにしていますか?

 今まではずっとアマチュアだったので、自分の力がどれくらい通用するのか試せるのはとても楽しみですし、自分の力でどれくらい稼げるのかも全然わからないです。そのわからない部分がとても楽しみです。私がやっていた種目は中長距離なんですが、ガールズケイリンはまったく別の舞台です。一度競技を引退しているので「第二の人生」という気持ちが強くて、新しい自分がどれくらい通用するのか試せる舞台になると思います。

ーーまだ少しですが養成所生活をしてみていかがですか?

 私は集団生活をしたのが大学時代だけで、5〜6年ほど空いての今なので最初は不安でした(笑)。集団生活にブランクもあれば10歳近く離れている同期もいるわけなので。でも和気あいあいとした雰囲気がありますし、何より競輪選手になるという同じ目標を持って一緒に生活しているので、前に向かってポジティブに進んでいる空気を感じています。

ーー素晴らしいですね。話は変わりますが古山候補生の性格を教えてください。

 え、性格(笑)。難しいですね。うーん。なんだろ(笑)

 私がやっていた競技種目に関係しているかもしれませんが、「優し過ぎる」と言われることあります。チームパシュートとかマディソンとか誰かと一緒に勝利をめざす種目なので、人のことをとても気にしますし、役に立ちたいっていう気持ちも強くなるんですよね。でもそのチームのために役に立ちたいっていう気持ちは我慢強さとか粘り強さに繋がっている気がします。自分の性格を説明するなら、そのあたりですかね!

ーー大切にしている言葉などはありますか?

 アマチュア時代に「毎日自己ベスト」という言葉と出会ったんですが、その言葉と考えを大事にして毎日自己ベスト更新って思って全力でやるぞ、って思っています。

ーーすごく力のある言葉ですね。

 はい、私が良く行くカフェの常連さんが教えてくれた言葉です。私も常連なのですが(笑)。

2,000mタイムトライアル直後のインタビューだったが笑顔連発のタフネス

ーーたしかにその場合、古山候補生も常連さんですね(笑)。今日は面白い話をありがとうございました!最後にガールズケイリンで目指す選手像やスタイルについて教えてください。

 さきほども名前を挙げましたが、ここまでずっと奈央さんとやってきました。正直、奈央さんをいつも追いかけていた面もあるんですよね。だから鈴木奈央選手のようにどんな場面でもうまく立ち回って活躍できる選手になりたいです。自分がやってきた中長距離の武器を活かせるようなレースを走っていきたいです。


 自分の現在地を「第二の人生、新しい舞台」と表現した古山候補生。進路に悩み、挑戦する覚悟を持つまでの経緯を明るく語ってくれたが、決して簡単ではない決断があったように思う。“ラストチャンス”という言葉からも背水の陣で臨んでいることは明白で、勇気ある決断が大きな実りになればいいなあ、と思った。

 また、インタビューでは数分しか話をしていないのだが、計り知れないポジティブエネルギーのある人で、とても話しやすい人だった。もしかすると“コミュニケーションおばけ”な人かもしれない。ガールズケイリン選手になったのち、たくさんのファンに応援される姿が想像できる最高の笑顔の持ち主だ。

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