2025/05/30 (金) 12:00 26
取手競輪場で5月31日から6月3日の4日間、「開設75周年記念 水戸黄門賞(GIII)」が開催される。郡司浩平(34歳・神奈川=99期)が早くに追加になっており、対関東の急先鋒として、戦いぶりが問われることになる。
郡司がのしあがってくるころ、平原康多氏(引退=87期)が“最強オールラウンダー”として君臨していた。どんな形でもレースを支配して、勝負どころでの仕掛け、また中団の確保は揺るぎなかった。郡司はS級に上がってからは“幸せ配達人”と言われたくらい、先行、先行、で南関ラインに貢献していた。
ただし郡司は先行だけでは…と考えていた。そんな時に「たとえ平原が相手でも、前にいないと勝てないなら、並走になっても勝負しないと」という話をした記憶がある。まだ技術もなく、体も平原に比べるとかなり小さい。でも、勝負するなら…と決意を固めていた。
2017年3月にGII初制覇となった高松のウィナーズカップの時、郡司は平原氏を後方に置き、中団まくりでの優勝だった。平原はまくりに構えた郡司の動きが予想外だったかもしれないが、平原に勝つための動きを見せ、現在につなげてきた。
平原康多氏の引退により、関東勢の走りぶりにより注目が集まる。特に吉田拓矢(30歳・茨城=107期)は圧倒的に平原の期待を受けてきた。眞杉匠(26歳・栃木=113期)が出てきた時との時間のズレは大きい。
平原氏はタクヤに対し、厳しい姿勢を持っていろんなことを教えていた。応えらえず沈んだ時期もありはしたが、タクヤの頑張りぶりは先日の名古屋ダービー(GI)で昇華されたように確固たるもの。うまくいかないレースはもちろんあって当然。だが、関東の先頭で本当に頑張ってきた選手なのだ。
眞杉は性格もあるのだろうが、天真爛漫な走りで、ある意味平原氏をよく困惑させていた…。メリハリが強過ぎるというのか、しかしそれが眞杉の魅力。平原氏はそのまま伸びていってほしいと思っていたと思う。
結果が求められる立場、開催だが、それだけにとどまらない走りをしてきた平原氏に、カッコいい姿を見せてほしい。
最終日の3日、9Rでは「レインボーカップチャレンジファイナル」が行われる。全員が125期で、全員が来期のA級2班昇班を決めている。3着まででの特別昇班にはあまりこだわることはなさそうだ。
やはり注目は“BIGMAN”藤井優希(26歳・山口=125期)だ。「BIGになります、BIGMAN!」のフレーズは競輪界を席巻した。人気と勢いにあやかろうとした“ヨイショマン”“ヒントマン”“熟女マン”については、忘れた方がよいだろう。
藤井はこうして目立つ言動を取ることが選手としてリスクになることを承知している。その上で、「競輪を盛り上げたいんです」という思いを自分で裏切ることなく、その道を突き進んでいる。師匠・桑原大志(49歳・山口=80期)の温かい見守りもあり、全力で突き進むことができている。
見せている走りは圧巻。コメントを非難されることを恐れる風潮が強い現在でも「ド先行」といった言葉で、先行への思いをアピールしている。思いをファンと共有することが、競輪が盛り上がること。藤井に熱いエールを送りたい。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。