アプリ限定 2025/03/10 (月) 12:00 11
今年デビューする競輪選手候補生の第127回生(男子)と第128回生(女子)の卒業式が7日、伊豆市の日本競輪選手養成所で行われた。本日から1週間、競輪選手候補生の卒業を記念してルーキーたちの横顔を紹介する。初回となる今回は在所成績2位の北岡マリアのインタビューをお届けする。(取材:3月4日卒業記念レースにて/構成:netkeirin編集部)
プロを数多く輩出している強豪・内灘高校時代に全日本選手権(ジュニア)で500mTT、スプリント、ケイリンの3冠制覇を達成し、高校総体では500mTT、スプリントで連覇を果たした北岡マリア。“ナンバーワン高校生”の実績を持って養成所入りし、第1回トーナメント競走で優勝、第2回トーナメント競走で準優勝、卒業記念レースでは決勝3着の好成績を残し、在所2位で卒業した。
ーー競輪選手を目指したきっかけを教えてください。
高校時代、土日の練習では競輪選手と一緒にバンクを使わせてもらっていたんですが、ある時に男子選手に「お前もついてみるか」と声をかけてもらって追走させてもらったんです。そのとき全然ついていけなくて。それで強くなりたい気持ちが湧いてきて、選手になって強くなろうと思いました。それがきっかけだと思います。
ーー北岡候補生は入所時にインタビューした際も「自分はとても負けず嫌い」だと話していました。男子のプロ選手を相手にしても悔しかったのでしょうか?
はい、あんまり男子とかは関係なくて、勝てないことが本当に悔しかったです。脚力も全然違いましたし、追走できても差すことなんて全然できなくて。近くにガールズケイリンの下条未悠さんや又多風緑さんがいるんですが、脚力がまったく違います。デビューまでにもっと強化したいし、男子選手でも差せるくらいの選手になりたいって思っています。
ーー高校ナンバーワンの実力と看板をひっさげての養成所入所でしたが、この10か月を振り返ってみていかがでしょうか?
入所した当初のタイムは自分が1番手2番手の上位に位置していたんですが、自転車未経験の候補生も成長して強くなっていきました。タイムやレースで負けることも多くて、自分の成長幅と周りの成長幅を比べてしまって苦しくなることもありました。
ーー目標として追いかけられる存在、慣れない集団生活、考えただけでも難しそうです。
環境の厳しさはありましたね。自分が慣れていない環境で、家族とかも近くにいないので、悩み事も相談できずに抱えることがありました。1人で悩んで吐き出せないというか…。でもライバルと生活をしている毎日なので…。
ーー負けず嫌いな性格も慣れない環境も過酷だったことでしょう。ともすれば128回生の候補生に向けるのはライバルとして敵視する毎日だったのですね。
ライバル視はもちろん強く持っていましたけど、仲良しメンバーもできました。みんなで励まし合って乗り越えて。仲良くしてくれた候補生のおかげで頑張れた部分は大きいと思います。
ーー苦しさを感じたり、仲間と励まし合ったり、さまざま経験を積まれたと思います。その経験の中で培ったものとか、教官や仲間からかけられた言葉で心に残っていることはありますか?
あります。第1回トーナメント競走が終わった後に「北岡はレースセンスがあるから大丈夫だよ」と言ってもらえたことや瀧澤所長が「北岡はオレよりレースセンスがある」とネットのインタビュー記事で話をしてくださっていたんです。すごく自信になった評価ですし、苦しい時にも背中を押されました。
あと、神山新所長の言葉も心に残っています。神山さんは『たとえレースで負けたとしても、自分がレースの展開を作ったと言えるなら自分が勝ったのと一緒だよ』と言っていました。この言葉は強く残っています。
ーー北岡候補生の“レースセンス”とても楽しみになります。
でも今日のレース(※卒業記念レース初日の予選2走)を走っていても自分の持ち味が出せずにまだまだだと感じています。本番に強くならないといけないって思っています。
ーーご自身の持ち味とはどんなところでしょう。
スタイルとしては捲り追い込みの戦法が得意で、それが自分の持ち味だと思っています。技術もスピードもこれからもっとつけて磨いていきたいです。
ーーこれから卒業してデビューが待ち受ける中で、強化したいポイントや課題はありますか?
今ダッシュ力が落ちているので、そこはもっと力をつけていこうと思います。
ーーデビュー後に叶えたい夢や目標はありますか?
直近ではルーキーシリーズで優勝することを目標にしています。大きな目標としてはガールズグランプリに出られるような選手になることです。
ーー応援しています。そういえば北岡候補生は入所時にカフェ巡りが趣味で美味しいスイーツが好きだと話していましたが、養成所では我慢も多かったですよね。
それはそうなんですけど、ハロウィンの時にブリュレが出てきたんですよ。私はブリュレが好きなので1人だけ2個もおかわりさせてもらっちゃいました(笑)。
ーーそれはよかったです!
すごくおいしかったです(笑顔)
高校時代、短距離種目では敵なしの実力を誇っていた北岡マリア候補生。エリート候補生として養成所に入ったが、10か月の生活は“すんなり楽勝”の甘みだけではなく、苦みも存分に味わったようだ。それでも在所成績2位という好成績で卒業し、128回生の顔としてデビューしていく。北岡の好物「ブリュレ」もまた表面を焦がすことで極上の苦みを添えてこそ完成するスイーツ。デビュー後のルーキーシリーズで躍動する姿が今から楽しみで仕方がない。
■卒業記念インタビュー公開スケジュール
・3月10日(月)12時00分 北岡マリア
・3月11日(火)12時00分 椎名俊介
・3月12日(水)12時00分 北津留千羽
・3月13日(木)12時00分 岩原健馬
・3月14日(金)12時00分 半田水晶
・3月15日(土)12時00分 酒井亜樹
・3月16日(日)12時00分 “銀河系軍団”127回生・128回生データ考察特集
netkeirin特派員
netkeirin Tokuhain
netkeirin特派員による本格的読み物コーナー。競輪に関わる人や出来事を取材し、競輪の世界にまつわるドラマをお届けします