2024/10/19 (土) 23:00 2
GI開催特別コラム「山田裕仁の一発逆転!波乱注意報」。帝王・山田裕仁が、開催前半〜中盤までの選手の調子をチェックし、展開から"買えるヨーロッパ(468)"を紹介。元選手ならではの視点から、狙い目の2レースをお届けします。▶山田裕仁の見解と買い目はこちら
ヨーロッパ(468)とは?
競輪では各レースにおける「能力的にやや見劣る選手」「競走得点の低い選手」が、4番、6番、8番に入ることが多いことから、ひとくくりにしてこのように呼ばれています。とはいえ、展開やデキ次第では上位への食い込みが十分に可能。その場合には高配当も期待できます。そんなヨーロッパの中から、とくに好走&激走が期待できそうな選手と推奨理由について解説します。
【予想レース①】
弥彦6R 寛仁親王牌(GI)S級特選
①伊藤颯馬(115期=沖縄・25歳)
②永澤剛(91期=青森・39歳)
③山田久徳(93期=京都・37歳)
④村田祐樹(121期=富山・26歳)
⑤三谷竜生(101期=奈良・37歳)
⑥佐藤一伸(94期=福島・37歳)
⑦松岡貴久(90期=熊本・40歳)
⑧皿屋豊(111期=三重・41歳)
⑨小岩大介(90期=大分・40歳)
【初手・並び予想】
←①⑦⑨(九州)⑥②(北日本)⑤③(近畿)④⑧(中部)
【注目のヨーロッパ】
⑧皿屋豊
④村田祐樹
⑥佐藤一伸
四分戦となった最終日の第6レース。唯一の3車ラインでもあり、人気の中心は九州勢の①伊藤颯と⑦松岡貴となりそうだ。勝ち上がりこそ逃したが①伊藤颯の気配は良好で、連日しっかりした動きをみせている。最終日でもあり、好結果を求めて強気に勝負してきそうだ。①伊藤颯が早めに仕掛けるようならば、展開は番手の⑦松岡貴に向きそうで、そうなればライン3番手の⑨小岩大も出番があるかもしれない。
そんな九州勢を叩いて主導権を奪いにいくのが、車番的に後ろ攻めとなるであろう中部ライン先頭の④村田祐。九州勢が前受けから突っ張ったとしても、①伊藤颯を叩いて先頭まで出切りそうだ。そのスピードはここに入ってもまったく見劣らず、デキもけっして悪くない。すんなり主導権を奪えるような展開にでもなれば、後続を封殺して逃げ切るケースだって考えられる。そうなれば、番手を回る⑧皿屋豊にとっては絶好の展開となる。
逆に、手を出しづらいのが⑤三谷竜が先頭の近畿勢。⑤三谷竜は今節の二次予選で落車しており、そのダメージが色濃く残る。ここを狙うくらいならば、⑥佐藤一が先頭を任された北日本勢のほうが面白そう。中団でうまく立ち回れるのが必要条件となるが、主導権を奪ったラインの直後につけた⑥佐藤一が捲りきる場合もありそうだ。オッズ次第では、⑥佐藤一が1着からの車券も押さえておきたい。
以上の理由から、ここはヨーロッパ1着固定の車券を推奨。具体的にフォーカスをあげるならば、「④=⑧-①②⑥⑦⑨」や「④⑧-①②⑥⑦⑨-④⑧」、「⑧-①⑥⑦-①②⑥⑦⑨」あたりが本線となる。あとは、捲った⑥佐藤一が1着となるパターンの「⑥-②-①④⑦⑧⑨」も組み合わせたいところ。シンプルな買い目がお好みならば、2車単「④⑥⑧-①②④⑥⑧」12点で勝負してみるのも面白い。
【予想レース②】
弥彦7R 寛仁親王牌(GI)S級特選
①小林泰正(113期=群馬・30歳)
②福永大智(113期=大阪・26歳)
③守澤太志(96期=秋田・39歳)
④椎木尾拓哉(93期=和歌山・39歳)
⑤菅田壱道(91期=宮城・38歳)
⑥太田竜馬(109期=徳島・28歳)
⑦坂井洋(115期=栃木・29歳)
⑧岡村潤(86期=静岡・42歳)
⑨柏野智典(88期=岡山・46歳)
【初手・並び予想】
←⑦①(関東)②④(近畿)⑤③⑧(混成)⑥⑨(中四国)
【注目のヨーロッパ】
④椎木尾拓哉
どこが主導権を奪うかが読みづらい四分戦で、混戦模様。②福永大、⑥太田竜、⑦坂井洋など、いずれも行こうと思えば行ける選手はあるのだが、できれば逃げたくはない…と誰もが考えていそうだ。人気の中心は、おそらく⑤菅田壱が先頭の混成ライン。唯一の3車ラインで総合力上位でもあるが、積極的なレースは仕掛けてこなさそうで、果たしてどこまで信頼できるか。いずれにせよ、難解な一戦であるのは間違いない。
さらに買いづらいのが、車番に恵まれなかった中四国勢。その先頭である⑥太田竜は、3日目に逃げ粘って3着という結果を残すも、デキ自体は正直なところパッとしない。かなりの混戦とはいえ、ここは番手を回る⑨柏野智ともども、評価を割り引いたほうがいいだろう。関東勢の先頭を任された⑦坂井洋は2日目に落車するも、3日目の走りをみるに大きなダメージはなかった様子。これならば、好勝負が期待できるとみた。
関東勢と同様、車番に恵まれたことが大きなプラスとなりそうな近畿勢。高配当の立役者としてもっとも期待しているのが、近畿勢の番手を回る④椎木尾である。ライン先頭の②福永大は3日目に落車したが大事には至らず、左臀部の擦過傷で済んだとのこと。ならば万全とはいかなくとも、最終日には気合いの走りをみせてくれそうだ。④椎木尾はここまで4着、5着、6着という結果ながら、走り自体は見どころ十分で、デキはいい。
とはいえ、さすがにこの相手で④椎木尾に1着まで期待するのは厳しい。しかし、うまく展開をついての2〜3着ならば大アリのはずである。というわけで、ここは「④椎木尾を2着または3着固定で狙う車券」を推奨。かなりの人気薄となりそうなので、中四国ライン以外を相手に選んだ「①②⑤⑦-④-①②③⑤⑦⑧」という3連単20点など、大雑把な買い方をしたほうがいいのではないかと考える。
こういう混戦模様だからこそ、近年ことさら重要さが増している「車番」と「初手でのポジション」を重視したいところ。②福永大が前々でうまく立ち回ってくれれば、勝負どころでうまくコースを選んだ④椎木尾が上位に食い込み、波乱を演出してくれるはずだ。そこで美味しい配当を獲り逃すのは痛恨なので、相手は手広く…というのが、このレースにおける「ヨーロッパでの儲け方」となる。
山田裕仁
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校第61期卒。KEIRINグランプリ97年、2002年、2003年を制覇するなど、競輪界を代表する選手として圧倒的な存在感を示す。2002年には年間獲得賞金額2憶4434万8500円を記録し、最高記録を達成。2018年に三谷竜生選手に破られるまで、長らく最高記録を保持した。年間賞金王2回、通算成績2110戦612勝。netkeirinでは当コラムのほかに、グレードレースを総括する「山田裕仁のスゴいレース回顧」も担当。