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【共同通信社杯競輪】あの素晴らしい“サプライズ連係”をもう一度!ワクワク&ドキドキの自動番組が待ち切れない

アプリ限定 2024/09/11 (水) 18:00 23

13日に共同通信社杯競輪が開幕する。同開催は予選が自動番組で行われることに特徴がある。毎年意外なライン連係が誕生するため、前検日からニュースが賑わう。編集部もワクワク&ドキドキである。今回はnetkeirinで公開された過去3大会におけるサプライズ連係をいくつか振り返りたい。開催前に“あの思い出”に触れ、今年のサプライズニュースを心待ちにしたい。待ち切れない!(構成:netkeirin編集部)

目標不在! 北日本3車の先頭つとめた佐藤慎太郎|2023年青森開催初日5R

佐藤慎太郎

 2023年の共同通信社杯、佐藤慎太郎は目標不在の番組で初日を迎えた。「前々に行きます。目標のありがたみを感じる1日になりそうだね。決められた中で頑張るしかない」と前日コメント。最終的に佐藤慎太郎-和田圭-五日市誠の北日本3車で結束することとなった。対する別線は山田英明-柏野智典、朝倉智仁-恩田淳平、青野将大-嶋津拓弥。本番は落ち着いた判断でレースを組み立て、勝負所で一気に隙を突いていく好走を見せ2着。番手の和田圭も3着でゴールした。目標不在でも難なく凌ぐ姿を見せつけ、“さすがの格”を示した。

 シリーズ明けに更新したコラムでは「ラインを別の角度から考える機会だった」と振り返った。慎太郎は『目標不在は想定の範囲内』と心の準備をしてシリーズ入りしたようだが、3車ラインの先頭をつとめるまでは想定していなかったとのこと。「自分自身で番手に攻め込んでいける選手たちが自分の後ろに並ぶ構成。作戦を組み立てる上で“後ろも引き込みたい”って心情は当然のように湧く。『慎太郎さんが前々に攻めるならオレらは後ろにいる』ってニュアンスを受け取るわけでさ」と述懐した。

 レース前にはライン内で「イチかバチかで捲りを打とう、みたいな発想はせず、どうなるかわからないことはしない。何が何でも着に絡み、勝ち上がりを逃さない」との方針を共有していたらしい。S級S班がゆえに確定板は外せず、後ろにつく選手たちの心情も理解しながらの一戦はタフなレースだったに違いない。余談だが、「レース前日は展開のシミュレーションで頭がいっぱいになり、そのおかげで8時間くらいしか寝られなかった」と明かしており、神経をフルに使う一戦を前にしても動じず、たっぷりと寝ていた。

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新山響平×稲川翔の“イケメン”スペシャルコラボ|2023年青森開催2日目11R

新山響平

 地元優勝に向けて燃える新山響平に稲川翔のサプライズ連係が見られた。新山は「稲川さんの1車はめちゃくちゃ大きいですね。今まで敵として何度も戦ってきたし強烈なブロックもたくさん見てきた。そういう人が味方になってくれるのは超心強いです。頑張り甲斐がありますね」のコメント。

 番手を選択した稲川翔は「新山君は自分の中で最も興味のある選手。一度は付いてみたいと思っていたし、いつもと違った緊張感がありますね」と話した。ファンの話題を集めたスペシャルコラボレーションは稲川1着、新山2着のワンツー決着となった。

 また、初連係した共同通信社杯終了後に行われた10月の豊橋記念「ちぎり賞争奪戦」決勝でも連係。鋭い捲りを打った新山はブロックを受け8着に沈んでしまったが、スピードをもらい切り替えていった稲川は2着まで追い上げる好走を見せた。

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眞杉匠×郡司浩平は相思相愛|2022年名古屋開催初日9R

郡司浩平(左)と眞杉匠

 2022年の共同通信社杯を制したのは郡司浩平。その郡司の初日は眞杉匠との初連係。まさに自動番組でしか見られないサプライズなものとなった。取材をした町田洋一記者によれば「照れくさそうで、はにかんでいる2人だった」とのことで、記者はその雰囲気を“相思相愛”と表現した。両者のコメントを読むと、日頃はバチバチの敵同士でありながら、互いにリスペクトし合っている様子がよくわかるものだった。

 単騎戦に滅法強い眞杉はその選択肢もある中で「単騎の方が成績は凄く良い。小松島記念の優勝も単騎だったので。ただ、郡司浩平さんなら別ですよ」とコメント。また、郡司も「眞杉君の先行は誰もが魅力。前から付いてみたいと思う選手だった」としている。そのほか郡司は「関東の自力選手に付けるのは森田優弥君以来」と眞杉の盟友との連係を思い返した。ちなみにこの前年、2021年の不死鳥杯決勝戦で郡司は森田優弥の番手を回っており、これもサプライズ連係だった。レース本番は力の違いを見せつけるかのような完勝モード。眞杉が逃げて、郡司が差し、華麗なワンツーを披露した。

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中四国を背負った九州男児!2020年覇者・中本匠栄|2022年名古屋開催2日目9R

 2020年に共同通信社杯を制している中本匠栄は初日終了後、「自動番組キツいな、こんなはずじゃなかったのに…」と泣き笑いの表情を浮かべたところを取材されている。ニュースによると、中本はメンバーが出た際に「単騎でやります!」といち早く宣言したらしい。だが、小倉竜二が「たん、たん、たんじゃレースにならん(たん=単騎の意味)。自分でやったところで何もできないし(中本の)後ろに付きます。今まで連係回数も多いんで」とコメント。

小倉竜二

 中本は小倉に対して「いいんですか?今の僕はほぼ追い込みなのに…。小倉さんが期待するようなレースはできませんよ!?」と確認。すると小倉は「構わん、構わん、よろしくな!じゃ!」とあっさり返答。続いて桑原大志も「よろしくね」と中本のもとへ挨拶に。腹を括った中本は「やれることをやる。車番も悪いし、できるレースは限られるけど、今ある力で精一杯」と自在のコメントを正式発表した。かくして、中本匠栄-小倉竜二-桑原大志の中四国九州ラインが誕生した。

中本匠栄

 別線は吉田拓矢-長島大介-木暮安由、坂口晃輔-川口公太朗-宮越孝治。また、坂口晃輔が「吉田君ジカ」のコメント(※坂口のコメントは最後に出てきたもので、中四国九州結束の意思決定に干渉するものではなかった)。

 このレースは凄まじい戦いとなった。まず小倉が「自分の仕事」とスタートを取り、中本を援護した。先行1車の吉田の後ろは長島と坂口が火花を散らし、もつれていた。吉田の上昇を見計らって中本は飛び付き策を敢行。長島でも坂口でもなく、中本が吉田の番手におさまった。だが、長島とやり合い失速したかに見えた坂口が最終バック付近でスピード鋭い捲りを放つ。と、ここで小倉がブロック。スピードを殺され、坂口は桑原の横まで下がったが、そのタイミングで桑原も体を当て、坂口の推進力をシャットアウト。

 最終4角は吉田、中本、小倉で入り、桑原も外のコース選択し伸び脚を見せた。混戦激戦のラストは中本が吉田を捉えて1着。小倉は3着。直線のスピードはえぐかったが、桑原は僅かに届かずの4着。レース後の中本は、「久しぶりに先頭で動くと決まって、夜は眠れなかった」と明かし、「今日はゆっくり眠れそう」と言葉を残した。

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最終バック手前で吉田拓矢の番手に落ち着いた中本匠栄(photo by Shimajoe)

芦澤大輔・辰弘による兄弟連係|2021年岐阜開催2日目8R

 netkeirin編集部が選ぶ「競輪好プレー月間大賞」で2021年9月“満場一致”での月間大賞への選出、また加藤慎平氏と東スポ・前田睦生記者による特別企画「競輪好プレー年間大賞」で見事大賞に選出された涙の兄弟連係。自動番組によって実現した芦澤兄弟の同走は多くの競輪ファンをワクワクさせ、連係は“兄弟の絆、ラインの絆”を知らしめるものになった。

 常に慕い、目標として追ってきた兄・大輔との連係を控えた弟・辰弘は前日にコメントを出す段階から涙していたとのこと。辰弘は「こんな機会は最初で最後かもしれない。もう自力ではないけど、総力戦でアニキと決めたい。今の僕があるのは兄の背中を見てきたから」と言葉にし、兄・大輔は「うちは3人兄弟で姉がいる。みんな6歳ずつ離れているけど凄く仲が良い。辰弘に望む事? とにかく後悔しない走りをやって欲しい」と語った。

弟・芦澤辰弘(左)、兄・芦澤大輔

 レースは3着までの勝ち上がり。ともにマーカーの芦澤兄弟がどんな走りを見せるのか注目が集まった。そして勝負の打鐘が鳴り、弟・辰弘が渾身の先行。迷いなく風を切った。兄・大輔は躊躇することなく番手捲りを敢行。結果3着となり、勝ち上がりを決めた。レース後、弟は「20代のどこかで兄と連係できていたとしても、こんなレースはできなかった」と振り返り、兄は「2人でつかみ取った3着」と結論づけた。兄は3角から記憶がないとも話していた。

 平原康多は「本気で痺れましたよ。あれが本来の競輪」と語り、村上義弘は「気持ちええレースだった」と語ったという。現場では多くの選手が兄弟に声をかけ、その連係を讃えたとのこと。今も語り継がれる感動のサプライズ連係だった。今年2024年の共同通信社杯も前検日からずっと盛り上がっていきたい!

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言葉はいらない、気持ちひとつの兄弟連係(photo by Shimajoe)

あとがき

 本記事では5つの“まさかの連係”を取り上げましたが、過去3年間、選びきれないサプライズ連係がありました。netkeirinで公開したニュースのアクセス数値も高く、清水裕友と小松崎大地(2021年)、松浦悠士と柴崎淳(2021年)、寺崎浩平と諸橋愛(2021年)、中野慎詞と吉田敏洋(2022年)、浅井康太と山根将太(2023年)などは大きな話題になりました。

 また「意外な選手同士の組み合わせ」に目が行きがちですが、自動番組の“あや”による「並び順」や「単騎選択」なども面白く、各選手の人情や戦略を考察するにも面白い要素が多々あります。『あの選手はどこで走るか、どこで勝負するか』ーー。そして、優勝の栄冠は誰が勝ち取るのかーー。読書の秋、食欲の秋? 秋はやはり“競輪ドラマの秋”でしょう!

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