2024/08/12 (月) 12:00 24
平塚競輪場で大阪・関西万博協賛ナイターGI「第67回オールスター競輪」が8月13〜18日の日程で開催される。8月13〜15日には「女子オールスター競輪」が3日間のシリーズ制で行われる。女子オールスターは来年度はガールズケイリンフェスティバルと昇華する形でGIの大会になる。
脇本雄太(35歳・福井=94期)は今、普通に強さを取り戻しているので忘れそうになるが、一年前に悪夢があった…。その重傷は選手復帰もどうか…と危ぶまれるものだった。元の強さには戻らないだろう、とすら言われた。2021年開催の東京五輪をピークとすれば、本人は「まったく…」といっていいレベル。しかし、上限が高すぎるだけで、今の状態で当然、優勝を争える。
求められるものが高いので、それなりの活躍ではファンは物足りない。だが、奇跡的といっていい復活を、一年前の大ケガから見せている。KEIRINグランプリ出場に向けて、賞金でもチャンスはあるが、「GIを優勝して」だけを目指している。今回と、相性のいい「寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」の2つに懸けていると思う。
「どうにも競輪祭だけはね…」が口癖でもある。
今回のファン投票では古性優作(33歳・大阪=100期)が初の1位の栄誉に輝いた。昨年はGIを3度制覇し、堂々のMVP。『ふさわしい』に尽きる。ありとあらゆる動きが、これまでの競輪選手の中でも秀でている。選手たちですら、「自分にはできない」と唖然とするほどだ。
小倉竜二(48歳・徳島=77期)が時折、披露してきたサーカス的な走りもあった。そのバランスの異様さは、他の追随を許さなかった。そこに古性は、「こうだから、ああする。そうする」を感覚的なものだけでなく、客観的な判断を含めて行っている。
脇本の後ろを回るようになった最初のころ。突き放されることもあった。が、ある時「後ろですべてを吸収します」と情報を収集すると、差せる、に至った。脇本もまたそこから、差されない、に次元を上げていっていたので、2人のせめぎ合いは究極そのものだった。
ドリームレースは至上のメンバーだが、2022年グランプリのように2人の世界に持ち込むのか…。
佐藤水菜(25歳・神奈川=114期)がパリ五輪出場から、すぐの参戦になる。スプリントの200mフライングダッシュタイムトライアルで10秒257という日本記録を打ち立てた。本線でのメダル獲得とはいかなかったものの、このタイムは衝撃的。日程は厳しいが、そのスピードをファンに存分に披露してほしい。
昨年のガールズドリームレースでは内に詰まる形になり、出し切れずに終わっている。先行でもまくりでも、ひたすらその力を出し尽くしてほしい。今回は3日間のシリーズ制なので、3回、その次元の違いを見せつけるか。
また、太田りゆ(29歳・埼玉=112期)がケイリンで奮闘し9位という結果を残した。これをもって代表を引退し、競輪に専念していく。まだ、これから。本人とファンが待ち望む「大きなところを勝ちたい」を目指し、これからがある。
小原佑太(28歳・青森=115期)のスプリントの激闘は涙ものだった。チームスプリントを終え、スプリントでは敗者復活戦を何度も勝ち上がった。不屈の闘志を、競輪でも見せる。パリへ出発する前には「オールスターを走る以上、日本代表として結果を残すことが大事」と怖い顔で話していた。
窪木一茂(35歳・福島=119期)が競輪選手になり、その上で自転車競技でも成長できることを証明した意義も大きい。マディソンは信じられない、と言っては失礼なのだが、驚愕の戦いぶりだった。どんな走りを、競輪で示していくのか…。
太田海也(25歳・岡山=121期)と中野慎詞(25歳・岩手=121期)は…。言葉がない。太田はスプリントの準々決勝で降格、警告があった上、ケイリン準決の行為で失格。ケイリン準決は3番目に入線していたので、決勝進出と…。中野はケイリン決勝に勝ち上がり、最後の4角で、銅メダルがあるかという戦いのところで落車となってしまった…。
これからの4年。みんなの言葉を待ちたい。そしてまずは、平塚の6日間に、没頭しよう。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。