2024/07/31 (水) 12:00 23
松戸競輪場で「開設74周年記念 燦燦ダイヤモンド滝澤正光杯」が8月1〜4日に開催される。今年は昼の開催なので、“超燦燦”といっていいだろう。直線の短いバンクで、高度な攻防が展開される。
地元の岩本俊介(40歳・千葉=94期)が、大事な時を迎えている。5月いわき平ダービーの準優勝で7月30日現在の賞金ランキングは6位。GI優勝の権利持ち3人を除くと、2位の古性優作(33歳・大阪=100期)と4位の清水裕友(29歳・山口=105期)で、単純な賞金枠ではボーダーの3番目になる。
後半のGI・3個のシリーズを上位の5人が勝つようなら、大きく出場に前進。そうでなければ、耐えきれるか…の日々になる。また、パリ五輪ケイリンで金メダル獲得ならその選手がKEIRINグランプリ出場の1枠を得る。8月は岩本にとってとても大事な時期だ。7位にいる脇本雄太(35歳・福井=94期)との約1,000万円の差は、余裕があるとは言えない。
岩本は94期の中でも一番の素質を秘めていたと言われている。脇本は高校時代の実績があり、そこまで急激にではないが、「強くなる」と評されてきた。岩本の場合は陸上からの転身で、そのポテンシャルは計り知れなかった。
S級に駆け上がる時のインパクトも強く、千葉の大先輩であり、今大会の冠でもある滝澤正光競輪選手養成所の異名である“怪物”とも呼ばれた。GIIの決勝には勝ち進むものの、どうにもGIでは結果が残せずにいた。それがようやくいわき平ダービーで初のGI決勝進出。そして、準優勝だった。
「頑張ってきて、よかったなって」
決勝進出を決めた後に、つぶやいた言葉が沁みた。大きなことを言うタイプでもなく、もう40歳。「自分ではそこまで思っていませんよ」はグランプリに対しての本当の気持ちだろう。やってきたことを信じ、これからも変わらずに自分のやるべきことをやっていく。
岩本にとって深谷知広(34歳・静岡=96期)は味方になるが、清水と7月当地のサマーナイトフェスティバル(GII)を制した眞杉匠(25歳・栃木=113期)の3人がS班勢。名前を見るだけで激しい戦いが容易に予想できる。清水はランキング的に、安泰とまでは言えないが、そこまで焦る必要はない状態。
眞杉はGII制覇の勢いに乗り、怒とうの攻めで一気にGI優勝でグランプリ出場を決めにいく。それくらいのエネルギーがあり、無邪気な悪魔だ。現代スピード競輪に最高に対応している選手だ。平原康多(42歳・埼玉=87期)もいるので、2人のやり取りもまた注目。
平原は佐世保ミッドナイトGIIIを走り、そこから時間があるので体調的には大丈夫だろう。ただ、眞杉は「平原さんはミッド明けだから」といじるのかもしれない。名コンビのはずなのだが、ちょっとピンぼけ。
このキャラクターには、まだ先がありそうだ。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。