2021/05/28 (金) 12:00 16
“全プロ”が広島競輪場で行われる。
5月29、30日に「全日本プロ自転車競技大会記念競輪」。31日には競技大会が予定されていたが、こちらは新型コロナウイルスの影響で2年連続の中止だ…。無念の思いが消しきれないので少し、今回は競技大会を取材した思い出を写真とともに載せてみる。
競技大会でずっと脳裏にこびりついているのが、最初の写真。2010年5月函館大会で、坂上樹大(43歳・石川=80期)がガッツポーズを繰り出しているところだ。これが何かというと、団体追い抜きを優勝した写真撮影の際、兄・坂上忠克(47歳・石川=71期)の顔が隠れるように腕を上げているのだ…。その後は兄も応戦し、腕と顔のせめぎ合い……。
ちなみに樹大から左に2人目は眼鏡姿のワッキー(脇本雄太、31歳・福井=94期)だ。車券の対象ではなく、純粋に自転車競技を楽しみ、その上で結果を争い、寬仁親王牌の出場権、また理事長杯、特選シードなどを競う場。真剣勝負なのだが、選手は自転車好きの子どものころに戻ったような顔を見せる。それを多くの人に見てほしい大会なんだが…。仕方ない…。
2019年5月の松山大会でのガールズケイリンエキシビションの際の写真も。
何が起こっているのか、ガールズ3人にはよく分かってなかったかもしれないが、近年の全プロには190cmオーバーの大男が姿を変えて登場している。いや、こっちが本来の姿なのか…。
当コラムが公開されるタイミングでは取手競輪場で開催している「CTC杯・デイリースポーツ賞(FI)」(27〜29日)を走っていると思うので、ブラックパンサーの仮の姿も見てほしい。
2018年5月の青森大会では114期の上位選手のエキシビションだった。
新山響平(27歳・青森=107期)は麦わら帽子姿でもイケメン。一歩間違うとジプシーキングスの加入オーディションに落ちたギタリストになってしまいそうだが、夏を伝えるさわやかさにあふれている。なかなか、この感じは出せない。
競技大会の取材では、晴れていれば一日中バンクの中で日光を浴びることになる。なので麦わら帽子を用意するわけだが、選手にかぶってもらい写真を撮るのも楽しいものなのだ。
ただし、ある男だけは別だ。「麦わら帽子、準備! 」。鬼軍曹は仕事、いや任務のために麦わら帽子を必要とする。逆らうと軍法会議にかけられ、射殺…だろう。その任侠感あふれる背中、カメラマンのはずなのに極太の脚…。足もとの袋、何? 恐ろしいので名前は控えよう。
そして競技大会といえば、オジサンレーサーが渋すぎる活躍を見せるエリミネイションだ。スプリント、ケイリン、1kmタイムトライアルという花形種目より、こっちを好む人も多いだろう。
小林潤二(48歳・群馬=75期)や舛井幹雄(49歳・三重=71期)といったベテランが、1周ごとに一人ずつ脱落するレースで、激しく輝く。残留するたびに、歓声が沸く。このエリミネイションはいつか競輪のように車券を売り、すさまじく人気が出るとひそかに信じている。
全プロ記念競輪、松浦悠士(30歳・広島=98期)が“ダービー王”として地元戦に挑む。
今回こそは地元ファンの前で…の思いだった。3月に開催された玉野記念in広島は無観客。好プレーの原稿で「鯉の滝登り」として取り上げた走りで優勝した。
そろそろこの時期なら、ファンの前で走れるだろう…と思っていたが、今回もかなわない。そこで、どんな松浦を見ることができるか。画面越しだが、ぜひ楽しみにしてほしい。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。