アプリ限定 2024/03/18 (月) 12:00 29
取手競輪場で3月21日から24日まで開催される「ウィナーズカップ(GII)」。最終日9Rで行われる「ガールズケイリンコレクション2024取手ステージ」に出場する選手の近況を、デイリースポーツの松本直記者に解説いただきます。
2024年のガールズケイリン・ビッグレース第1弾「ガールズケイリンコレクション2024取手ステージ」が、GIIウィナーズカップの開催最終日となる24日9Rで行われる。
選考基準のポイントは2023年7月から12月の競走得点。選考期間内の競走得点上位7人が出場し、枠順も選考順位上位者から1枠に入っている。優勝賞金290万円(副賞込み)は年末のガールズグランプリ出場に大きく関わってくる。
なお、ガールズケイリン創世期から続いた「ガールズケイリンコレクション」は今開催を最後に終了。2024年度からは年間3回のGI(オールガールズクラシック、パールカップ、競輪祭女子王座戦)がガールズケイリンの中心となる。
選考順位1位で選出されたのは児玉碧衣。昨年はアップダウンの激しい1年だった。2022年のガールズグランプリ(平塚)で落車して左鎖骨を骨折し、どん底からのスタートとなったが、レースで戦える脚力を戻していくためにロングスパートを多用。次第に航続距離も長くなっていき、本来の力強さが戻ってきた。
そして6月にはガールズケイリン初のGI・パールカップを優勝。8月に行われたガールズケイリンコレクション・ガールズドリームレース(西武園)では太田りゆ、佐藤水菜のナショナルチーム勢を完封する逃げ切り優勝。完全復活をアピールしたが、後半戦は目立った活躍が残せず、最後のグランプリでも見せ場を作ることができなかった。
今年に入ってからは腰痛、体調不良が重なり欠場期間が長くなった。しかし3月別府で復帰して、なんとかコレクションには間に合った。前場所の別府では予選2走を積極策で2、2着。決勝は最終ホームから仕掛けるも、踏み上がらず6着に終わった。しかし別府を走ったことは必ずプラスに作用するはず。ひと叩きの効果はあるはずで、児玉碧衣らしさが戻ってくると信じたい。
取手は5回目の参加となる。過去4場所12回走って1着11回、2着1回で優勝3回と結果を残しているバンク。自慢のスピードを発揮して7回目のコレクション制覇を目指していく。
選考順位2位は坂口楓華。今年は充実期に突入している。逃げてよし、まくってよし、差してよしのオールラウンドの戦い方で結果を残している。直前の川崎は1、2、1着。予選2は最終ホームからロングスパートも、番手に飛びついた廣木まこに差される悔しいレースで連勝は13でストップ。しかし決勝はうっぷんを晴らす豪快なまくりで、2着を4車身離す圧倒的な強さを見せつけ優勝した。
連勝が途切れたことで、今回のコレクションへのプレッシャーは少し軽くなったはずだ。コレクション参加は意外にも2021年3月の松阪以来2回目。松阪は準優勝で終わっただけに今回狙うのは優勝だけだ。ここで優勝して賞金ランキング1位で4月のオールガールズクラシック(久留米)へ臨みたい。
選考順位3位は久米詩。昨年は飛躍の1年だった。5月の平塚で初のコレクション優勝、7月の函館で初のフェスティバル優勝と勝負強さを発揮し、年末には初のグランプリ出場も果たした。
今年に入ってからも高いレベルを維持。1〜3月で7場所走って優勝が4回と結果を残している。逃げ、まくり、飛び付き、差しと戦法のカードが多彩なのも久米の魅力。取手では2021年1月にコレクショントライアルを優勝とバンク実績があり、自力主体の攻めで2回目のコレクション制覇を目指す。
選考順位4位は吉川美穂。吉川も前記の久米詩と同様に2023年は好成績を残した。普通開催で優勝11回、7月フェスティバル、10月オールガールズクラシックとビッグレースで連続準優勝。賞金の上積みに成功してグランプリ初出場を決めた。
昨年後半戦は体調不良や落車もあり、動きが重たい時期もあったが、近況は吉川らしさが戻ってきた。直近2場所の岐阜、武雄と2場所連続完全優勝。勢いに乗って取手に乗り込む。初の取手、初のコレクションと初めてずくめだが、レースセンスを発揮して初出場初優勝を狙っていく。
選考順位5位の石井寛子はコレクションの常連。昨年はデビュー以来、10年連続で出場を続けていたグランプリの舞台に立つことができなかった。今年はその悔しさをレースにぶつけて快進撃を続けている。
1月の松山から走り始めると3月別府まで21走して、1着が19回、2着が2回と連対率は100%。優勝5回と絶好調だ。関東地区の選手ということもあり、取手出走歴も参加7人中断トツで、優勝も2023年1月を含めて3回ありバンク相性は抜群といえよう。
ここまで積み重ねたコレクション優勝回数は6回。小林優香と児玉碧衣も同じく優勝6回で、ここで勝てば単独トップの7回目の優勝となるだけに、気合は入っている。
選考順位6位は山原さくら。昨年はグランプリ出場を逃したが、年間を通して積極的なレーススタイルが光った。ハイライトは10月GIオールガールズクラシックの初日特選ティアラカップの先行逃げ切り。山原さくらの魅力が凝縮されたレースだった。
パワフルな自力脚はガールズケイリントップクラス。今年もその自力脚を発揮し、好成績を残している。コレクションの優勝は2016年3月名古屋の1回だけ。しかし今の充実ぶりなら2回目のコレクション制覇も十分ありそうだ。
選考順位7位は柳原真緒。2022年12月、平塚で行われたガールズグランプリを優勝し、昨年は賞金女王として1年間奮闘してきた。前半戦は柳原らしい攻撃的なレースが多かったが、中盤戦は体調不良もあり苦しんだ様子がうかがえた。グランプリ出場には優勝しか残されていなかった11月の競輪祭女子王座戦では決勝3着。健闘を見せたがグランプリ出場は逃してしまった。
しかし12月以降は柳原らしい自力攻撃が戻ってきている。今年に入ってからも優勝3回と持ち味のパワーが復活してきた。今回のコレクションはプレッシャーのかからない7番車。初優勝した2022年5月いわき平のコレクションも7番車で優勝している。相性のいい車番を味方に2回目のコレクション制覇へ自力を繰り出す。
松本直
千葉県出身。2008年日刊プロスポーツ新聞社に入社。競輪専門紙「赤競」の記者となり、主に京王閣開催を担当。2014年からデイリースポーツへ。現在は関東、南関東を主戦場に現場を徹底取材し、選手の魅力とともに競輪の面白さを発信し続けている。