アプリ限定 2021/05/20 (木) 18:15 11
5月5日、福井競輪で行われた「福井新聞社杯リークル賞」の10R・L級ガールズ決勝を制し、見事優勝を飾った石井寛子選手。ガールズケイリン選手として初となる“全場制覇”という偉業を成し遂げました。そこで今回はデイリースポーツ松本直記者が記録達成後の石井選手へインタビュー取材を敢行! 石井選手に「これまでの記録」と「これからの目標」について語っていただきました。
ーー5月福井の優勝でガールズケイリン開催全場制覇※1、おめでとうございます。全場制覇を達成して率直な感想は?
ありがとうございます。全場制覇は意識していたので、達成できてよかったです。優勝を積み重ねていき、優勝したことがない競輪場がドンドン減ってきていたのは知っていました。昨年4月の豊橋で優勝し、残りが福井だけでした。
ーーなるほど。常に全場制覇への意識はあったのですね
はい。でも全場制覇は狙ってできることではないと思います。あっせんが入って、初めてチャンスがくるもの。だから毎月あっせんが出るのを楽しみにしていました。5月のあっせん発表日は、自分でメールを確認せず、練習仲間に見てもらいました。そしたら『遠いとこだよ。残念』って言われたんですけど、場所を聞いたら福井だったので嬉しかったです。
ーー福井のあっせんが決まり、全場制覇に現実味が出てきた時に心境の変化は?
あっせんが決まってからは「優勝したい」という思いが強くなり、緊張していました。そうしたら、練習仲間が「福井が最後と思わず、今までのことを忘れてゼロからスタート。デビュー戦のつもりで参加したらいいんじゃない」というアドバイスをしてくれました。そのおかげで落ち着きを取り戻し、福井では気負うことなくレースに臨めました。
ーー決勝のレースを振り返ってみてどうですか?
緊張したまま走っていたら、決勝は最終バックからまくりに行けなかったと思います。差し勝負に構えていたでしょうね。周りのおかげで福井は優勝できたと思います。
ーー少しさかのぼりますが、今年は2月4日の西武園初日で1着となり、通算400勝を達成しましたね
400勝一番乗りは嬉しかったです。また西武園という場所で達成できたことも喜びに拍車をかけました。西武園は練習で使わせてもらうことのある場所で、この開催は同期や同級生、弟子もいたし、関東の競輪場でお世話になっている関係者の方もいっぱいいました。その開催で400勝という節目の1着を見せることができて良かったです。JKAの表彰対象は300勝と500勝なので、次の目標は500勝ですね。300勝は一番乗りじゃなかったので、500勝は一番乗りにもこだわりたいです。
ーー今年はここまで40走して1着が32回。3月の宇都宮から負けなしの22連勝。ガールズケイリン連勝記録の24連勝の更新も見えてきました。好調の要因はありますか?
昨年の秋頃から練習の量が増えましたね。それまでやっていた練習にプラスして違うメニューを取り込みました。33歳で回転数の自己ベストを更新、35歳でワット数の自己ベストを更新したんです。年齢は関係ないってことにも気がつきました。練習のやり方次第で伸びしろはまだまだあると思います。
ーー連勝記録の更新は意識していますか?
過去の自分の連勝記録は18。その数字を越えることができたし、連勝は止めたくないけど…。意識し過ぎず、あまり気負わずに走っていきたいですね。
ーー今年3、5月のコレクションには出場できませんでしたが、ここまで賞金ランキング1位(5月19日時点)です。今後の目標を教えてください
まずはデビューした年から出場し続けているグランプリに今年も出たい。あとは7月〜12月の後期は競走得点を意識して走りたい。ここ数年、3月のコレクションに出ることができていないので、来年こそは出場したい。あと7月のガールズケイリンフェスティバルでもいい成績を残したい。最近3日制のビッグレースでは結果を残せていないのが悔しいし、今年こそ! の気持ちがあります。昨年からやり始めた練習の成果も出ているし、メンタルも強くなっていると思う。その成果を出せるように頑張りたいですね。
ガールズケイリンの記録を次々と作り続けている石井寛子。まだまだ進化の途中といった様子で、これからもガールズケイリンの中心として歩みを続けるはずだ。
※1…ガールズケイリン未実施の「小田原競輪」、「小松島競輪」、あっせんなしのまま改修工事となって開催のない「千葉競輪」を除く
松本直
千葉県出身。2008年日刊プロスポーツ新聞社に入社。競輪専門紙「赤競」の記者となり、主に京王閣開催を担当。2014年からデイリースポーツへ。現在は関東、南関東を主戦場に現場を徹底取材し、選手の魅力とともに競輪の面白さを発信し続けている。