アプリ限定 2023/12/11 (月) 12:00 66
本番までカウントダウンが始まった「KEIRINグランプリ2023」。今年は2019年以来の立川競輪場を舞台に12月30日に開かれる。「世代交代」が叫ばれる中、S級S班への返り咲きなど何かと話題の多いグランプリを目前に控え、日ごろ選手を間近で取材する敏腕競輪記者が椿賞争奪戦(伊東競輪GIII)の前検日である12月1日に熱海に集結。今回のグランプリの行方を占った(文中敬称略)。(取材日:12月1日)
【KEIRINグランプリ2023出場選手】
①古性優作(32歳・大阪=100期)
②山口拳矢(27歳・岐阜=117期)
③眞杉匠(24歳・栃木=113期)
④佐藤慎太郎(47歳・福島=78期)
⑤松浦悠士(33歳・広島=98期)
⑥清水裕友(29歳・山口=105期)
⑦深谷知広(33歳・静岡=96期)
⑧脇本雄太(34歳・福井=94期)
⑨新山響平(30歳・青森=107期)
※数字は車番ではありません
デイリースポーツ 松本直記者(以下松本) 立川でのグランプリは4年ぶり?
日刊スポーツ 松井律記者(以下松井) 慎太郎君が獲った2019年以来だね。
松本 グランプリと言えば立川。開催回数も1番多いし。
松井 30何年前からそういうイメージ。
東京スポーツ 前田睦生記者(以下前田) 最近は気候変動の影響があるけど、いつも本当に寒くて冷たくて。「グランプリの空気」っていうのがありますよね。
松本 前検日の取材は寒くてしょうがないもんね。バンクに行くときなんか。
松井 選手も立川用の自転車を考えるしね。競輪祭までずっといい状態で乗ってたとしても、それじゃ立川では走れないって。
前田 夕方の指定練習は、どんな天候でも村上義弘(引退)は絶対乗っていた。そんな荘厳な空気感を思い浮かべますね、立川は。
松本 バンクの特徴としては、直線が長くコーナーが小さい。だから、4コーナーからの山おろし気味の直線強襲が決まりやすいかな。
前田 脇本雄太がこの直線を逃げ切るか、ということで盛り上がった2019年大会。今年、ワッキーがもう一度挑戦するシチュエーションになるかどうか。
松本 ワッキーは勝ち方にもこだわりたいでしょうね。
松井 最近のワッキーの戦い方、どう思う? 今まではどちらかと言うと受けて立つスタイルだった。スタートを取って、誘導残したまま引いて、 ペースを上げさせないで、前団のやり合いを見てから落ち着いてドンと。緩んでたら行っちゃうし。眞杉や新山がよく言ってたけど、 待ちすぎたらもう来ちゃうし、でも怖がって逃げちゃうと自分がいっぱいになっちゃうしで、その加減が本当に難しい、と。
松本 競輪祭の決勝では、少し変化を持たせていましたよね。位置取りなんかで。
前田 位置を取らないと深谷の先行には勝てないっていう頭もあったろうし、ケガ明けではあるから、全うはできなかったのかな。
松本 グランプリでの並びはどうなりますかね。特に近畿の脇本と古性は。
松井 古性ー脇本よりは脇本ー古性の方が基本だよね。前者を少し期待する部分はあるけど。
松本 9対1くらいで脇本ー古性でしょうね。
松井 古性が前だと脇本の個性が生きなくなっちゃうのかな、とは思う。
松本 北日本は新山響平ー佐藤慎太郎で間違いないでしょうね。新山は、冬の立川バンクで先行して逃げ切れるのか。それに脇本雄太が挑むのか。逃げることに迷いがないのは新山かなと思うんですけど。
松井 昨年の西武園での「オールスター競輪(GI)」は、とにかくワッキーがものすごかった。
前田 完全優勝しましたね。
松井 あの頃のワッキーと比べると、最近は勝つときもそこまでのワッキーじゃない。負けるときも「あ、ここは負けるだろうな」って思うと現実に負けちゃうことがある。以前は「負けて欲しい」「ワッキー、ここはちょっと許してよ」っていうときでも勝っていた。競輪祭の決勝とかも、少し人気が割れたじゃない。1番人気にはなったけど、ファンも今は絶対王者的なワッキーではない、と見ているんだよね。今年はGI優勝が1回もないわけでしょう。どういうふうに仕上げてくるのか、怖いよね。
松本 まあ、ピンポイントの仕上げ方はね。
前田 もしかしたら、作戦はわかりやすいかもしれない。ワッキーが新山先行態勢との勝負に絞る。他の選手のこと計算に入れず、「ここで勝負」と切るだけ。後はもう古性に...。
松本 「捌いて」って。
前田 ということになったら、ワッキーはめちゃくちゃ力発揮すると思う。
松井 「古性に抜かれたくないから、このぐらい」とは考えないのかな。
前田 うーん、やっぱり去年あの位置から仕掛けていって...。
松本 押し切ってますもんね、平塚とはいえ。
前田 本能的に誰にも抜かれたくないのはあるんでしょうが、そこの戦いのさじ加減はもう2人の中で共通してるんじゃないかな。
松本 じゃあ、新山VS脇本の先行争いになる、と。
前田 現状だと。
松井 ただ、中団にいるのが、割とみんなヨコやるじゃん。単騎の山口拳矢にしても、眞杉匠にしても。
松本 中国勢はどっちが前でも「中団は譲りません」という。
松井 清水が前のときは、松浦が絶対波を作るし。ワッキーはすんなり8番手だと今年はきついんじゃないかな。
前田 単騎3人も、ピョコピョコピョコと。
松本 捲っていく選手がいれば、やっぱり3コーナーで3番目、4番目のラインで捲らなきゃいけないから、外、外になっちゃうと...。ワッキーが万全の体じゃないとなると、ちょっときついのかなっていう場面があるから、早めにカマして「さあ古性、後は捌いてくれよ」と。 そんなレースになったら面白いのかな。
前田 多分、ワッキーはその方がいいんじゃないですか。ただやっぱり、清水と松浦の2人は結構イヤな動きをしてくることがあるから。実はワッキーにとって、中国勢の並びは非常に大事だと思う。新山ばっかり見てると...。
松本 中国勢としては、作戦を前夜祭でも明かさない方がいいわけだ。ワッキーの頭をフルに使わせて、考えさせて。
前田 そう。で、ワッキーは「いいや、もう知らない。じゃあ、新山をどこで叩こうかな」と。そのとき、中国勢はその展開がわかるわけだから、次の手を打てるわけです。で、自分たちのチャンスを生み出せる。ワッキーがそこを読めない可能性が、もしかしたら生まれる。
松本 やっぱりコメントは後出しの方がいいね。先出しは王者のレースだもんね。
前田 そう。だから近畿は王者のコメントの出し方をする。
松本 作戦は後に出した方がいろんなパターン考えやすいからね。
松井 でも新山が先行することとか、ワッキーが行けるところから行くっていうのは、もう誰もがわかっていることで。今回、やっぱり単騎3人は読みづらいね。買うにも買い目は広がるし。
松本 山口拳矢、眞杉匠、深谷知広の3人は、単騎と考えていいですかね。
松井 やっぱり単騎じゃないの?
前田 強引な理論は何か所か生み出せますけども。
前田 山口が深谷に付いても面白いし、親子2代でお世話になることがあってもルール違反でもなんでもない。けど、やっぱりない。眞杉と山口も元同期だけど、それが並ぶ理由にはならない。グランプリでどう戦うかを考えると、やっぱり3人は単騎しかないかなと。でも、前夜祭で「ウッソー」みたいなのはあってもいいよね。
松本 ひとつぐらいね。じゃあ、ここに関しては前夜祭のお楽しみということで。
松井 20年大会の脇本ー平原みたいなのがあると面白いかもしれないけどね。
松本 ひとつだけ決まっているのは、新山ー慎太郎の並び。
松井 そこだけじゃない? 100パーセントと言えるのは。ところで、新山のグランプリ出場の決まり方はドラマだったね。新山、なんでこれほど頑なに1年間突っ張り先行をしたんだろうって。例えば2人出して3番手から捲り返す、とかをやっていたら、いろいろ決まりそうなのに。これでグランプリに乗ったことが本当にすごいと思う。
松本 今年の新山響平は、谷から始まりましたよね。S級S班のプレッシャーと戦法への迷いで。
前田 勝たないと、みたいな。
松本 3月の大垣記念の後、師匠に「もう一度、お前の戦い方の原点を思い出せ」みたいな助言をもらって、そこから吹っ切れた。
前田 吹っ切れたというよりは勉さんに大リーグ養成ギプスみたいなのをハメられて、そういう体になりましたよね。
松本 新山が突っ張り先行をすることで、A級やチャレンジの選手などの突っ張り先行もすごく多くなったんじゃないかな。今年のレースの傾向として。
前田 青森の若手は意識して挑戦していますね。
松本 123期の若い選手たちもね。もちろん7車立ての構成上、2分戦があるから突っ張り先行は有利なんだけど、 新山がひとつのムーブメントを作った気がする。
前田 フォームやタイムを見た時に「やっぱりこれが最善だ」ということで、極めたいということなんでしょうね。捲りで勝つというレースより、先行を極めて最強になりたいと。
松本 競輪祭の最終日のレース見ましたよね。佐々木雄一と恩田淳平が落車しちゃったんだけど、最後の最後で先頭誘導員早期追いぬきをやりそうになった。
松井 おおっ! って思った。
前田 あの佐々木雄一の失格はかわいそうでした。
松本 だから、新山は引き上げてきても笑顔が全くなかった。後ろが落車しちゃったし、先頭誘導員早期追い抜きというのは、やってはいけないルール。そのリスクを毎回背負ってレースに臨んでいる新山は、グランプリでも2周で突っ張るのか。ただ、そこは車番という大きな要素が絡んできますけど。
松井 車番は重要だよね。今回って、普通に番組編成なのかな。
松本 立川は、番組編成が年間の成績などを考慮して決めますね。前夜祭で発表されます。
前田 クジとかではないでしょうね。
松本 車番は大きな予想のポイントになるでしょうね。
前田 ミッドナイトとかは意識しますけど、トップクラスになるとそこまで気にしないかな。
松本 新山が取りたいならどうぞっていう感じでしょうね。
前田 ワッキーは基本出ないし。
松井 ひとつ、みんなと話したかったのは、古性のこと。古性って自分が前を走ってるレースは、すごく「ドリームレース」というか、何が飛び出すかわからないものがあるじゃない。
前田 ファンタジスタですよね。
松井 でもワッキーの後ろの古性って、古性じゃなくなっちゃうとまでは言わないけど、何か魅力が半減してしまうように感じるんだよね。
前田 はい。
松井 まず、付いていけるかいけないかっていう、普通の選手に求められることが古性に求められる。だから、もちろん脇本ー古性は最強のラインなんだけど、古性はやっぱり前を走っている方が面白いんだよね、どうしても。
前田 もしかしたら、それは古性の悩みなのかもしれませんね。私は「競輪好プレー」という記事を書いているんですが、古性は殿堂入りするくらい、走れば走るほど好プレーが生まれる選手。一方で、 同じ地区に自力最強のワッキーがいて、その後ろで仕事を果たさないといけない。古性としては歯がゆいというか、あれだけの暴れん坊の性格を思うと。
松本 僕は取材に行ってなかったんだけど、福井記念の決勝は別線でやったじゃないですか。あのとき、古性はどんな気持ちだったのかな。脇本は番手で競りだったから、単純な自力勝負じゃないけど。興味深いレースのひとつでしたよね。
前田 全プロ記念の決勝は、古性が軽く中団取って捲って、という。ワッキーの手の内を全部知ってるから、綺麗にやりましたよね。
松本 古性が前で脇本が後ろというのは、10パーセントぐらい可能性はあるんですかね。今年だと、「ウィナーズカップ(GII)」の決勝がそうでしたけど。
松井 今回のグランプリでも、地区のことは抜きにして、古性が単騎で1人でやったら勝つ確率はワッキーの後ろを回るよりも高い気がする。
前田 そう思います。
松井 確率だけで言うとね。だけど、ワッキーの後ろじゃなきゃ勝てないレースもあると思うんだよ。すごく難しいよね、この2人って。古性がそこまでの選手になったということなんだろうね。
前田 脇本の後ろがあるっていうのは最大のチャンスなんですよね。
松井 2021年に「オールスター競輪(GI)」を獲ったときは、まさにそれ。でもその後、自力でポンポン獲り出してるし。
前田 と思えば、今年の「高松宮記念杯競輪(GI)」みたいな。
松本 ああいうワッキーの献身的なレースがあったじゃないですか。
前田 信じられないような。
松本 あれがあった以上、やっぱり古性はもう脇本の後ろですよ。ワッキーがどんなレースをしても。
松井 あれは美しいレースだった。
松本 この2人の関係性ってなんだろう。古性がちょっと、苦言のようなことを。ワッキーのレーススタイルに関して。
前田 奈良記念ですよね。続けて失敗したウィナーズカップの時。
松本 「脇本さんこのままじゃダメですよ」みたいに言い合える関係性ができて、前後の入れ替えもやって。で、初日に落車して体を痛めている古性のために、脇本が献身的に駆けた高松宮杯の決勝。このストーリーを振り返ると、もちろん古性の自力も見たいんだけど、やっぱり、今年はワッキーの後ろかな。だから一番見たいのは、ワッキーが先行して古性が捌くレース。
松井 古性に仕事をしてほしいよね。
前田 見どころになりますね。
松井 ワッキーが逃げ切るにしても、古性が差すにしても。
松本 古性は全部止める。まず新山と慎太郎さんのライン、続いて単騎勢、全部捌いて最後に来た中国勢を放り上げる。
前田 その時は、誰が内に来てるかな?
松井 競輪祭でワッキーが8番手不発のレースがあったけど、古性は3着に来たからね。 普通なら8、9着で終わっちゃうはずなんだけど、あそこで諦めずに3着に突っ込んでくるところが古性のすごさ。
前田 F1は詳しくないけど、例えばアイルトン・セナとミハエル・シューマッハが同じチームにいたら...こういう風にこじれるっていうか「どっちが主役なの」となりますよね。
松井 そうだね。
前田 ワッキーがセナで、シューマッハ級の古性がやって来た。もうこの2人の世界観はレベルを超えてる。古性にとっては、まだワッキーは憧れの存在かもしれないけど。
松本 ということで予想に行きましょうか。今年のグランプリで、どんな車券を買いたいか。
前田 私はもう、深谷ー全ー全で決まり。
松本 どんな勝ち方になると思います?
前田 黙って足溜めればいいんですよ。
松本 新山と脇本が、ちょっとでも踏み合って消耗戦になれば...。。
前田 うずいてホームから行くような気もするけど、待ってほしい。
松本 深谷はステイ、ステイ、ステイで。
前田 そう、待って待って。
松本 爆発力。
前田 立川の大外でいいのかな、もう。
松井 だってこの間の競輪祭であったじゃない、深谷が3番手から抜いちゃったレース。
前田 準決勝ですよね。
松井 あれでもいいわけだよね、前がカカっちゃえば。
前田 あそこまでかっこよくなくていい。黙って足溜めて最後だけ踏めばいい。新山が逃げていても脇本が逃げていても、内を突くのは危ないから足を溜めて。もし脇本の3番手に続けても、古性が振って来るから落ち着いて行って欲しい。「タテ脚があるからいつでも優勝できる」ぐらいの気持ちで戦えれば面白い。眞杉、山口、深谷という単騎の3択ではなく「これが深谷だ」というのを見せつけてくれると思います。
松本 僕は慎太郎さんを推します。19年のグランプリは、金網のところで前田君と一緒にレースを見ましたね。
前田 あのときのご祝儀はやっぱり倍付けでもらった方がいいのかな。少しだけいただいたと思うんですけど。何回も言いますけど、最後の最後に私のアドバイスで、松本さんが慎太郎車券を当てたという。
松本 今年1年の佐藤慎太郎の安定感。この立川で2019年の再現があるのではと思います。
松井 目標は新田から新山に変わったけどね。
松本 僕は新山が先行すると思うんですよね。で、意外と、中団、3番手あたりが眞杉、山口、中国勢でもつれちゃうんじゃないかなと。深谷はそういう位置取りはしないと思う。
前田 中国勢と眞杉でオラオラ頭突きが出る可能性もあるかな?
松本 そうなると慎太郎さんが、意外と番手を無風で回ってこれちゃうんじゃない?
前田 スイスイと。
松井 慎太郎にヨコで絡む人はいないし。
松本 で、4コーナーから長い立川の直線。新山のカカリが良ければ、慎太郎さんは後は差すだけ。今回のグランプリは自在タイプが揃っただけに、中団や後方がもつれちゃうんじゃないかなという読みです。
前田 競輪は番手!
松本 ただね、慎太郎さんの2着付けも買えるかな。やっぱり3番手を取りきった選手が有利だと思うから。
松井 そうなんだよね。立川グランプリって、獲っているのは大体番手か3番手なんだよね。
松本 もう、慎太郎さんの1、2、3着をガンジ絡めで買いますか。
前田 頭だけ買いなさいよ。
松井 優勝予想なんだから。
前田 慎太郎さんに失礼ですよ。
松本 前回優勝したときは、同じ43歳で優勝した山口幸二さんの最年長優勝記録にあと何日か届かなかった。慎太郎さんが勝つと競輪場が沸くんですよね。最近の新しい競輪ファンには、佐藤慎太郎がもう1回勝つところを見てほしいな。
松井 ファンは多いからね。「限界? 気のせいだよ」Tシャツも売れてるし。
松本 限界突破してもらいましょう! ということで、僕は佐藤慎太郎の優勝です。
松井 僕は中国コンビのどちらかかな。でも、並びがわからないから...。
前田 松井さんでも、どっちが前かは現時点で予想できませんか。
松井 できないね。20年の平塚グランプリは松浦ー清水の並びだったし。まあ基本的には清水が前だと思うんだ。単騎勢との兼ね合いもあるし、「どっちが前を回った方がより面白い作戦が組めるか」っていうことを考えられる2人だからね。わかっているのは、新山の行きっぷりがいいことと、ワッキーの力があること。単騎勢もみんな力はあるけど、展開を考える軸になるのは、東北と近畿勢だよね。
前田 はい。
松井 そうすると中国勢は中団、中団を回れるケースはあると思う。この中国ゴールデンコンビは、後ろを回った側の勝率が非常に高い。このことは、この1年は清水がSS陥落したから言われてこなかったけど、みんな後ろになった選手からばかり買ってたでしょ。20年の清水の「全日本選抜競輪(GI)」優勝とかさ。どっちかがタイトルを獲るということに関して長けてるし、明らかに新山やワッキーに勝ってる部分が、あの2人にはある。今年後半の、怪我から復帰してきた松浦の復活ぶりや、防府記念もそうだったけど、勝つと決めたときの清水の集中力。
松井 脇本ー平原で並んだ20年の平塚グランプリは松浦が前を回って、あのときも平原が横に動かなきゃ絶対清水が獲っていたっていうぐらい仕上げてたよね。
前田 4コーナーで、みんなが「あ、清水だ」って。
松井 そしたら平原がまさかの横に動いた。
前田 宇宙に衛星を放つような勢いで。
松井 やっぱり戦い方を熟知してる。去年は清水が不在で、松浦は単騎で北日本を壊し行って孤軍奮闘したわけじゃない。だから今年は「清水が前で頑張んなさいよ」と。松浦が優勝してもいいし、単騎の誰かが飛んできて、清水が番手にハマってそのまま漁夫の利を得てもいい。優勝は、中国コンビのどっちかじゃないかなと思ってる。
松本 松浦は競輪祭の決勝の後に「戦える状態になってきました」って言ってましたよ。
前田 ニコニコしてました?
松本 うん、「まだ上積みがある」って言っていたよ。
松井 体はまだ万全じゃないはずだったよね。
松本 競輪祭はね。
前田 肩甲骨骨折? 一番ひどいのは。
松本 今年は広島記念走らないよね。
松井 その分もグランプリで魅せたいよね。
松本 松浦悠士がそろそろグランプリVっていう感じはしますよね。
松井 そうだよね。今年の松浦のレースで印象残ってるのは、ワッキーの番手を回って優勝した「サマーナイトフェスティバル(GII)」。あれも松浦らしいと言うか。
松本 見たかった連係でしたよね。
前田 競輪シーンを盛り上げる意味も込めてと言うか、そういう立ち回りができるのが松浦。
松井 もちろん能力は抜群にあるうえで、セルフプロデュースがうまいよね。魅せ方もうまいし。ヨコをやる時はちゃんと「自在」って言うし、コメントもわりとキモのところまで喋ってくれる。手の内を明かした上で戦いに行くとかね。
前田 いたずらっぽい性格や勝負師の面が、ファンにとっては魅力ですよね。
netkeirin取材スタッフ
Interview staff
netkeirin取材スタッフがお届けするエンタメコーナー。競輪の面白さをお伝えするため、既成概念を打ち破るコンテンツをお届けします。