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前田睦生の感情移入

【オールガールズクラシック】売り上げ30億円到達の裏側、そしてこれからの課題…

2023/10/08 (日) 12:00 63

ガールズケイリンのファンはガチだ!

定着の極み

 松戸競輪場で10月2〜4日、ナイター開催で「第1回オールガールズクラシック(GI)」が開催された。極めて数少ないチャンスを佐藤水菜(24歳・神奈川=114期)がものにして、「ガールズグランプリ2023」(立川競輪)の出場権を得た。

 3日間の売り上げは30億円を超え、ある意味で衝撃だった。

 男子のナイターGIIIでおおまかにいうと、1日10億円で快調。昼間の平日のGIIIもそれくらいだ。ガールズだけの3日間。それでこの数字を出したのは、ガールズケイリンを日常的に買う人、勝負する人、が定着しているということだ。

 それだけ、それぞれが応援する選手も定まり、のめり込んで、ガールズケイリンが心の中に溶け込んでいる。
 2012年7月のスタートから、一番求められていた場所にたどり着いた。1期生からの努力の賜物。その苦労をねぎらう30億円という数字だった。

各レース、各選手の奮闘

刈込奈那がシリーズを大いに盛り上げた

 初日の1Rの売り上げが約4,800万円で驚いた。2,000万円を超えれば…くらいに思っていたが、注目度もあり、伸びた。それに、戦う意志を示す走りを各選手がしていたことで、次は…につながった。

 GIの後半6RにつながるまでのA、B、Cのトーナメントの選手たちの頑張りも重要だった。MVP候補は刈込奈那(22歳・千葉=120期)と石井貴子(33歳・千葉=106期)になろうかと思うが、Bを優勝した竹野百香(21歳・三重=124期)を筆頭に124期の新人選手たちも、躍動的だった。

 この選手は何をやるのか。新人選手は苦闘することが強いられる現在だが、切り開こうとする走りが、流れを生んだ。そこに中堅、ベテランと技を見せ、1つ1つのレースが高まっていた。不安もあっただろうが、取材の中ではみんな明るく、この大会で走れる喜びに満ちていた。

すべてのガールズ

引退した高木真備さんはストロングゼロの研究員になった

 昨年10月に平塚で行われたオールガールズの大会も3日間で10億円を売り上げ、力強さを見せた。その時にも一番の話題に上がったのは、「ここまでを築いてきた人たち」の存在だ。苦しい時代を支え、バンクを去った先人の足跡が際立った。

 後進の期の選手たちはみな先輩に感謝の眼差しを向け、そしてこれからは…を思っていた。

 GIができたことはひとつのゴールであり、通過点。ガールズケイリンのドラマ性が強まり、男子のように、そこに向かってファンが一緒に歩むことができる。終わりのないドラマこそが、競輪が日本の文化たる由縁だ。

課題は…

ネイルは爪を保護する役割も持つ

 プロ野球の選手が茶髪にしていて、それが非難された時期があった。しかしもうそれは「んな、アホな」という時代になった。ガールズケイリンの選手が華やかに、プロのスポーツ選手として魅力を作り上げることは、無用どころか必要な時代。

 発走機でのパフォーマンスも推奨されていい時代のはず…と私は強く思う。多様化を認める世界にあって、公正安全に関わるものでなければ自由が前提だ。

 取材ゾーンに来た時には、色々なポーズでファンに伝えられるものがあればと、とにかく協力的だ。ただ、今回に関しては上位着の選手は取材しやすかったが、負けた選手の思いなどはあまり取材できなかった。検車場にいて、その表情を見るだけでも違うものだが、1〜7着の選手のみんなが何かを抱えていて、誰かに支えられていて、そのすべてが競輪を生み出している。

 もっと伝えられるものがあった。もっとできることが、ある。


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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