2023/09/22 (金) 12:00 39
9月23日から松阪競輪の「開設73周年記念 蒲生氏郷杯王座競輪(GIII)」が行われる。青森の「共同通信社杯(GII)」を深谷知広(33歳・静岡=96期)が制し、間もない開催になる。その青森で新田祐大(37歳・福島=90期)は途中欠場。郡司浩平(33歳・神奈川=99期)は一次予選で敗退の憂き目に遭った。
新田としては2日間がかみ合わず、モヤモヤの残るシリーズとなってしまった。郡司は番手を回っての戦いで、展開や判断もあっての敗戦。残りの3日間は動く意識を強く持っての走りを見せていた。悪い状態ではないが、上では戦えない何かが郡司の現在だ。もう一度、はい上がるための青森だった。
新田も郡司も、優勝した深谷は近い存在だ。9年ぶりというビッグレースVを手にした姿を見て、心が奮い立ったことだろう。新田はライバルに負けまいと、郡司はより深谷との熱い連係をと…。中3日の松阪記念になるものの、闘志はあふれていると思う。
吠えろ!コウヘイ!
中部からは浅井康太(39歳・三重=90期)、柴崎淳(37歳・三重=91期)、皿屋豊(40歳・三重=111期)と地元の三重の強豪が名を連ね、山口拳矢(27歳・岐阜=117期)も主役として参加する。浅井は青森で決勝には乗れなかったが、動いて勝負できる良さが戻っていた。山口も状態的には不安はない。
ここに竹内雄作(35歳・岐阜=99期)の名前が加わることが…。
竹内はずっと中部の先頭で、日本を代表する先行選手として戦ってきたが、近年は信じられない不振に落ち込んでいる。だが、番手回りのチャンスだったとはいえ、前回の豊橋で久しぶりの優勝を飾った。
竹内の苦しんでいる姿を見ている人たちからすれば、ホッとした気持ちになり、そして「絶対に復活へ」と思っただろう。爆発力のある、魅力的なパワーファイターが、勢いのまま今節大活躍すると信じたい。
山田庸平(35歳・佐賀=94期)は青森が終わった時点で、KEIRINグランプリ争いの賞金ランキングは12位だ(約5,400万円)。9位の新山響平(29歳・青森=107期)が約7000万円なので、ボーダーまで間が空いている。
それでも記念の優勝賞金の額が500万円と思うと、淡白にならず、猛獣のように結果を求めるだろう。それは近辺にいる選手はみなそうで、だいぶ差が空いているともう「弥彦か小倉で…」になる。
新田が11位で山田より上だが、その差は85万円程度だ。郡司も約5,000万円で14位なので、電卓をはじきたい気持ちだろうが、おそらく面倒くさがって「頑張るしかない」だろう。山田が新田や郡司と違うのは、昨年、また一昨年の戦いがあるということ。「届かない」日々を過ごす無念はもう…。ここからのヨウヘイには大いに注目してほしい。
先頭誘導員としての参加になる舛井幹雄(51歳・三重=71期)は、弟子の皿屋とともに松阪記念が終わったらイギリスの世界マスターズに参加する予定だ。
「日本で開催される時に出場する予定だったんですが、コロナでね」
舛井は競輪界でも自転車愛が強く、また造詣(ぞうけい)の深い事でも知られている。年齢を重ねても勝負できる舞台に挑みたいという気持ちなのだ。公務員から競輪選手になった皿屋もその血を受け継いでおり、舛井は「皿屋も自転車が好きやからね」と目を細める。
競輪場の中だけではない戦いやつながりも競輪選手にはある。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。