2023/09/06 (水) 12:00 34
9月7日〜10日に立川競輪場で開設72周年記念「鳳凰賞典レース(GIII)」が開催される。平原康多(41歳・埼玉=87期)と新山響平(29歳・青森=107期)、守澤太志(38歳・秋田=96期)のS班3選手が参加の中、やはり目立つのが眞杉匠(24歳・栃木=113期)の名前だ。8月西武園競輪「オールスター競輪(GI)」を制し、タイトルホルダーとなった。異様な負けず嫌いで知られる男が、冠を手にした。
しかし、眞杉自身が話していたように、ここからが始まり。オールスターの決勝では吉田拓矢(28歳・茨城=107期)が前にいて、その走りがある意味ですべてだった。「自力で取ってこそ」の戦いが、眞杉のこれからになる。
無論、タクヤの前を、タクヤが戻ってきてから、どう務めるのかも重要だ。
脇本雄太(34歳・福井=94期)に「アイツは…」と目を付けられ、先行で挑戦し、ヨコの動きも苦にせず、ガムシャラに子どものように上位陣と戦ってきた。「GIを獲れる」と言われるまでになり、今、それを実現した。今節は冬ではなく、暑い時期の立川記念になるわけだが、眞杉の心の火も燃え盛っているだろう。
北井佑季(33歳・神奈川=119期)は9月3日が最終日だった向日町記念(平安賞)を制したばかり。追加で走った向日町でGIII初制覇と勢いがある。立川は練習でお世話になっている場所なので、連戦でも気持ちの入りようは違う。変わらぬ積極策で、当然、記念連続優勝を目指す。
向日町の優勝後のインタビューで律儀に「師匠の高木隆弘さんはGIを3回、GIIIを40回勝たれているので」と詳しい数字を出して、「少し近づけた」と喜んでいたのが印象的だった。武骨な顔だが、笑うと愛らしく、モテ感を醸し出していた。
笑わなくても、ただ立っているだけでもモテ感を出しているのは、犬伏湧也(28歳・徳島=119期)だ。地の表情が柔らかく、ちょっとだけおとぼけな、それでいてシックな若手外交官の雰囲気があり、インパクトがある。119期の中では北井と犬伏が年齢が上の方で、引っ張っていく存在。期待通りの活躍を見せているわけだが、それではカッコ良すぎるよ…。
119期の暴れん坊・吉田有希(21歳・茨城)は今回はいないものの、2人に大いに嫉妬して、必ず彼らを上回る成績を残してほしいと願っている。そういうメガネの曇ったファンも、少なくないと思う(北井も犬伏も頑張れ!の上で、ね)。
そうだ、都築巧(23歳・高知=123期)も今のまんまで、頑張って、頑張って、頑張れ〜〜!!!
新山と守澤はフェイスでも輪界をリードしつつ、やや不満の残っただろう夏を吹き飛ばす。平原としてはずっと最前線で引っ張ってきた身。そろそろ自身が望むように“脇役”として、競輪界を支えたいのだと思う。
ただ、今年の成績は単純に落車、ケガによる影響がすべて。普通の状態に戻った時には、体が許してくれないはずだ。今節もまだ完調には及ばないかもしれないが、もう一度、主役になる男。極寒の立川記念を頑張り続けてきた平原には、夏の終わりに涼しく結果を手にしてほしい。
当大会連覇の実績がある清水裕友(28歳・山口=105期)もまた、大好きな立川でドラマを生んでくれるはず。12月30日に帰ってくる場所--。賞金面で優位な所にいるが、いつまでも気は抜けない。
最後に山崎賢人(30歳・長崎=111期)にもエールを送りたい。
ケント、これからだぞ!!!
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。