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【未来の競輪スター候補】ザ・規格外! スーパー候補生が抱くデカい夢「KEIRINグランプリを優勝できるような選手になりたい」/中石湊候補生

2023/06/03 (土) 18:00 80

『競輪選手になるために、そして夢を叶えるためにーー』
今年は第125回生として男子72名、第126回生として女子19名の候補生たちが日本競輪選手養成所に入所し、2024年のプロデビューを目指している。この時期、“未来の競輪スター候補”と題して毎年お届けしている本シリーズだが、今年は7名の注目候補生へインタビューを実施した。シリーズ初回となる今回は輝かしい競技実績を誇る中石湊(なかいし・みなと)候補生を紹介する。(取材・netkeirin編集部)

明るくインタビューに応じてくれた中石湊候補生。好きな映画はホラー系全般、良く聴く音楽はワン・ダイレクション、食べ物は何でも好きで一番は焼肉(photo by Kenji Onose)

 昨年6月にインド・ニューデリーで開催された「ジュニアアジア選手権」のスプリント覇者。同開催のケイリンでも2位、1kmTTでも3位と輝かしい競技実績を誇る中石候補生。養成所の第1回記録会(200m・400m・1,000m・3,000mの4種目のタイム計測)では3000m以外の3種目で1位のタイムを叩き出している逸材だ。日本最速の高校生と呼ばれた“規格外候補生”は養成所生活のスタート地点で何を思い、何を目指しているのか。

ーーはじめに競輪選手を目指したきっかけを教えてください。

 小学2年か3年の頃、親に岸和田競輪場へ連れて行ってもらいました。子どもながらにレースのスピードと迫力には魅了されました。それに声援も大きくて場内がすごく盛り上がっていたんです。そのとき「競輪選手になって走ってみたいな」と思いましたね。それが最初のきっかけだと思います。

ーー中石候補生は高校時代に国内の主要大会でもジュニアアジア選手権でもジュニア世界選手権でも輝かしい実績を残しています。どんな気持ちで自転車競技に取り組んできましたか?

「後悔するくらいなら行動したい」という気持ちで取り組んでいます。「失敗を恐れて何もできないってことだけはないように!」といつも考えていますね。この気持ちはレースでも大切にしていますが、大きな選択をするときなど、すべてに対して忘れないようにしています。失敗を恐れずに行動したいんです。

ーー失敗は恐くないものでしょうか?

 はい。たとえ失敗をしても思うように行動したのならば、それは失敗にカウントされず、成長に繋がると思います。自分が選択して行動すれば経験にもなり、強くなるための何かが見つかると思うので。

ーー中石候補生は中学校までは大阪、そして高校は北海道という経歴の持ち主です。中学生にとって大決断があったように思いますが、この選択も「後悔するくらいなら行動したい」という信条によるものでしょうか?

 そうですね。僕は中学受験をして中高一貫教育の学校に入りました。でも中学3年のときに「北海道の過酷な環境下で鍛えたい」と考えました。たしかに大阪の中学から北海道の高校という選択は大きな決断でしたが、あの時の決意は固かったし、行かなきゃ後悔するって思っていましたね。

ーー中高一貫教育の学校となると、決まっていた高校を辞してまでの決断だったのですね。

 はい。でもあの時のこと思い出すと決断そのものよりも、北海道に行くまで長かったなあってことが印象深いです。周りの人にたくさん心配してもらったし、家族や学校の先生に相談もしましたし、校長先生とも選択について話をしました。北海道までは距離的な話ではなく、期間的な意味で道のりが長かったんですよ。

ーー北海道の地で過ごした高校時代、数々の輝かしい成績を残しました。そして、いよいよプロデビューを目指し養成所に入所しました。ここからどんなことを学びたいですか?

 イチから競輪を学びたい気持ちがあります。今までの競技実績は関係ないというか、これからの学校生活を通じて「職業としての競輪選手」をしっかりと勉強したいです。競技経験はありますが、僕はまだケイリンではない「漢字の競輪」を知らないので。でも競輪選手になりたくてここまで来たので、地に足をつけて生活したいと思います。

第1回記録会では4種目のタイム計測のうち3種目で一番時計を記録した(写真提供:公財JKA)

ーーどんな競輪選手になりたいですか?

 競輪ファンのみなさんや僕を応援してくれる人達に認めてもらいたいって気持ちがあります。「いい選手やなー」って言ってもらえるような選手になりたいと思っています。自分の納得できるレースをして、見ている人にも納得してもらえるレースをして、大きなシリーズを勝てたら最高だと思います。

ーー気が早い質問ですが“大きなシリーズ”とは具体的に思い描いていますか?

 養成所に入ったばかりで“これから”の気持ちしかないのが正直なところです。でもこれからプロを目指し、プロになれるとして何を達成したいかといえば「GIを勝てるようになりたい」とか「KEIRINグランプリを優勝できるような選手になりたい」とか思い浮かべています。それを忘れずに鍛えていきたいです。

ーー楽しみにしています。中石候補生はさまざまな種目に強い印象がありますが、ご自身が思う一番のストロングポイントはどんな部分ですか?

 僕は初速から一気にトップスピードへと引き上げるダッシュ力が武器です。でも自己評価での一番を挙げるなら「スピードを上げ切った後にキープできるところ」だと思っています。でも競輪のレースで先行することを想像してみると、その能力が活かせるかどうかはまだわかっていません。競輪のレースは緩めるところや踏み込むタイミングなど、競輪特有の技がたくさんあります。その技を習得して、自分に自信があるところで勝負できるようになりたいです。

ーー“規格外”の候補生として各メディアの注目を集めています。最後に養成所生活への意気込みをどうぞ!

 先輩にも良くしてもらい、とても楽しく生活をスタートさせることができました。これから体でも頭でも競輪をイチから学び、みなさんに「いい選手やなー」と言ってもらえるように頑張っていきたいと思います!


 記録会では力の限り仲間を応援し「大声を出し過ぎました」とのことで、その声は終始かすれていた。世界トップレベルの競技実績を引っさげての入所となった中石候補生だが、一切の驕りは見られず。「“いい選手やなー”と認められるために努力します!」とただただ気合がみなぎっていた。

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