2021/04/22 (木) 18:00 15
競輪は個人戦でありながら「ライン」という仲間を作り、レース中盤まで共闘します。一線で活躍する選手たちは、ラインについてどのように思っているのでしょうか。2019年、2020年のKEIRINグランプリに出走し、2021年は全日本選抜競輪(GI)を制覇。5月の日本選手権競輪(GI)でも注目されるS級S班の郡司浩平選手にお話しを伺いました。(取材・文=netkeirin編集部)
※このインタビューは電話取材で行いました。
ーーKEIRINグランプリ2020では、ラインを組んだ和田健太郎選手が見事1着に輝きました。和田選手と走る際はどのような作戦を立てていますか?
和田さんとラインを組むときは、自分が前(自力)という構成です。
和田さんは先頭選手の意見を尊重してくれるので、自分がやりたいレースの運び方でやらせてもらっています。自分が番手になるとしても、そういうレースをしたいと思っています。
ーー「ラインの先頭で走る」というのは、体力的にも精神的にも大変なように思います。郡司選手が先行するときは、どのような心情ですか?
先頭選手の動きで後ろの選手の命運が左右されるので、やはり責任感がありますね。良くも悪くも自分でできる位置、と感じています。
ーー自分が前を引いた選手が優勝したときは、どういう感情ですか?
どのレースも1着を目指しているので、もちろん悔しいですし、残念です。
ーー負けたレースから学ぶことはありますか?
もし一緒のラインの選手が勝利したら、先行した自分のレース判断は間違っていなかったとも考えられます。一瞬で勝敗が分かれる競輪は、レース判断は大切です。学んだことが次の糧となるよう、精進しています。
ーーライン戦と単騎戦の大きな違いはなんでしょう。
単騎の場合、自分だけの戦いですので気楽ではあるかもしれません。でも、1対8の戦いになるので、レース運びが難しいですね。
ライン戦は責任感が伴うけれど、やはり有利になります。それに、いい方向にプレッシャーが働いて、いつも以上の力を出せることもあると思います。
2019年のグランプリは単騎で戦いましたが、不利でしたし、やりにくかったです。去年は和田さんと1年間連係してきて、一緒にグランプリに出ることができてよかったです。
ーーデビューしたての頃と今とでは、ラインに対する考え方は変わりましたか?
デビュー当時は勝ちたいという気持ちが強く、自分が勝ち上がることが大切だと思っていたところがあります。でも今は、ラインとして各々の役割を果たして、仲間同士でゴール前対決がしたいと思っています。レースをやってこないと気付けなかったこと、前で頑張ってきてわかることがたくさんありました。
今では、どうやって仲間を引き連れて決勝まで勝ち上がるか考えるようになりました。決勝戦にラインがあるのは、やはり大きいですからね。
ーー郡司選手にとってラインとは?
「仲間」とか「家族」のようなものです。絆を深め、それぞれの強みを生かすことで、本来の力以上のものを発揮できると思います。
時に前で、時に後ろで。仲間と共に勝利を目指す郡司選手に期待です!
netkeirin取材スタッフ
Interview staff
競輪の楽しさや面白さを知っていただくため、netkeirin取材スタッフが気になるテーマをピックアップ。選手は1着を目指しながらレース終盤までラインと呼ばれるチームを作って戦う競輪。そこで生まれる人間模様を追いながら、ラインの本質に迫ります。