2021/04/14 (水) 12:00 7
西武園記念といえば当然、平原康多(38歳・埼玉=87期)が主役だ。
だが、平原という主役を支えるにも、いつでも主役を張れる仲間たちがいなければ、平原とはいえここまでの成績を残すことはできない。関東で戦うことが徹頭徹尾、演目のテーマなのだ。
木暮安由(36歳・群馬=92期)が、拍子木の音とともに躍り出る。今は、信じられないほどの低迷。185cmの大きな男の存在感がない。
しかし、ようやく…、だろう。今回が木暮復権の一幕となる。
平原との物語をもう一度つむぎ直すことが、すべてのほつれを解いていく。舞台は平原の地元。だからこそ、そこで存在を示すことが木暮にとっては大きな意味を持つ。
木暮といえば、2018年6月の高松宮記念杯の決勝が一つのポイントだ。吉沢純平(36歳・茨城=101期)と武田豊樹(47歳・茨城=88期)の茨城師弟コンビのところで競った。決勝のメンバーが揃った後、悩み抜き、「競ります」と決断した。
武田はもちろん驚き、誰もが驚いた。間違っているんじゃないのか、という考え方も多かった。ただ、「そこまでの覚悟があったのか」と木暮が示した意味は重かった。
“関東でGIを勝てる位置を回る”これが木暮の当時の思いだった。実力は数年にわたり、GIを勝てると言われ続けていた。だが、勝てない。壁を破らなければ…と焦っていた。
その競りの後、木暮は武田や平原と話し、関東結束の道を歩んでいる。“もう一度、待つ”という決意をした…。
しかしそれは、デビューから暴れ通してきた木暮には合っていなかったのだろう。
…元気のない感じになった。
木暮にとって、今、スイッチを入れてくれるのは平原しかいない。埼玉の若手が頭角を現し、関東にもイキのいい自力型が出てきた。中心は平原。その平原との関係性の中で、関東の重鎮たる人物にならないといけない。
今回はそのチャンス。埼玉勢が充実するメンバーの中、木暮がどう立ち回るか。オシャレで奇抜な木暮本来の姿を取り戻してほしいと思う。
デビュー2年未満の若手ガールズ選手たちの戦いの場。まだできたばかりの大会で、2019年4月の大会は梅川風子(30歳・東京=112期)、2020年11月防府の大会は久米詩(21歳・静岡=116期)が制している。
近況の動きは尾方真生(21歳・福岡118期)が抜群だ。
児玉碧衣(25歳・福岡=108期)が尾方のデビュー前、「私より強い」とすら話した逸材。今その姿は明らかだ。西武園は先行有利なバンク。積極タイプも揃うが、尾方が逃げて勝つのか、に注目したい。
すさまじい強さを見せつけた後、児玉が「言ったっしょ! 私、言いましたよね! 」とドヤ顔するのを待とう。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。