アプリ限定 2023/03/15 (水) 12:00 11
「出走表を見てどうやって予想するのか」「競輪のルールや“お約束”がわからない」。そんな悩みを解決し、予想の面白さを体験するため、競輪ビギナーが購入した車券を予想のプロ・木村安記さんがレース後にチェック! 議論を通して競輪予想力を向上させる連載企画です。
TK 今回は今年最初のGI・全日本選抜競輪決勝です。①⑦⑧の近畿、②⑨⑤の北日本、④⑥は混成、そして③単騎とライン4つの細切れ戦です。
TK…競輪歴半年。アスリートとしての競輪選手に魅力を感じているが予想は苦手。3連単万車券を獲ってみたいと思っている
木村 実際は脇本の近畿ラインと新田の北日本ラインの2分戦だったね。脇本と新田のどちらが先行(逃げ)するかが予想のポイント。TKさんはどう見た?
木村安記…約20年にわたり競輪場や場外で場立ち予想屋として活動。2006年競輪祭決勝で自分の予想を買ったお客さんに1000万円の払戻をもたらす木村安記の買い目はこちら
TK はい、脇本と新田の戦いかなと。新田はレース前コメントで「自分も含めて北日本の中から優勝者を出したい」とラインへの貢献を窺わせるコメントを出していたので、新田が先行して脇本が捲る展開と考えました。昨年のKEIRINグランプリの最終バックに近いイメージです。
木村 それだけ聞くと的中同然だね(笑)。初手の位置取りは?
TK 吉澤は脇本と新田がやり合ったところを狙うと見て前は取らない。浅井は単騎なので前を取るとは考えにくい。脇本と新田で迷いましたが、最内枠で位置が取りやすい脇本が前と予想しました。
木村 初手だけど最内枠だから前を取るというのは少し単純じゃないかな。
TK やっぱりそうですよね(苦笑)。新田と脇本のどちらが前を取るのかわからなかったんです。
木村 僕はね、実際のレース通り、前は新田、最後方は脇本と考えた。新田からすると脇本を切るため脚を使うぐらいだったら、最初から前に位置取るんじゃないかと。脇本は「自分は好きで前を取っているわけではない」と話していたこともあったし、後ろ攻めでも通用する脚力があるのが脇本の特徴だから。
TK 予想する時に初手は考えるべきでしょうか?
木村 9車立てで単騎3人みたいなレースは初手を当てたとしても、誰がどこで動くかは読みにくい、時間も金も足りない。僕は重要じゃないと思っている。だけど、今回のような実質2分戦や3分戦の場合は、考える選択肢も少なくなるよね。初手から考えることで、「最終バックがこうなる」という根拠が明確になるし、脚の消耗度などの状況も見えてくるんじゃないかな。そういう意味では考えるべきだと思うよ。
TK まずは2分戦や3分戦から徐々にという感じですね。
木村 初手はわからなかったとはいえ、TKさんの車券は古性を本命にしているのが見わかるんだけど、1-7、7-1を勝っているところを見ると、結局脇本を信じちゃったのが外れた要因だよね。もったいないなあ。脇本は切れなかったか。準決勝は見た?
TK 見てました。
木村 準決勝は残り1周から眞杉と清水が踏み合ったところを、脇本がカマして結果は1着古性、2着脇本、3着浅井で決まった。眞杉と清水が脚を使い、脇本が有利だった展開にしては、古性に余裕で抜かれている。今年1月の和歌山や豊橋記念は全然抜けていないのに。このレースと1月のレースを比較して脇本を消すという事を考えなければならなかった。決勝では新田の抵抗もあるからなおさらね。ちなみに古性が本線ということは、新田は飛びつかない前提だよね?
TK ああ、飛びつくという選択肢もあるんですね。新田は先行しか考えていませんでした。古性に飛びついたら、古性は車券からいらなくなるということか…。
木村 古性が勝つ展開は新田が飛びつかない事が前提で、脇本には抵抗するということになるんだよね。準決勝のレースと新田の動きを想定した時に、脇本は確実に脚を使う…と考えたら、1-7、7-1は残念な車券だよね。買うべきではななかった。
TK なるほど、2日目のスタールビー賞は9着に敗れましたが、準決勝は2着と連対していますし、競輪界最強の選手なので、消す勇気が無かったです。
木村 桁違いに強い選手だけど、近走と怪我の状態を見極めることが大事。脇本は今回、打鐘前から仕掛けたけど、いざとなればラインのために駆けることも覚えておいた方が良いよね。本当は新田にそういう姿を見せて欲しかったんだけど(苦笑)。
TK 18日からのGII・ウィナーズカップは全日本選抜競輪同様にS級S班9人が揃います。勝ち上がり次第では似たケースになる可能性もありますので、今回の経験を活かします!
今回の見解…先行で脚を使った新田を脇本が捲り、近畿①⑦⑧が抜け出す。直線は古性が脇本を差す展開
課題...先入観を捨てて参考レースを見ることと初手の考え
木村安記
Kimura Yasuki
埼玉県大宮市出身、49歳。父の実家が大宮競輪場の食堂を営んでいた影響で幼少より競輪に興味を持つ。川口オートで予想屋を展開していた親戚の影響を受け、31歳で脱サラして大宮競輪場で場立ち予想屋デビュー。2006年競輪祭では自分の予想を買ったお客さんに1000万円の高額配当の払戻しをもたらした。netkeirin予想サービス「ウマい車券」で予想を公開中。