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村上義弘 引退特集

【村上義弘 引退特集】みんなはなぜ村上義弘の虜になったのか?ファンに理由を聞いてみた

2022/12/15 (木) 18:00 21

競輪史を彩ってきた名選手は数多くいるが、村上義弘ほどファンに愛された選手はいない。理由を調査するため、netkeirinではファンからメッセージを募集した。そこには「義弘愛」が無限に溢れる結果となった。(構成=netkeirin編集部)

(撮影:村越希世子)

 集まった100件以上のメッセージを読むと、レースはもちろんだが、競走スタイルや生きざまに心を動かされファンになった方も多かったようだ。まず、思い出のレースを挙げて頂いた方のメッセージを紹介する。

出走する全てのレースで見る人たちの心を掴んだ

「自分が初めて村上選手の「魂の走り」を体感したのは2012年京王閣でのグランプリ。豪雨をものともしない力強い走りにとても興奮しました。そして2016年のグランプリは自分の地元でもある立川のグランプリが村上選手のキャリアに加わったことが心底嬉しかったです」(riverさん)

「村上義弘選手を初めて見たのは、グランプリ初制覇の時でした。雨の中、骨折しながらも単騎で捲る強さに感動しました。一番印象に残っているのが、2016年の名古屋ダービーです。三谷選手の先行から川村選手が発進、後ろであれだけ仕事をしながらしっかり川村選手を残してのワンツーは、まさに最強の競輪選手だと思いました」(ぽんさん)

「印象的だったのは小松島記念で、太田選手とのせめぎ合いを制し優勝したにも関わらず、レース後のインタビューで「ポリシーに反する見苦しいレースで申し訳ない」と憮然たる表情で怒りながら表彰式に参加していた様子に、えぇぇぇぇーってなりました。かなり格好良く勝ったように見えたのに、嗚呼、すごい選手だなぁと改めて思いました」(ゆっちさん)

「印象に残るレースは多々有りますが、やはり日韓親善レースだったと思います。韓国勢の必死のレースで予選から落車多数で大荒れでしたが、日本代表として近畿や他地区の選手を背中で引っ張り、決勝進出し日本勢上位独占! 本当に感動しましたし、貴方に感銘を受けました」(リン輪さん)

「私が競輪を好きになったのは村上さんのおかげと言っても過言ではありません。大津で行われた高松宮記念杯の10レースの6番車だった村上さんの稲垣さんの番手を大塚健一郎さんに絶対に譲らない走り、あの日から競輪を好きになったのを覚えています」(こじのさん)

「あれは、太田真一が逃切りを決めたGPの前座、阿佐田哲也杯だった様に覚えている。尻をグイと天に向けて、1センターから全力で踏み込む君を見たのは。小さい身体で、気風の良い先行をする選手だなぁと思い、そこで初めて「村上義弘」という名前を知った。君の気迫溢れる走りで、たくさんの涙を流させてもらった。僕の中でも、競輪に対して一つの区切りが出来た様です。貴方の様な魂と気迫溢れる選手が出て来たら、また現場に足を運んで車券を買おうと思います」(八百屋の大ちゃんさん)

職場で肩身が狭かったけど「競輪ファンである事の自尊心を満たしてくれた」

(撮影:桂伸也)

 他の公営ギャンブルに比べると地味な立ち位置の競輪だが、村上義弘の存在はファンにとって光り輝く星だった。競輪=ギャンブル以上の何かを感じるファンも多かった。

「村上の走りを見てると「競輪ファンで良かった〜」との想いが胸に込み上げました。正直、職場内において競馬ファンである事は公言出来ても競輪ファンである事は公言するに多少の躊躇は否めません。でも村上の走りは「こんな素晴らしいものを見ないで一生終えるのはもったいない」と思えるものでした。競輪ファンである事の自尊心を満たしてくれた唯一無二の存在でした」(いずみちゃんさん)

「知り合いに村上義弘が走るから見に行こうと言われ見に行きました。先行日本一を小嶋、伏見と争ってた頃です。村上さんがいると初心者でも展開を読みやすいありがたい選手でした。取材で『雨走路は嫌いじゃないです。他が嫌がるのなら私にはチャンスだと思いますね。雨の日も風の日も練習してるんで』このコメントには説得力がありました。村上さんを見ていると競輪に誇りが持てました」(カズヒロさん)

「命を削るかの如く走る姿に何度も感動しました。側から見るとギャンブルですが、自転車競技として興味を持つきっかけになりました。今まで本当にお疲れ様でした」(匿名さん)

「ギャンブルで無く競輪の楽しさを教えて頂きありがとうございます」(たくたんさん)

「買った車券が当たらなくても村上選手の走りは納得できる。自分でレースを動かしていた時期から晩年は先行選手を何とか残そうとする競走を見て、競輪って楽しいなと感じました」(たにやんさん)

「競輪を始めてまだそんなに経ってはいないのですが、昔の村上選手の走りを見て魅了されました。ただのギャンブルではない、ただのスポーツではない色々な物が盛り込まれた競輪を村上選手の走りを通して好きになりました! 魂の走りを見れなくなって残念ですが、これからも全ての選手に村上選手の意思を継いで欲しいです」(タタラ丸さん)

「どんな状況でも最後までペダルを回す姿に力を貰った」

 村上義弘の競走スタイルや立ち振る舞いを見て、生きる活力や勇気を貰っていた方も多かった。最後はそんなファンのコメントを紹介する。

「逃げている時もマークの時も村上選手の男気が大好きでした。いつのレースも凡走は無しを常に見せてくれました」(匿名さん)

「自分の中での義弘選手の印象は自分の仕事を絶対にやり遂げるというところが1番強いです。ラインの先頭であればラインから誰かが勝てるように、番手であれば先行選手を残すためにサポートをしつつ自身もゴール前勝負をする、単騎であったとしても、勝負できる位置取りを確実にするといったところでしょうか」(コーンポタージュさん)

「どのレースでも最後まで全力でペダルを回す姿に力を貰いました。他の選手に多いのは逃げてて捲られたなら もう明日明日みたいに足を緩めるパターン。つまりハイ今日はここまでって感じで最後まで全力で踏まないパターンが常識。そんな中、日本一の競輪選手になる前からも成ってからも尚捲られても絶対に全力でペダルを回す姿を見るにつけ、苦しい時にこそ頑張るんだ、自分も頑張るんだ、そんな気持ちを湧き上がらせて何とかやって来ました」(匿名さん)

「稲垣がGIを取った時に総大将になりました。他地区の後ろにつかないスタイルも好きでした」(新潟魂さん)

「僕が競輪を見始めた時は既に関西で超有名選手として紹介されており、ウマを務める選手のために気合いの入った牽制やブロック、強烈な番手マクリを放つ凄まじく強い選手やったのが未だに印象に残ってます」(TKさん)

「村上選手の競走スタイルは、私生活や練習の厳しさや規律が表現されていて、車券が当たっても外れても納得できました。社会に必要なものや忘れている事を思い出させてもらいました」(捲り届かずタイヤ差さん)

(撮影:島尻譲)


 どんなレース展開でも車券を買ってくれたファンのために最後まで諦めない姿や、加齢により自身の戦法が変わってもラインを大事にする生き方は見ている者に影響を与えたのではないか。だから、村上義弘のファンになり、虜になったーーメッセージを読みながら感じた。今回紹介できたのは一部のみだが、皆さんから寄せられた全てのメッセージを村上さんにお渡ししたいと思う。

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