2021/03/22 (月) 12:00 8
3月上旬「産業構造審議会 製造産業分科会 車両競技小委員会」が開かれ、競輪とオートレースについての中期的な計画が話し合われた。競輪の売り上げは2013年度を底に、微増を続けている。
競輪の売り上げは2020年度(4月〜3月)で7400億円程度と推定されており、2025年度は売上1兆円に目標を掲げている。ボートレースが現在2兆円に達し、競輪も確固たる上昇を目指す。大まかには競輪のイメージアップ、役割の浸透を深めることがある。
売り上げが伸びれば地域財政への貢献、また補助事業を通じ社会還元を拡大することになる。それが、社会受容性を向上させることにつながる。
『競輪=ギャンブル=悪』という古びた思考はまだ残っていると考えられ、そこを完全に払拭していくわけだ。
補助事業については、テレビCMでの認知も行われているが、必要なのは選手を前面に出していくことだろう。選手には時間を取ってもらうことになるが、各補助事業先を選手が訪れ、その意義を伝える。
簡素な訪問写真、公式HPだけの掲載だけによらず、メディアサイドもその本質的な意義や現場の声を取材し、世の中の人たちにわかりやすく報じることも必要となる。“競輪をどう取材するか”が変わっていくだろう。
千葉で行われる予定の「250競輪」には大きな期待が寄せられている。現時点では、新しい競輪を生み、現行の競輪へのフィードバック、良い面を逆流して反映させる狙いがある。
まだ実行的な部分では車券発売の方式、レースプログラムなど見えていないところがある。売り上げを重視するのか、開催実施が優先なのか、選手はすでに講習を行いライセンスの取得を進めていても、「いきなりまともに力を出せるかは、不安」という声もある。
250バンクという難しい舞台で、しっかりしたレースを提供するための準備にはより力を入れないといけない。スポーツとして楽しむ面とギャンブルとして楽しむ面の両方の昇華が求められている。ファンの視点で色んな手を打ってほしい。
開催日数を増やし、ネット環境による投票増で売り上げを増すことは一つの手段。しかし、コロナ禍において疲弊し切った本場を見落としてはいけないだろう。現場で見る競輪の良さに疑いの余地はない。
サービスの形を大きく変え、本場に導くこともネット環境の整備と同時進行で行われるべきだ。少し前に金子貴志(45歳・愛知=75期)のコラムに触れ、本場開催のお祭り化を訴えたが、考えてほしい…。また高齢者のホスピタリティの要素を作るために、とりあえず血圧を測る機会を全場においてはどうだろうか。
▶︎本場開催のお祭り化の記事はこちら
2024年度にはガールズケイリンが200人体制に入ると見込まれている。当会では、新規顧客向けの商品と位置づけ、インターネットによる売り上げが好調な開催にガールズケイリンを配置する考えが示されている。2012年7月の発足後、明確な立ち位置を築くことになっていく。
2021年度から2025年度での中期計画は、もちろん、新型コロナウイルス感染症への対策を伴いながらになる。現在でも各地でレースカットなど、現場レベルでの対応、選手への負担が増えているケースがある。今はすぐに手を打って、何かを変えることは可能であろう。
中期的な目標と、目先の問題処理をかみ合わせながらの進行が重要になる。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。