2021/03/18 (木) 12:00 10
世界選手権10連覇の中野浩一氏の116回、初代グランドスラマーの井上茂徳氏の110回。
記念優勝を100回を超えているのはこの2人だけ。記念の制度変更されたのは2002年4月だった。それまでは年に1回各場、前後節それぞれ3日制の2節、A級のシリーズと級Sのシリーズが半々という形式だった。
変更前は全国で頻繁に記念が行われていた。主力選手もばらけ、時に伏兵のビッグチャンスもあったが、有力選手が勝つ可能性が高かった。だが、2002年4月以降は基本的に各場年に1回、4日制でオールS級選手の戦いとなった。そのため、記念(GⅢ)を勝つことはかなりの難業…。
この制度変更がなければ、100回超えは確実に3人にはなっていた。
神山雄一郎(52歳・栃木=61期)。
100回超えでも、116回をも超えてトップに立っていただろう。競輪国宝、また輪聖と呼ばれる、競輪史上最高の選手だ。4日制になって15回勝っているだけでもすごいのだが…。
神山はかつて東西“横綱”として吉岡稔真氏とともに、競輪界を支配した。何でもできたし、何をやっても勝てた。すべての状況に応じ、1着を取ったため“全天候型爆撃機”と呼ばれた。ステルス型ではない。隠れることのない、オープンスタンスでの勝ちっぷりだった。
通算勝利数は881勝で抜きんでた現役トップ(3月18日現在)。先日他界した松本勝明さん(期前)の1341勝は1日に2回走りの時代もあり、追い抜くことはできないだろうが、現役で肩を並べる評価を得られるのは2人いる。
現役2位で追いかける小嶋敬二(51歳・石川=74期)は日大卒後の数字で784勝。作新学院高卒からの神山と変わらない勝ちっぷりだ。
これからの選手の中では原田研太朗(30歳・徳島=98期)が、通算勝利で追う数字(414勝)とペースを刻んでいる。しかし、神山にはGI16勝という、史上最多のGI制覇数がある。
やはり、前人未到の地にいる。
神山は2016年3月、静岡で99回目の記念優勝を飾って後、優勝そのものから遠ざかっている。今回にかかる期待は大きい。
地元記念だけも9回の優勝があり、何としても10回目という思いがある。それはもしかしたら競輪ファンの方が強いのかもしれない。神山の偉大な記録達成の瞬間が見たい、と。オールドファンといわれる人たちの叫びが、聞きたい。
「カミヤマ!カミヤマ!カミヤマ!神様!」
ガールズ2期生の104期としてデビューした石井寛子(35歳・東京=104期)は405勝で108回の優勝を数える。男子との単純比較はできないが、素晴らしい実績には違いない。ビッグレースの優勝も複数。なかなか先になるのだろうが、石井寛子の偉業を書くような日が来ることを待ちたい。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。