アプリ限定 2022/11/15 (火) 18:00 12
いよいよ22日から「第64回朝日新聞社杯競輪祭(GI)」が小倉競輪場で開催されます。そこで、この歴史ある大会の名勝負、名シーンを競輪記者たちに熱く語ってもらい、当時のレース映像とともに全5回に渡りお届けします。記憶に残る競輪名勝負の数々を読めばもっと競輪が好きになる!?
メディアドーム2年目の99年。高松宮記念杯の太田真一に続き、「第41回競輪祭」でも新たなタイトルホルダーが誕生した。現在もトップレーサーとして活躍する小倉竜二(77期・徳島)だ。前年の98年にふるさとダービーでGII制覇を果たし、99年は初めてGIフル参戦。通算99勝で迎えた99年最後のGIで初めてGI決勝の舞台にコマを進めた。
初日特選3着、ダイヤモンドレース2着で、準決勝は吉岡稔真ラインの3番手から2着。決勝は吉岡の番手が転がり込んだ。吉岡は92〜94年で競輪祭を三連覇した地元のスーパースター。前年は決勝で1着失格に泣いており、リベンジを狙っていた。その吉岡が、松岡彰洋の番手にはまって最終BS手前から番手捲り。誰もが吉岡の4度目の競輪祭Vを信じて疑わなかった。
が、最後の最後、ゴール線を測ったように9番車の小倉がぐいっと伸びて、ほぼ並んだように見えたところがゴール。体を後ろに引いて、両手をぐっと伸ばす。今では小倉の代名詞となっている“ハンドル投げ”で8分の1車輪だけ前に出て、通算100勝のメモリアル星でのGIタイトル奪取。この時23歳。この優勝から小倉竜二といえばハンドル投げと言われるようになった。
小倉は06年1月に行われた「第47回競輪祭」も吉岡マークから直線で鋭く伸びて優勝。逃げ切りを狙った海老根恵太を、ハンドル投げで2分の1車輪かわした。この時も決勝まで未勝利ながら、最後の最後に勝負強さを発揮することとなった。
29歳で2度目のGI制覇。ここから何回タイトルを獲るのだろうと思った人も多かったはずだ。2回目のGI優勝後、6度のGI優出を果たしながら、タイトルには手が届いていない。長らく低迷期があった中四国地区も最近は松浦悠士、清水裕友、太田竜馬ら競輪界を引っ張る機動型が登場。
「小倉のデビューがあと10年遅ければ、タイトルを何個獲っていたかわからない」
という声をよく耳にする。しかし小倉は「それやったら吉岡さんとの連係で獲った(二つの)GIを勝ててない」と、一笑に付す。
“たられば”を言わない小倉らしい言葉である。こういった背景もあるからか、小倉は常々「九州もライン」と言って九州の選手とラインを形成することも多い。強烈なブロック等の番手さばきに、ゴール前での俊敏なハンドル投げ。義理堅き仕事人は地区を越えて相手に尊敬され、敵の機動型に畏怖を与えている。
2度目の競輪祭Vから16年。名字と同じ小倉競輪場で、小倉竜二が3度目のタイトル奪取を目指す。
■熱き走りを映像で堪能しよう
(提供:公益財団法人JKA)
着順 | 車番 | 競輪選手名 |
---|---|---|
優勝 | ⑨ | 小倉竜二 |
2着 | ② | 吉岡稔真 |
3着 | ③ | 東出剛 |
4着 | ④ | 西郷剛 |
5着 | ① | 山田裕仁 |
6着 | ⑧ | 有坂直樹 |
7着 | ⑥ | 鰐渕正利 |
8着 | ⑦ | 金古将人 |
9着 | ⑤ | 松岡彰洋 |
netkeirin取材スタッフ
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