同じ先行選手として見習うべき点が多かった深谷さんの走り

ーー共同通信社杯前の直近のレースとなった小田原記念(GIII)から伺います。他のラインを前に置いての仕掛けが目立っていましたが、何か意図があったのでしょうか？

町田　いえ(笑)、早く行こうと思っていましたが、バックで踏まれ、後ろからもどんどん来られ…発進のタイミングが打鐘の2コーナーからしかありませんでした。

ーーそのタイミングの仕掛けで走ってみて感触はいかがでしたか？

町田　やっぱり他のラインより早く前に出た方が楽ですよ。遅れれば遅れた分だけ踏まされるのでキツくなります。自分のペースに持ち込んで駆けた方が楽だなって思いました。

ーーゴールまで先頭に立つ距離が短ければ短いほど楽ではないんですか？

町田　逆だと思います。自分は他人のペースが苦手なので、早めに前に出て自分のペースで行きたいですね。

ーー小田原は1着・6着・1着・2着で4日間を終えました。決勝進出はなりませんでしたが、最終日の特秀は好レースだったと思います。

町田　力を出し切れましたし、共同通信社杯に向けて良い弾みになったと思いますが、タイムがあまり良くなかったので師匠の吉本(哲郎)さんに相談しながら、セッティングを見直す予定です。

ーータイムが出ないと不満ですか？

町田　もう少しタイムが出ていたら逃げ切れたのかなと。あと0.2秒速ければとか。ただ、ここからやみくもに猛練習しても疲労が出てくる事もあるので、セッティングを含め細かい所を調整しながら、調子を上げていきたいですね。

ーー小田原の決勝では深谷知広選手がぶっち切りのレースで優勝しました。同じ先行選手としてどう見られていましたか？

町田　特秀後に小田原競輪場の高い場所から見ていました。感動しましたね。単騎になっても1人でやるべき事をやって優勝。自分だったら…1人になっても行っていると思いますが、着はないかもしれません。スピード、持久力、ペース配分など全てが凄い、見習うべき所が多かったです。

勝つために自分が先に出て駆けてるだけです

ーー今年ここまでを振り返ってみていかがですか？

町田　デビュー2年目の昨年と比べると正直イマイチです。昨年は7車を多く走っていてこともあり、ある程度は活躍出来たと思うんですけど、今年からGIに出場するようになったりして…これが現実なのかって。

ーーベストレースとワーストレースを教えてください。

町田　ベストは今年8月のオールスター競輪(GI)で5日目に走った特選です。上田尭弥選手と2周のもがき合いでした。あの時は自分の後ろに付いた選手のアシストもあり、中団にいた渡邉一成選手を捲らせない事が出来ました。自分も押し切って1着を取ることが出来たので良いレースだったと思います。

　悔しいレースは今年5月の日本選手権競輪(GI)の4日目の選抜です。突っ張るべき所で突っ張れなかったり、レース前に中団にこだわる事をラインの山下一輝選手や筒井敦史選手と事前に話していたのに、中団の降り方が悪かったりと力不足を痛感しました。

ーー逃げ回数、バック回数の数字にこだわりはありますか？

町田　昨年はバック回数と最多勝にこだわっていました。それぞれ、79回と47勝で1位を獲れたので数字へのこだわりは区切りをつけ、今年からは内容重視で走っていますが、結果が伴いませんね…(苦笑)。

ーー試行錯誤されている様子が窺えます。7車と9車で戸惑いもあったのでしょうか？

町田　7車だと最後方に下がっても、位置的には9車の中団です。引いても巻き返しが効くので、早いタイミングで仕掛けられるというのが大きい。最近は9車しか走っていないので慣れてきましたけど、最初の頃は9車って人が多いなという印象でした。9車のプレッシャー!? 7車に比べると当然ありますよ！

ーー町田選手は連対時の決まり手は逃げ91％です。徹底先行にこだわる理由は？

町田　捲りに回ると勝てないので先行しているだけです。他人のタイミングで駆けるのが苦手で…だったらもう自分が先に出て駆けるしかないじゃないですか。

ーー先行のやりがいは何でしょうか？ また難しさはありますか？

町田　やりがい!? 何だろう…(苦笑)。自分が勝つために、なおかつラインで決めやすいのが先行です。後ろの選手が喜んでくれる姿を見るとやりがいを感じます。難しいのは同型の相手がいた場合ですね。

ーーオールスター競輪でも対戦した眞杉匠選手とか？

町田　ああ、そうですね。同じ徹底先行ですから、もがき合いになる事が多いですし、自分のタイミングで出られなかったりする時もあるので。

ーー突っ張る時と引いて巻き返す時の基準はありますか？

町田　相手の性格やこれまでのレースは頭に入れているので、出走表を見た時にもがき合いかなと考えます。突っ張るか引くかはレース前の作戦会議で決める事もありますし、レース中であれば相手を見て決めるという感じです。相手が突っ張るかどうかはレース中に察知できますね。本命を背負っている時は特に冷静に判断して、お客さんのためにも勝ちに行くレースを心がけています。

ーー出切れたけど大きな着を取ってしまう時は何が起きているのでしょうか？

町田　そういったレースは残り2周からもがき始め、出切った時には脚に余裕がありません。だいたいそういう時は後ろが自力選手なので、疲れている自分とスピードが違います。自分のスピード不足というのも要因にあると思います。

ありがたかった岩津さんのアドバイス

ーー町田選手が意識する選手はいらっしゃいますか？

町田　同期の石原颯選手です。養成所の時はそこまで親しくはなかったんですが、卒業後に急に仲良くなりましたね。ルーキーシリーズがきっかけかな？ 広島でワンツーを決めたこともあります。石原選手のホームバンクである高松に合宿に行く機会があって一気に距離が縮まりました。向こうも意識していると思います。

ーー町田選手の強みは？

町田　持久力です。脇本雄太選手のようなスピードと持久力があれば最高ですけど、そう上手くはいかないので…脇本選手やS級S班の選手を見ていて努力し続けないといけないなと感じています。

ーー現在の課題を克服するためどんな練習をされていますか？

町田　身体の代謝が良すぎるのか、発汗が多くて暑いのがダメです。暑さのため練習量が落ちてしまい負荷をかけられていないので、まず量を増やさないといけません。メニューで言うとグループでもがく練習です。1本1本しっかり力を出し切ることによってスピードも付きますし、レースに近い疲労を感じることで持久力も付きます。

ーーこれまで町田選手は様々なアドバイスをもらってきたかと思いますが、印象に残っているものはありますか？

町田　今年ですが、自分はもともと突っ張ることが苦手で、間合いとか距離感が掴めずに悩んでいた時期があったんです。そんな時に、岩津(裕介)さんからアドバイスを頂きました。何度も言って下さって、そこまで言うならやってみようと、結果的に突っ張れるようになったのでありがたかったです。

ーー町田選手から岩津選手にアドバイスを求めたんですか？

町田　いえ、岩津さんから来てくれました。自分は徹底先行のスタイルを貫かせてもらっていて、競走に関しては色々言われるのが好きじゃないので…最初は「わかっていても出来ないから苦労してるんですよ」と心の中で思って聞き流していましたが(苦笑)、レース中に試しているうちに出来るようになりました。言われたら出来るようになるんですね、人間って(笑)。

ーー徹底先行のスタイルですが、何歳まで続けたいというのはありますか？

町田　生涯、徹底先行です。岡山の増成富夫選手をご存じですか？ 51歳でも徹底先行されている増成さんみたいになりたいです。

ーー好きなバンクと理由があれば教えてください。

町田　地元の広島ですね。今年もFI戦で優勝していますし、練習場所でクセもわかっているので好きですね。

ーー昨年欠場だった共同通信社杯への目標を教えてください。

町田　中部地区への斡旋がまだ無くて、名古屋競輪場は初めてです。高速バンクの印象があります。目標は準決勝進出です。

ーー自動番組による開催、他地区の選手の後ろで走ることについては？

町田　誰が付いたとしても同じようなレースがしたいなと思います。いつもと変わらずです。

ーーファンへのメッセージをお願いします。

町田　力を出し切って頑張るので応援のほどよろしくお願いします。

ーー最後に町田選手の将来の目標を教えてください。

町田　30歳…いや35歳までには特別競輪1個は獲りたいです！

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　第3回 菊池岳仁選手インタビューは9月13日(火)18時公開予定です。