2022/08/31 (水) 12:00 12
9月1日に幕を開ける岐阜競輪の「開設73周年記念 長良川鵜飼カップ(GIII)」はほぼ富山記念(瑞峰立山賞争奪戦)の続行開催だ。富山で死闘を繰り広げ、優勝した松浦悠士(31歳・広島=98期)と準優勝だった平原康多(40歳・埼玉=87期)の名前がある。
平原は過度に意識はしないだろうが、今の松浦にどうやって勝つか、をシンプルに考えてくる。西武園の「オールスター競輪(GI)」で落車した佐藤慎太郎(45歳・福島=78期)も出場予定。平原との連係があれば、今の平原の後ろでどんなことを感じたのか、開催後に聞いてみたい。
今開催には眞杉匠(23歳・栃木=113期)もいるので、眞杉と平原との関係性が浮かび上がってくることにもなる。やはり中心にいるのは、『平原』。眞杉はページをめくっていけるのか。
わかりやすく先人の背中を超える方法は、その先人から逃げ切って先着することだ。「ここまで来た」とはっきりと印象付けることになる。かつて村上義弘(47歳・京都=73期)から脇本雄太(33歳・福井=94期)が押し切ってワンツーを決めた時、ついに来たかという感じだった。
すでに眞杉はそれを成し得る力は持っていると思う。ワッキー(脇本雄太)は確実な目標として村上に差されずのワンツーを目指していたが、眞杉はまだその気持ちはなさそうだ。いや、心のどこかであるのかな…。
眞杉の心持ちがどんなものなのかは、聞くよりも走りで見る方が重要。今回はそこを見たい。
山口拳矢(26歳・岐阜=117期)の富山記念決勝の走りに、多くのファンが何かを感じたことだろう。拳矢本人は口に出してアピールはしないものの、竹内雄作(34歳・岐阜=99期)を連れて、ためらいなく駆けた。
場数も踏んで、いろんなものを見て、確かな成長があると思う。富山の時に笑顔が多かったのが印象的で、苦しい競輪の戦いの道を、縮こまらずに進んでいるようだった。期待されるものが大きいので、自分自身を見失いそうになるわけだが、踏みとどまっている。
シンタロウ(佐藤慎太郎)はケガからの復帰戦。本人のコラムで、オールスターを最後まで走り切れなかった思いが綴られていた。明るいタッチだが、なにかモノトーンで怖さを感じた。より集中力を増した走りが見られるんじゃないかとゾクゾクしている。
最終日には「2022ルーキーシリーズプラス」も行われる。一番の注目は卒業記念のチャンピオン・纐纈洸翔(20歳・愛知=121期)だ。“勝ち切る”、というところを見せ付けられるのか…。
出場7人の内、誰が最高の輝きを放つのか。何はともあれ、卒業時のプロフィールで「目標とする選手または尊敬する人物」の欄に「長渕剛」と書いた梅崎隆介(32歳・長崎=121期)の走りに注目したい。32歳のオールドルーキーの周りには、秋を知らせるとんぼが飛んでいる。
ああ、幸せの、とんぼよ、どこへ、お前は、どこへ、飛んでいく〜。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。