Jプロツアー2024第13戦・新城ロードレース

2024/09/19(木) 12:00

JBCFロードシリーズ最高峰のJプロツアーの第13戦として、9月8日に愛知県の新城市を舞台に、今年が初回となる「新城ロードレース」が開催された。前戦からおよそ1カ月の間が空き、各チームはそれぞれ海外遠征や合宿などの活動を挟み、再結集する形となった。

今年初開催となった「新城ロードレース」

9月にはJプロツアーでももっとも重要な「経済産業大臣旗ロード」を控え、10月からは重要な国際レースが続く。後半戦に向けてギアを上げていく、大切なレースだ。
静岡県との県境に近い愛知県東部の新城市では、2026年にアジア大会のロードレースが開催されることが決まっている。今大会はそのプレ大会としての位置付けであり、スポーツ・食・モビリティで新城を楽しむイベント「新城モビリティフェスタ2024」の一環として開催された。
使用するのは、新城市の桜淵公園前をスタート・フィニッシュとする1周16kmの公道を使った周回コース。平坦区間が多いものの、コース序盤には距離は短いものの勾配10%の登坂が設定されている。コース幅が狭く、カーブが連続する下りもあり、周回が進むごとに選手は疲弊されていくだろう。レースは、この周回を10周する160kmで競われる。

9月のレースとはいえ、この日の新城市は気温30℃を超え、真夏日に。暑さがさらにレースを厳しくし、選手たちの力を試すサバイバルレースとなった。
スタートのラインナップ最前列には、現在個人総合で首位を守る金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)と、ホストチームとなる愛三工業レーシングチームのメンバーが並んだ。U23の首位に立つ寺田吉騎(シマノレーシング)は海外遠征のため欠場となった。

スタートラインにつく選手。最前列には新城市長らが

レースがスタートすると、直後からアタックと吸収が繰り返され、前半は活性化されたまま、不安定な状態が続いた。
5周目に入ると、抜け出しがあり、そこから12名の先頭集団が形成された。集団は着実に後続との差を広げていく。この集団の中に、それぞれの主要チームはメンバーを送り込んでおり、レースはいったん落ち着くことになった。

若手有望株を中心とした12名の先頭集団が形成された

残されたメイン集団からは、集団をコントロールする動きも生まれず、若手選手を中心とした勢いのある先頭集団との差はじわじわと開いていく。6周目にはこの差は1分30秒以上まで広がった。

新城市の美しい実りの景色の間を選手たちが走り抜ける

7周目に入ると、動きのないメイン集団から追走の動きが生まれた。メンバーは、かつては世界のトップチームに所属し、欧州のレースを走っていたベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)や、トマ・ルバ、孫崎大樹(キナンレーシングチーム)ら5名だ。
追走5名は、先頭集団に合流し、先頭は17名の集団となった。

5名の追走集団が生まれ、先頭12名を追って走る

ルバがこの先頭集団の前方に立ち、ペースアップすると、堪えきれなくなったメンバーがこぼれ落ちていく。

トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)がペースアップし、先頭17名をふるいにかける

集団は人数を削ぎ落として行き、9周目までに12名となった。
後続の集団は、暑さと、体力、集中力を使う周回コースで疲弊した選手が多く、先頭にメンバーを送り込んだチームは静観モードとなり、追走に向けてまとまる動きは見えない状態に。勝負は先頭集団に絞られた。
このままレースは最終周回に。先頭ではダイボールがアタックを繰り返し、反応する中で選手たちがさらにこぼれ落ちていった。人数を減らした集団から、残り3km付近でルバがまたペースアップ。これをきっかけに、武山らが抜け出しを図るが、勝利に近づくような決定打は打ち出されなかった。

ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)がアタックを仕掛け、集団から選手が絞り込まれていく

最終盤まで残ったのは、冒頭から先頭集団に乗っていたMTBでも日本王者になっている沢田時と花田聖誠、武山晃輔(宇都宮ブリッツェン)、シクロクロスでも圧倒的な強さを見せる織田聖(マトリックスパワータグ)、阿曽圭佑(スパークルおおいたレーシングチーム)と、追走で合流したダイボール、孫崎、トマ・ルバだ。優勝はここまで残った8名で決められることになった。
ルバが先頭を引き、最終コーナーへ。残り200m、ホームストレートに先頭で現れたのは孫崎だった。6名によるスプリント合戦となり、孫崎の後ろから伸びてきた沢田が雄叫びを上げながらフィニッシュラインをトップで越え、Jプロツアー初勝利を挙げると同時に新城ロードレースの初代勝者となった。

先に仕掛けた孫崎大樹(キナンレーシングチーム)の背後から伸びた沢田時(宇都宮ブリッツェン)が孫崎をかわし、優勝をもぎとった

2位には孫崎、3位に阿曽が入った。

Jプロツアー初優勝の沢田、2位の孫崎、3位の阿曽圭佑(スパークルおおいたレーシングチーム)

優勝した沢田は、「今日はチームで『常に前で展開していこう』と話していた」と振り返った。「勝利に繋がる先頭集団にチームから3名が乗れ、自分が最後のスプリントに備えるというプランを共有しており、最後はうまく連携が取れ、なんとか勝つことができた」と語った。「自分のために動いてくれた二人に敢闘賞をあげたい。本当に感謝です!」と、屈託のない笑顔を見せ、初優勝の喜びを噛み締めていた。

この日も12位でフィニッシュし、個人総合首位を守った金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)

個人総合首位は揺らがず、金子が守り、U23の首位も次点に大きな差をつけている寺田がキープしている。次戦は魚沼クリテリムと、Jプロツアーの中で、最重要レースである経済産業大臣旗ロードだ。ポイント配分も大きく、結果によっては上位が入れ替わる可能性もある。どのようなドラマが展開されるのか、注目したい。

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【結果】
Jプロツアー第13戦
新城ロードレース(160km)
1位/沢田時(宇都宮ブリッツェン) 3時間53分12秒
2位/孫崎大樹(キナンレーシングチーム)+0秒
3位/阿曽圭佑(スパークルおおいたレーシングチーム)
4位/花田聖誠(宇都宮ブリッツェン)
5位/ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)

【Jプロツアーリーダー】
金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)

【U23リーダー】
寺田吉騎(シマノレーシング)

写真:JBCF 一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟

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【Jプロツアー2024・開催レポート】
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第3戦・真岡芳賀ロードレース
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(P-Navi編集部)

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