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木三原さくらの『恋して競輪ハンター』

2024/10/09 (水) 17:50

恋して競輪ハンター166Hunting

先日、久しぶりに小松島のF1開催に行ってきました。現地に行くのは、7月の開設記念以来。少し涼しくなった秋の海風は、いつまでも感じていたいほど心地いいものでした。

このシリーズの開催タイトルは、第2回阿波狸合戦。第1回はいつだったんだろうというと、なんと小松島のたぬき伝説にもなっている江戸末期の狸たちの戦いだというではありませんか。歴史や種族を超えた小松島ならではのシャレの効いた開催タイトル。他の競輪場でも、こんなタイトルはなかなかないでしょう。そして第1回を戦った小松島の金長たぬきたちも、まさか第2回が人間による自転車レースで開催されるとは夢にも思っていなかったでしょう。
さて、伝説の戦いにタイトルをもらったこの開催は、G1レースでも活躍を見せる若いトップ選手たちが集まる開催となりました。最終的に優勝を勝ち取ったのは、地元の犬伏湧也選手でしたが、その他の選手で、私は沖縄の伊藤颯馬選手の走りが印象に残りました。

伊藤颯馬選手(※Perfecta Navi編集部が別開催で撮影)

伊藤選手といえば、今年の3月G2ウィナーズカップで決勝戦に進出し、単騎で見せ場を作ってブレイクを果たした25歳。先行捲り、自在性と豊かな競走スタイルを持つだけでなく、その強気なレースと取材した時の笑顔と愛嬌のギャップに私の周りにもファンの多い選手です。
対戦相手として、中四国勢は地元の犬伏選手だけでなく、取鳥雄吾選手がいたり、岐阜記念でこれまたブレイクほかほかの村田祐樹選手がいたり、相手も強力で、決して楽な番組構成ではなかった3日間でしたが、2着1着2着と成績をまとめました。
2日目の準決勝では、7番車と1番車というラインでスタートを我慢して後ろ攻めを選択。レース後の勝利者インタビューで聞いたところ、考えていた通りのレース運びだったそうです。逃がしたいラインを逃して、しっかり位置取りからの捲り快勝。初手の組み立てからレースを支配した貫禄の勝ち方でした。9車でも動いて活躍を見せる伊藤選手だからこそ、この安定感と落ち着いたレース運びができるのだろうと感じました。
決勝戦は地元・犬伏選手と取鳥選手の連携に屈することとなった2着。それでも、前々に動いて位置を取り、捲り迫る勢いは優勝の展開まで期待させてくれました。後手を踏まずに、脚を使ってでも位置をとってくれて、そこからもうひと追い込みを見せてくれる伊藤選手。車券を買う身としては、そういう選手のレースにはついつい手が伸びます。当たればもちろん最高ですが、仮にハズれても納得感というか後悔が少ないです。私にとって、車券の貢献度は連に絡むだけでなく「レースの中で何かしてくれた」と思えることが大切だからなのかもしれません。
今月は今年5回目のG1で初の寛仁親王牌にも出場予定。G1ではまだまだ大きい着も多いですが、それでも期待したくなりますよね。「ブレイク」という表現が似合わないくらいに、より一層の強さと安定の活躍を、トップ選手たちの中で見せて欲しいです!

恋して競輪ハンター

木三原さくら

2013年夏に松戸競輪場で ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。 以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。 番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。 好きな選手のタイプは徹底先行! 好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。 “おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。

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