207

木三原さくらの『恋して競輪ハンター』

2024/09/05 (木) 12:00

恋して競輪ハンター164 Hunting

先日行われた小田原記念の決勝戦では神奈川6車、千葉も含めて南関東7車のラインが話題となりました。その後のSNSでの議論を見ていると、なかなか見ることのない長いラインに、選手もファンも思うことはいろいろとあったのだろうと感じます。

そんな小田原記念の少し前、取手競輪場ではこんなレースがありました。
レジェンドカップサンケイスポーツ賞F1、オールスター終わりということもあってか混戦を極めたこの開催のS級戦。準決勝の波乱を経て、決勝に勝ち上がった7選手全員が、近況ではもう風を切るレースをしていない自力不在のメンバー構成となりました。
どのようなレースでも、誰かが逃げて、誰かがバックをとり、誰かが勝つ。当然のことではあります
が、しかし、このメンバーでなかなかそれが読めません。そもそも並びもどうなるか想像がつきませんでした。でも、だからこそ面白い。選手の過去と現在の競走スタイルを思い浮かべ、関係性を想像し、並びを考えるところから楽しみが始まりました。
その並びに、早速サプライズがありました。まずレジェンドと呼ばれる存在になってきた(ご本人は自分はまだまだふさわしくないと否定されていましたが)、伏見俊昭選手が北日本の前回り。私が競輪を始めた頃は、もう伏見選手は番手を回っていることが多かったので、話に聞く往年の先行が見られるチャンスか⁉︎と、ワクワクしました。
そして、神奈川勢は『もう前は回らない』という意思を明らかにした桐山敬太郎選手を連れて、東龍之介選手がラインの先頭。同県で競ったり、熱い思いを持つ男、東選手。追い込み宣言の先輩を連れて、普段見せない自力が出てくるのか⁉︎と、こちらも想像をかき立てるライン構成になりました。
そこに地元の芦澤大輔選手が前を回る関東ライン、単騎で大森慶一選手がいての3分戦プラス1。
皆さんなら、どのようなレースを想像しますか?

実際は赤板から東選手の主導権、それを一気に叩いた伏見選手の先行、芦澤選手も捲りを仕掛け、最後に脚をためていた大森選手の追い込みという、激しいレースとなりました。
それはまさに「競輪」でした。それぞれの選手が自分のやるべきことを持ち、最大限にラインを生かしてチャンスを掴む走りをする、その見応えに結果はどうあれ車券買ってよかったと大満足のレースでした。

伏見俊昭(※Perfecta Navi編集部が別開催で撮影)

そして、伏見選手の強いこと!
48歳で先行して11.5の逃げ残り。準決勝も若い選手の捲りを合わせ切っての番手捲りで1着。往年の〜なんて書きましたが、まだまだ自力健在ですね。決まり手に逃げが1ついて、これからの走りがまた楽しみです。追い込み選手だってやるときゃやるし、実は自力あるんだぞ!という走りを見ることができて楽しかった1戦でしたが、選手からしたら、自分の磨き上げてきた追い込みの技術を発揮して勝つことこそ本望ですよね。ただ、そのような選手が番手を回るからこそ、ラインの厚みが生まれ、前を回った選手の走りもさらに活きてくるのだと思います。
次はそれぞれの選手たち、本来の持ち味を発揮しての活躍を応援したいです!

恋して競輪ハンター

木三原さくら

2013年夏に松戸競輪場で ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。 以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。 番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。 好きな選手のタイプは徹底先行! 好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。 “おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。

閉じる

木三原さくらコラム一覧

新着コラム一覧