2021/01/27 (水) 11:27
コロナの話題は後述するとして、始まったばかりの2021年。今、誰が一番、強いのか?勝手ながら選んでみたい。
それは平原康多(埼玉87期)であろう。KEIRINグランプリ2020では絶好の展開も悔しい5着に終わった。しかし、気持ちは折れておらず、休む間もなく臨んだG3立川記念で見事に優勝。ネット観戦していたが、僅かの間に逞しさが増した。特に驚いたのは初日特選における郡司浩平(神奈川99期)、清水裕友(山口105期)といった、グランプリでも戦った面々との再戦。ここに一発の魅力がある菅田壱道(宮城91期)も加わり、観ている方はワクワクした。
車券を購入するに当たり、一番重要なポイントはそのレースで誰が最終主導権を奪うのか、というところ。この初日特選のメンバーで、果たして誰が主導権を握るのか?筆者が真っ先に先行はないだろうと、思ったのは平原と菅田。清水もしくは郡司の先行だろうと、読んで車券を購入した。位置取りの巧い平原が中団を奪ってからの捲り。徹底先行ではない清水、郡司のスピードならば平原が一捲り。茨城から移籍してきた地元の鈴木竜士(東京107期)が番手ならば離れることはないし、キッチリつけ切れる。配当的な妙味は少ないが、1着・平原、2着・鈴木から、3着は番手の選手を買って、新年初の勝負に出た。
ところが、どうだ。平原には失礼だが、目を疑う光景が繰り広げられた。何と打鐘で平原が鈴木を連れ、先行態勢に出たのだ。清水、郡司が仕掛けてくれば飛びつくのだろうと、思っていたが、誰も仕掛けてこない。自分の買った車券は「これではない!」と、ネットを見ながら叫んでしまったものだ。平原の先行が100%ないとは言い切れないが、まさかであった。番手は余裕綽々(しゃくしゃく)の鈴木。平原がどこまで着位を下げるのだろうと、観ていたが、ゴール前で鈴木が追い込んでの1着、平原は2着に粘った。後方で凡走してしまった清水、郡司を責めるのか?それとも逃げて2着に粘った平原を褒めるのか?筆者は平原の強さに脱帽した。車券は外れたが、今年の平原は一味違うと、身震いした。近年、タイトルからは見離されている平原だが、この特選を観た限り、8回目のG1制覇はすぐそこにあると、確信できた。この立川記念で優勝し、続く地元・大宮記念も完全優勝。今の平原に敵なしといったところか。
平原の活躍は嬉しいが、やはり、この業界はやらかした。前回も書いたが、コロナ感染対策が徹底されなかった結果か、岸和田G3 in 和歌山に出場した選手から多数の新型コロナウイルス陽性者が出た。参加した113名にPCR検査を実施した結果、31名が陽性。ここまで拡大させたのはJKA、日本競輪選手会、全国競輪施行者協議会のせいだと断言できる。所轄官庁の経済産業省も、だ。やっとのことで開催に参加する選手全員に対して、PCR検査または抗原検査を実施するという発表。陰性が確認できた選手のみ参加できることを決めた。ただし、いつまでの検査結果が必要なのか?他の競技では、大会3日前など決めているが、競輪業界は触れていない。仮に1週間前に陰性であっても、3日前には陽性になる可能性は十分にあろう。
これより前、西武園競輪場はミッドナイト競輪の開催中止を決めた。報道によれば「選手、関係者の安全を確保できないため」で、至って真っ当な判断であろう。選手は仕事を失うことに抵抗感はあろうが、命を失う危険があることもシッカリしっかり理解していただきたい。そして、名前はシッカリ公表すべきだ。競輪選手は公の人間である。無症状の選手もいるそうだが、その選手と接触した人間は気が気でないはずだ。選手間の感染が分かった以上、無観客レースも意味がないようにも感じる。今一度、選手や関係者は命の大切さを考えるべきであろう。
[編集部]
1/22前検、1/23〜25開催の別府F2では。
参加選手(後の補充選手も)はもちろん、報道陣、管理区域従業員、JKA職員の抗原検査を実施。
幸いなことに検査を受けた全員(約130名)が陰性で、開催も無事に最終日まで行われた。
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター