2020/11/06 (金) 17:14
冒頭からいきなりネガティブな話題になってしまいますけれども__。
先日、行われた松戸F1『第10回サテライト船橋カップ』の初日、残念な落車がありました。2レース続けて、残り2周前に前走する選手に追突しての単独落車。落車した選手は過失走行で、共に失格となったのです。
車券を買う立場からすると、レースが佳境に入る前の落車は本当にガッカリしてしまいます。楽しみにしていた運動会の朝から予期せぬ土砂降りの雨が降った時のような、そんな気持ちに似ているかも知れません。運動会だったら、その日が中止になっても日程を繰り越し、もう1度、開催するチャンスはやってきます。でも、車券は繰り越せません。そのレースに賭けた思いやお金はもう2度と、返ってこないのです。
しかし、冷静に考えると、トンデモナイことを要求しているんだなぁ、ということに気づかされます。ブレーキのない自転車に乗り、縦列して走り、前が急に加速・減速しても、それに対応する。傾斜のある走路を走り、横から追い越そうとしてくる自転車には体当たりなどで止める。ゴール前が開いたら、内、隙間に突っ込む。もちろん、転ぶ訳にはいかない、常に全力を出し切る。やってみろ!そう言われたら、私は即答します。
『できる訳がありませんっ!』と。
一般人には不可能なことを当たり前のようにやってのけるのは、養成所でシッカリ訓練を受け、試験に合格し、得た国家資格を持つ競輪選手という専門職だからこそ。さらに言及すると、その資格は1度、取ってしまえば良いものではありません。資格を得た後も日々の練習で技術を磨き続けてこそプロ選手として在り続けられます。それ程までに大変な職業だということを再認識するばかり。
そして、その専門職の中にはさらなるエキスパートも存在します。元競輪選手の方々とレースを見ていると、時々、「〇〇選手のマーク、巧いなぁ」というつぶやきを聞くことがあります。その言葉を聞いて、前の選手との距離感、レース中の自転車の扱いなどには選手同士(元選手含む)で見ても、思わず声に出るくらい繊細で、巧みな技術があるのだということを教えられます。追走のエキスパートに以外にも、先行のエキスパート、捲りのエキスパート、渋いところでは3番手のエキスパートなどもありそうですね。
世の中に専門職と言われる職業はどれくらいあるのでしょうか?医師や弁護士など、国家資格が必要なものはもちろん、それ以外にも資格の有無に関わらず、高度な技術を求められる職業が専門職と分類されることもあります。簡単にできないことを技術や知識、経験やセンス、様々な能力を活かして、仕事にしている方は本当に尊敬しますし、憧れを感じずにはいられません。それに違わず、競輪選手も磨き抜かれた技とセンスを活かし、バンクを駆ける職業です。これからもその高度な走りに最大の敬意を表して、車券購入していきたいと、改めて思いました。
木三原さくら(きみはら・さくら)
1989年3月28日生 岐阜県出身
2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている
木三原さくら
2013年夏に松戸競輪場で ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。 以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。 番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。 好きな選手のタイプは徹底先行! 好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。 “おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。