2020/07/24 (金) 18:59
首都圏の競輪場でもファンを入れての開催が増えてきた。いや、増えてきたと言うよりは新型コロナウイルスが蔓延(まんえん)する前にほぼ戻りつつある。公営競技の中で最も大きなダメージを受けたとも言える競輪業界だが、やっと明るい兆しが見えてきた。競輪だけでなく、ボートレースやオートレースでもファンを場内に入れ始めている。さすがにファンの人数が多い競馬は未だ多くの場で無観客開催を行っている。
ギャンブル以外に目を向けると、プロ野球とサッカーJリーグは10日から上限5,000人のファンを受け入れた。19日が初日の大相撲7月場所も観客を通常時の25%を上限にしての有観客とした。各競技、待ちわびたファンはさぞかし嬉しかったことであろう。当初の予定では8月1日からもっと多くのファンを受け入れるはずだが、東京を中心とした新型コロナウイルスの感染者数増加のため、今後はどうなるか予断を許さない。
ライブ観戦を待ちわびていたのは筆者もそうだ。2月以来、ネット投票に頼っていたが、ようやく競輪場に足を運べた。あの空気、そしてスマホに頼ることなく、車券を買える嬉しさ。生の迫力に心が躍った。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から言えば公営競技は遅れている。第一に、入場者の制限を設けていないこと。G2サマーナイトフェスティバルは抽選によって、毎日1,000人を上限とした。結局、毎日1,000人は入らなかったのだが……。
これが首都圏の競輪場となれば2,000人以上のファンが詰め掛ける。さらに筆者が驚いたのは金網越しに大きな声援を送っていたことだ。野球、サッカー、大相撲は大きな声で叫ぶのは禁止されているはず。おまけにゴール前は『密』とも呼べる状況になっていた。気持ちは分かるが、まずは個人がシッカリとコロナ対策をしないといけない。あの密状態をテレビで偶然、見た人がいたならば競輪業界は良い印象は持たれないだろう。野球やサッカーではルールを破ったファンは注意されている。だが、筆者が見た限りではあるが、競輪では警備員も注意していなかった。また、マスクをしていないファンも見受けられた。マスクを着用していなければ入場拒否くらいしても良いのではないだろうか。
現況を考えれば__いつ、どこで、クラスターが発生してもおかしくはない。その時、シッカリと、感染対策を取っていたかが問われるだろう。仮にガイドラインに沿っていた上での感染ならばエクスキューズもできるが、大声を発し、密状態で応援しているとなれば責任は免れない。2mと言われるソーシャルディスタンスをキッチリ守れ!とまでは言わないが、もう少しファンは自覚を持たなければならないだろう。万が一、競輪場やオートレース場で感染者が出てしまったら、それこそ業界は終わってしまう。競輪を愛するならば最低限のルールは守るべきだ。これに関してはJKAや各施行者の指導力も問われる。まさかゴール前の密状態を知らないはずはないであろう。
ファンを入れての開催は多くなったが、リスクマネジメントという点では疑問符がつく。やはり、JKAが関係者のみならずファンへ、何度でもガイドラインを説明すべきであろう。1人でも感染者が出たら、どうなってしまうのか?今一度、考えていただきたい。ファンを入れての開催で浮かれているのではないかと、疑ってしまう。大事なのは観客を入れた開催をすることではなく、観客が感染しないことだ。施行者に任せるのではなく、JKAがキッチリと、リーダーシップを取るべきであろう。
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター